問題行動を起こす原因と問題行動への対応策

発達障害

はじめに
 問題行動を起こす原因と問題行動への対応策について。障害があるがゆえに問題行動が見られるという方がいらっしゃいます。しかし障害の有無に関わらず、いつの時代にも子どもの「問題行動」には悩まされてきたとも言われています。

では、問題行動とは一体どののようなもので、そして問題行動の原因は何か? ここでは、問題行動の対応策として、軽減・解決のための具体的な軽減手法などについてまとめています。

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1. 問題行動とは?

「図-問題行動のとらえ方」

(1) 問題行動の「定義」の問題

① 「問題行動」の範囲の示す違和感

「問題行動」を話題にするとき、話がかみ合わない経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか? 

たとえば、文科省は毎年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」というものを実施しています。しかし、ここで取り上げられる問題行動は、暴力行為、いじめ、出席停止、長期欠席、中途退学、自殺といったもの。つまり、「非常に限られた範囲の行動」を対象としています。

しかし、実際の「問題行動」は、暴力行為やいじめ、長期欠席といったようなものに限られるものではないことは明らかでしょう。何を対象に話をしているのかによって、話題のとらえ方にギャップが生まれるのは当然のことと言えるわけです。

② そもそも「問題行動」とは? ~それは軽減・解決することが重要なもの

 表す範囲以上に問題になるのは、「問題行動」という言葉が、多様な意味、多様な見方で用いられている点です。

その一つの見方は、「周囲の方が迷惑を被る行為」であったり、「法に触れ警察機関等が統制の対象とする行為」であったりを「問題行動」ととらえるものです。つまり、他者や法といった、ご本人以外を主体においた問題行動のとらえ方と言い換えることができるでしょう。

しかしその一方で、「ご本人が悩み、困惑している行動」とするとらえ方もあります。つまり、ご本人たちの「困った」が表現されたものを「問題行動だ」とするとらえ方です。この場合は、ご本人を主体においた問題行動のとらえ方と言い換えられます。

このように「問題行動」という言葉一つでも、その範囲の違い、見方の違いなどで、とらえ方に大きな違いがあり、これが、議論がかみ合わない状況を生む可能性があると考えられるわけです。

とはいえ、どのような見方であろうと共通するのは、「その軽減や、解決をしたい」ということだということでしょう。よって、「問題行動」を扱う時にまず重要となるのは、その行動がどのようなものであろうと、「その軽減や解決をすることが目的なのだということを忘れないこと」と言えるのではないでしょうか。

③ 「問題行動」は、まずはその当事者の視点でとらえた方がよい

 「問題行動を話題にする際の目的」を考えると、当事者を主体として、つまり、その行動をしているご本人を主体としてとらえた方が良いということになるはずです。というのも、その問題行動の「起点」になっているのは、その問題行動をしているご本人だからです。これは2つ目に重要な視点です。

(2) 問題行動には、どのような意味があるのか?

① 行動には理由・原因がある

 3つ目に重要な視点は、「問題行動の意味を考えること」でしょう。人間の行動は、大きくは「欲望」と「理性」とのバランスの中で生じるとも言われています。

「欲望」と言うと「ワガママ」のようなイメージを持つかもしれませんが、たとえば呼吸をするといった生理的なものも欲望による行動の一つですので、決して「ワガママ」というようなことだけを指すのではありません。「呼吸」の場合であれば、命を守るという欲望のために、その行動が見られるということ。

このことから考えると、あらゆる行動は「何らかの理由」があって、その行動が見られることになります。ということは、「問題行動」と呼ばれるものにしても、「何らかの理由・原因」があって、その行動が見られるということになります。

② 問題行動にも理由・原因がある

 問題行動には、いわゆる「ワガママ」と呼ばれるものが原因になっている場合もあるでしょう。一方で、「呼吸に近いようなものが満たされないがためにあらわれているものがあること」もまた推測されます。つまり、問題行動の見られる方は、「困りごとがある方」ととらえられるということです。

もちろん、問題行動の見られる方を「困った方」とする見方もできるでしょう。

しかし、「問題行動を軽減・解消したい」という目的と、「それは、その行動をする人の立場から見る必要がある」という点、そして、「その行動があらわれる何らかの理由・原因がある」との立場に立てば、問題行動の見られる方は、「困りごとのある方」として見ていく必要があると考えられるわけです。

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参考:
国立障害者リハビリテーションセンター
行動の背景と捉え方
http://www.rehab.go.jp/ddis_pdf/179b.pdf

東京都教育委員会
平成28年度における児童・生徒の問題行動・不登校等の実態について
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/press_release/2017/release20171026_04.html

慶應義塾大学出版会
子どもの問題行動の意味
http://www.keio-up.co.jp/kup/kyouiku/zuihitsu/z201205.html

2. 問題行動の軽減・解決を考える前に ~ そもそも教育とは?

「図-問題行動と教育」

(1) 問題行動を前提にしたとき、教育以前にやるべきと考えられること

 問題行動が見られることを前提に教育の基本を考えれば、「ご本人が、さまざまな場で生きていくために困らない能力を身につける、あるいは、困らないだけの能力を発揮できるようにする」ということになるでしょう。

すると問題行動の軽減・解決のための教育以前に対応すべき3つのポイントがあることに気づくのではないでしょうか。

① 早期発見

 ここで言う早期発見とは、困りごとを抱えていないかということ。つまり、まずは「障害の有無に気づくこと」です。障害には先天性のものもあれば、後天的に発症するものもあります。いずれの場合においても、問題行動の原因となる困りごとがあるのかないのか気づくことが重要だということです。

② 早期対応

 困りごとに気づいたら、すぐにその対応にあたることです。問題を先送りにすることは、その方の発達にとって何のメリットもないばかりか、デメリットばかりと考えられます。「困りごとがある中でがんばり続けているのに、がんばっていることに気づいてもらえない、周囲の方に認めてもらえない」といった負の感情を持ち続けることになるからです。

さらに、周囲の方は、「ナゼできないのか?」と苛立ちさえすることになり、さらにご本人に厳しく接することにもなりかねません。そうなっては、問題行動の軽減・解決に向かうどころか、かえって問題行動を助長しているようなものと考えられるわけです。

③ 予防的対応

 もう1つ重要な視点は、問題行動を「予防」していくということです。

問題が起きてから対応するのでは、困りごとのある方の困りごとを解決していないだけでなく、その方が傷つくのを待ってから対応しようとしているようなものでしょう。つまり、困りごとが発生しないようにすることが必要であり、そのための環境整備が大切だということになるわけです。

物理的な環境だけでなく、接し方、言葉のかけ方、行動することの指示など、ご本人にとってわかりやすい、困らない環境をつくることが必要だということです。

(2) 何を教育するか

 具体的な教育内容として、特に幼児期に重要になるのは次のような点です。確認いただくとわかるのですが、まずは土台を作ることが優先されるということになります。

① 情緒の安定

 人間のすべての行動は「情緒的な反応」、つまり、他者や周囲で起きることとの関係の中で生まれる欲求に基づく反応と言われています。
情緒反応には、

1) 不安や恐れ、怒りや拒否といった不快の情緒反応
2) うれしい、楽しい、おもしろい、好きといった快の情緒反応

の大きくは2種類がありますが、これら情緒の安定は望ましい人間関係の中で実現されると考えられています。つまり、「自分が望ましい行動を取れば、自分が望む結果を得られる」という経験を多くすることが重要で、その経験を土台にすれば、望ましい人間関係を構築することができるということになるのです。

② 遊びを通した発達

 哲学者のホイジンガは、人間の本質を「遊び」としています。ここで遊びとは「ある限られた時間・空間の中で行われる自発的な活動」とされ、その目的は「その活動そのものにあり」、その活動には「自発的に従うルールがある」とされています。

つまり、何らかの遊びを行っていくことで、自分自身を含む遊びに使うものの扱い方、自発的ということ、ルールに従うことなどなど、多くのことを学んでいくということです。つまり、たくさんの遊びそのものが、教育になるということです。

③ 身辺自立と生活習慣

食事、排せつ、睡眠、清潔さを保つこと、移動などを一人でできるようになることは、ご本人が自主的に、また主体的に活動することを保障することになります。つまり、基本的な身辺自立と生活習慣を身につけることが、自立と社会参加に向けた最も大切な取り組みになるということです。

ここでのポイントとしては、次のような点に気をつけながら指導することと考えられます。

1) 短い時間で済む活動から
2) 毎日決まっている活動を
3) 失敗させないように、少しずつ段階を踏みながら
4) くり返し

参考:
岩手県立総合教育センター
問題行動の軽減の方法
http://www1.iwate-ed.jp/kensyu/siryou/h19/h19_615.pdf

和歌山大
重度の知的障害をともなう自閉症児の行動の指導
http://www.wakayama-u.ac.jp/~eda/ReferenceFiles/specialed2/problemsofbehavior.pdf

新潟大学教育学部
発達障害への対応
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/201469.pdf

ホモ・ルーデンス、ホイジンガ、中公文庫

3. 問題行動の軽減・解決のために
(1) 問題行動をナゼするのか? ~ 知覚・感覚の問題

 これまでに、問題行動が見られるということは、その行動をする原因があることを見てきました。ここで1つ大きな原因として、知覚・感覚の問題があることを確認しておく必要があります。障害のある方は、知覚・感覚が鋭敏過ぎる方が少なくないと言われています。

人は①体のさまざまな部位で、周囲の情報という刺激を受け取り、それが、②神経系を通して脳に伝わり、③脳がその刺激を情報処理して、感覚として受け取る、知覚しています。

視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚といった五感の他、圧覚、痛覚、冷覚・温覚、平衡感覚、運動感覚など、他にも感覚と位置づけられているものを通じて、世界を認識しているわけですが、これが鋭敏すぎる。つまり、感覚に対して過敏だということです。

この感覚過敏が、問題行動の原因になっている可能性があるのです。このような知覚・感覚を通じた刺激の強さは、言葉で聞く以上の「ニガテ」や「困りごと」であると考えられますし、そのような「ニガテ」や「困りごと」が、「好き・嫌いに影響を与えている」と考えられる他、「問題行動につながっている場合がある」と考えられるのです。

(2) 問題行動のとらえ方とその軽減・解決に向けて

「図-問題行動へのアプローチ」

① 行動主義心理学の基本的な理論

 このように問題行動をとらえると、問題行動の原因となっていることに対処することが、問題行動を軽減・解決する一つのアプローチになると考えられます。では、その原因にアプローチするためにどうすべきか? 行動主義心理学の基本的な理論では、ある一つの行動というものは、

1)「刺激:どのような条件や状況のとき」
2)「反応:どのような行動が見られ」
3)「反応の結果:どのようなことが起きたのか」

の3つに分解することができるとされています。この点をまずは押さえておくことが基本です。

② 原因を探るというアプローチ

問題行動が上記の2)「反応」にあたるとした場合、問題行動の軽減・解決に向けたアプローチとして考えられるは、上記の「刺激」にあたるものを取り除くアプローチになります。問題行動の原因となる刺激には、整理すると次のようなものが考えられます。

1) 感覚・知覚過敏によるもの
2) 注目を集めようとするもの
3) 物や活動などを得ようとするもの
4) 注目から逃れようとするもの
5) 課題や活動から逃れようとするもの

これらの刺激は、「取り除けば解決できるもの」がある一方で、「取り除くわけにはいかないもの」もあると考えられます。

「1)感覚・知覚過敏によるもの」は、取り除くことが解決になる場合も多いと考えられますが、その他については、取り除くことが他の問題を引き起こす可能性があるということを、十分考慮する必要があると言えるでしょう。

③ 問題行動直後の行動を変えるというアプローチ

 もう一つのアプローチは、ご本人の反応に対する「反応の結果」にあたるものを変えるというアプローチです。

たとえば、「スーパーでお菓子を見る」という刺激があると、「買ってとパニックを起こす」という反応が見られ、「周囲が買い与える」という反応の結果をご本人が得られるとした場合、「周囲が買い与える」という行動を、つまり、ご本人にとっての「反応の結果」を変える必要があるということです。

この例で言えば、「買い与える」ことを変える、つまり「無視する」ことをしないと、いつまでもその問題行動をくり返すことになると考えられるのです。

(3) 行動を3つのタイプに分けて対応する

 問題行動は、問題行動にのみ注目して対応するのではなく、望ましい行動への対応によっても影響を受けると考えられます。つまり、ご本人が何をすれば良いのかを習慣的に身につけていけるよう接することが重要になるということです。

以下は、行動を3つのタイプに分けた場合の基本的な対応の方法ですが、一度やればよいものではなく、習慣化できるよう、「常に」、「一貫性をもって」対応することが重要です。

① 増やしたい行動の場合

基本的にはホメることになります。ホメられることによって、「どのような行動をとればホメられるのか」を理解させるということです。このとき、くり返すことが重要。何が好ましい行動なのかということを少しずつ理解していくことにつながるということです。

② 減らしたい行動の場合

「計画的な無視」、「次にすべき行動の指示」、「その子どもが好むことを与えない」といった対応をします。計画的な無視とは、事前に明確に位置づけた「減らしたい行動」について、その行動をとった場合は無視をするということです。

③ 止めさせたい危険な行動の場合

まずは、子どもの視線に入るよう近づき、視線を合わせ、冷静に落ち着いた声で、その行動は止めなければならない危険な行動であることを伝えます。

さらにその行動をやめるまでの時間的な猶予とその行動をやめなかった場合に子どもが失うもの、たとえば、好きなことがやれなくなるといったことを提示します。それでもやめなかった場合、実際に提示した「失うもの」を実際に行うことになります。

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参考:
埼玉県立総合教育センターホームページ
自閉症の特性と支援Q&A集
http://www.center.spec.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=7972

Kumano’s Information Base
オペラント学習と行動療法
http://hikumano.umin.ac.jp/hosei/CBT4.pdf

J-STAGE
学びの場が生まれるとは
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/54/0/54_153/_pdf

労働安全衛生総合研究所
行動分析学との遭遇
http://www.jniosh.go.jp/publication/mail_mag/2011/36-3.html

立命館大学人間科学研究所
「障害」と行動分析学
http://www.ritsumeihuman.com/uploads/publication/ningen_02/02_011-019.pdf

最後に

 「問題行動」という言葉は、多様な意味、多様な見方で用いられます。よって、「問題行動」を扱うときには、「何を問題行動としているのか」を定めることがまずは重要です。

「問題行動」は、軽減または解決したい行動だととらえれば、「ナゼその問題行動が見られるのか?」、つまり原因をきちんと把握することが最も重要になることがわかるでしょう。「問題行動」は、その方の困りごとが原因となってあらわれていることが珍しくありません。

特に感覚過敏が原因となっている場合も多いと考えられますので、どのような感覚が過敏なのかに気づくこと、つまりよく観察することが、初めの一歩になると言えます。

もう一つのアプローチは、問題行動をした場合の対応を徹底することです。このとき、増やしたい行動はしっかりとホメること、減らしたい行動は無視することに始める指導、止めさせたい行動の場合は冷静な態度での指示と必要に応じた罰を与えることを徹底することが重要です。

いずれにしても、すぐに効果があらわれるものばかりではありません。地道に、一歩一歩土台をつくっていくことが重要になることは、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
国立障害者リハビリテーションセンター
行動の背景と捉え方
http://www.rehab.go.jp/ddis_pdf/179b.pdf

東京都教育委員会
平成28年度における児童・生徒の問題行動・不登校等の実態について
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/press_release/2017/release20171026_04.html

埼玉県立総合教育センターホームページ
自閉症の特性と支援Q&A集
http://www.center.spec.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=7972

岩手県立総合教育センター
問題行動の軽減の方法
http://www1.iwate-ed.jp/kensyu/siryou/h19/h19_615.pdf

慶應義塾大学出版会
子どもの問題行動の意味
http://www.keio-up.co.jp/kup/kyouiku/zuihitsu/z201205.html

和歌山大
重度の知的障害をともなう自閉症児の行動の指導
http://www.wakayama-u.ac.jp/~eda/ReferenceFiles/specialed2/problemsofbehavior.pdf

新潟大学教育学部
発達障害への対応 http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/201469.pdf

立命館大学人間科学研究所
「障害」と行動分析学
http://www.ritsumeihuman.com/uploads/publication/ningen_02/02_011-019.pdf

J-STAGE
学びの場が生まれるとは
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/54/0/54_153/_pdf

労働安全衛生総合研究所
行動分析学との遭遇
http://www.jniosh.go.jp/publication/mail_mag/2011/36-3.html

Kumano’s Information Base
オペラント学習と行動療法
http://hikumano.umin.ac.jp/hosei/CBT4.pdf

ホモ・ルーデンス、ホイジンガ、中公文庫

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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