障害のある方の社会での活躍の場の広がり

発達障害

はじめに
 これまで障害のある方の社会での活躍の場は、多くの制約により限定されてしまっていたと言えます。一方で、社会の変化や、個々の障害のある方の努力などもあり、活躍の場は広がりつつあり、また、大きな可能性があるというとらえ方もできるようになりつつあります。
 ここでは、障害のある方の社会での活躍の状況を見つつ、今後の可能性についてどのような見方ができるのかといった点についてまとめています。

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1. 障害のある方の社会での活躍

「図-障害のある方の活躍の場の広がり」

(1) スポーツの世界での活躍

スポーツにおいては、障害のある非常に多くの方が世界的な活躍をされています。

記憶に新しいところでは、2018年2月開催された平昌冬季パラリンピック。日本からは38選手が参加、アルペンスキーの村岡選手・森井選手、スノーボードの成田選手、クロスカントリースキーの新田選手がメダルを獲得されましたが、それはあくまで結果にすぎないでしょう。

その結果よりはむしろ、多くの障害のある方々がトップアスリートとして活躍されており、また、世界中の方々に、スポーツのすばらしさや、人の能力の可能性と努力の持つパワーなどを伝えられていることの方が重要なこと、という見方もできるのではないかと考えられます。

(2) 文化・芸術、世界的な活動における活躍

 活躍の場は、スポーツの場だけではありません。文化、芸術の場でも、多くの障害のある方が国内外を問わず活躍されています。また、いわゆる世界の偉人と呼ばれる方にも、障害のある方はいらっしゃいます。たとえば、次のような方々は、ほとんどの方がご存知なのではないでしょうか(以下、敬称略)。

ヘレン・ケラー
聴覚と視覚の二重の障害のある方として、初の文学士号を取得された作家・活動家として有名です。障害のある方の権利や女性の参政権、そして妊娠中絶の自己決定権を提唱するなど、影響力の強い女性でした。

ベートーベン
音楽家には致命的とも思われる聴覚に障害がありながら、数々の名曲を残しました。聴覚をほとんど失った後でも、ピアノ・ソナタ「ハンマークラビア」交響曲第九番「合唱」などを残しています。

スティーヴン・ホーキング
量子宇宙論という分野を形作り、現代宇宙論に多大な影響を与えた人物として、また、それを平易に解説した「ホーキング、宇宙を語る」の執筆者としても有名なホーキング博士は、1960年代、学生のころに筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。「車椅子の物理学者」としても知られています。

スティーブン・スピルバーグ
ジョーズ、インディ・ジョーンズ、ジュラシックパークなどで有名なハリウッドの映画監督ですが、ディスレクシアであることを告白されています。少年時代には、文字が読めないことを馬鹿にされイジメにあった経験もあるとのこと。

トム・クルーズ
数多くの主演映画でも有名なアメリカの俳優で、学習障害の中でも読むことに困難のあるディスレクシアをお持ちで、セリフは「一度音声に落としてもらってから覚えている」。子どもの頃には12年の間に15もの学校を渡り歩いたと話されています。現在は、学習障害に関する講演活動も積極的にされています。

スーザン・ボイル
スコットランド出身で美声の女性歌手。イギリスの新聞で、2012年にアスペルガー症候群と診断されたことを告白されています。

パリス・ヒルトン
アメリカ出身のファッションモデル・ファッションデザイナー・女優・歌手です。テレビ番組で、「ADHDがあることを公にするのは、同じ障害に苦しむ他の方々の助けになる一番いい方法だと信じている」と発言されました。

市川拓司
映画化もされた小説「いま、会いにゆきます」の著者である市川さんは、「ぼくが発達障害だからできたこと」という自叙伝も執筆されています。アスペルガー症候群の特徴の一つである集中力を武器に、頭に鮮明に浮かぶ出来事などを小説にしているとも言われています。

大前光市
大前さんは、2016年に開催されたリオデジャネイロパラリンピックの閉会式において、東京パラリンピックへの引き継ぎセレモニーでダンスを演じた日本のプロダンサーです。「かかしのダンサー」として、片足が義足というハンディキャップを生かした独自の創作ダンスで注目を集めています。2017年末の紅白歌合戦でパフォーマンスをされたことでご存知の方も多いでしょう。

栗原類
ファッションモデルの栗原さんは、NHKの番組で過去にADHDの診断を受けたことを告白されました。ご自身の体験を綴った「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」(KADOKAWA)を出版されています。

黒柳徹子
女優や司会者として有名、ユニセフ親善大使でもある黒柳さんは、2001年に出版した著書「小さいときから考えてきたこと」にて、自分は読書障害と計算障害だったのでは、と書かれています。

(3) 企業での活躍

世界的な大企業と呼ばれるような企業でも、障害のある方の可能性、能力に注目しています。

① マイクロソフトの場合

マイクロソフトは、自閉症の方を積極的に採用するプログラムを2015年4月から始めています。当初は米国内のみだったものが今では世界中で導入を進めているとのこと。そのプログラムは独特で、面談等だけでなく、一緒に働きながら、お持ちの能力が発揮できるか、その能力をフルに発揮してもらうにはどのような支援があればよいかといったことも検討しながら、最終的にはフルタイムでの雇用を目指すというものになっています。

この方法ですでに自閉症の方を数十名採用、雇用されているとのこと。

「自閉症の方々は、マイクロソフトが求めている強みをお持ちです。それぞれ個性をお持ちであり、それは素晴らしい記憶力であったり、深い思考力であったり、数学力やプログラミング力であったりします」とは、コーポレート・バイスプレジデントのメアリー・エレン・スミス氏の言葉です。
(出典:Microsoft Corporate Blogs  Microsoft announces pilot program to hire people with autism 
https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2015/04/03/microsoft-announces-pilot-program-to-hire-people-with-autism/

② 日本企業の場合

経営学者で法政大学大学院政策創造研究科教授である坂本光司氏著による「日本でいちばん大切にしたい会社」は、シリーズで出版されていますが、そこでは、障害のある方の雇用に積極的な企業が多く紹介されています。それらの企業は、障害のある方の能力にいち早く気づき、その能力を発揮いただくことで、企業と従業員、そして、顧客とのトリプルWINの関係を構築している企業としても注目されています。

参考:
Microsoft Corporate Blogs  Microsoft announces pilot program to hire people with autism
https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2015/04/03/microsoft-announces-pilot-program-to-hire-people-with-autism/

人を大切にする経営学会 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 ホームページ
https://taisetu-taisyo.jimdo.com/

2. 障害のある方が活躍できる場 ~就労環境

行政においても、障害のある方の活躍の場を広げようとする施策が導入されたり、改正されたりしています。

(1) 障害者雇用促進法

障害者雇用促進法は、正式名称を障害者の雇用の促進等に関する法律と言い、障害のある方の職業の安定を図ることを目的に制定された法律です。

① 障害者雇用促進法の基本

障害者雇用促進法で定められている主なポイントは、次のとおりです。

1) 雇用義務制度であること:障害者雇用率に基づき、障害のある方の雇用義務が発生する
2) 障害のある方の雇用の義務を企業等の事業主に果たさせるための、いわば「動機づけ」にあたるような納付金制度が導入されていること
3) 障害のあるご本人に対する措置としての職業リハビリテーションの実施が定められていること
4) 障害のある方への不当な差別の禁止と合理的配慮の義務が課されていること

② 2018年4月の障害者雇用促進法の改正

2018年4月、障害者雇用促進法は改正され、障害のある方の雇用義務が拡大しています。具体的には、障害者雇用率と呼ばれるものが、民間企業の場合は2.0%から2.2%に引き上げられ、この結果、企業人数規模が45.5人以上の企業は1人以上の障害のある方の雇用義務があります。また、2021年3月までのいずれかのタイミングで、さらに0.1%引上げられることが決まっています。

(2) その他の就労の場 ~就労継続支援事業

就労継続支援は、障害のある方に、働く場を提供しつつ、必要な知識やスキルを身につけていけるよう支援することを目的とした福祉サービスです。就労継続支援には、就労継続支援A型と、就労継続支援B型の2つのサービスがあります。能力開発支援を継続的に行いつつ、就労の場を提供するという点では共通であるものの、契約面を中心に条件面での差があります。

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参考:
電子政府の総合窓口 e-Govホームページ
障害者雇用促進法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000123&openerCode=1

厚労省ホームページ
障害者雇用促進法の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/03.html
障害者の就労支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf

3. 今後も広がりが予想される障害のある方の活躍の場 ~期待の大きい障害のある方

「図-障害のある方の活躍の場の拡大が予想される背景」

(1) 労働の担い手としての障害のある方

日本社会が直面している大きな課題に、人手不足があげられます。その具体的な対策として、女性や高齢者の活用、外国人技術者・労働者の派遣、技術の導入などが進められているという面がありますが、そのような中で、障害のある方にも注目が集まるようになっています。

 2015年11月に厚労省が発表した<「一億総活躍社会」の実現に向けた厚生労働省の考え方>では、人口減少社会における労働力確保の取り組みの一つとして、「障害者の就労」があげられており、具体的なものとして「農福連携の促進=農業と福祉の連携・連動の促進」などが例示されています。

(2) 時代の要請と合致する「障害のある方の生き方」

 上記のような人手不足の解消という側面だけでなく、「障害のある方の生き方」にも注目が集まります。何らかの困難を抱えることが想像される障害のある方との関わりを通じて相互理解を深め、多様性というものを理解しようというものが一つの視点です。

もう一つの視点は、純粋に障害のある方に学ぼうというものです。障害のある、ということは、時に障害のない場合以上の努力や工夫が求められると考えられます。また、現実問題として、何かをあきらめることも必要になる場合があるでしょう。

そのような制約の中で、障害のある方が、「何を、どんな理由で、どのように、人生におけるさまざまな選択をされてきたのか。そして、どのような想いを持たれてきたのか。」このことからは多くの学びがあると考えられるということです。

(3) ユーザー視点と障害

 障害のある方がより社会で活躍しやすい環境を作るには、障害のある方ご自身の困りごとを解決できる技術や製品が必要になります。つまり、それを実現する商品・サービスが必要になっており、それは企業にとってはビジネスチャンスでもあるわけです。

このとき、障害のある方が商品・サービスを提供する側、つまり、その企業で働く方であったとしたら、その商品・サービスのユーザーでもあるということになります。つまり、ご自身の障害によって生じる困りごとを解決する方法を考えることが、新しい商品・サービスになる可能性があるということです。

これは、「顧客視点でモノゴトを考える」という、企業が必要とするモノの見方を取り入れていく一つの方法として、大きな可能性があるということでもあります。

(4) 技術革新・サービス開発の場としての障害のある方の生活の場

 同じように、障害のある方の生活の場は、技術革新・サービス開発のまさに現場であると言えます。障害のあることで不都合が生じないようにするためには、その生活の場で、どのような技術やサービスが必要か。また、どのようなものがあれば、障害に関わらず持てる能力を発揮いただけるのか。そして、それが実際の生活の場面で役立ったのか。障害のある方の生活の場は、そのようなヒントが多く隠されている場であると言うこともできるということです。

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参考:
首相官邸ホームページ
「一億総活躍」社会の実現に向けた厚生労働省の考え方
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai2/siryou4.pdf

文科省ホームページ
共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 ホームページ
インクルーシブ教育システムに関する基本的な考え方
http://inclusive.nise.go.jp/index.php?page_id=40
野村総合研究所 ホームページ
技術革新と働き方改革が拓く障害者の活躍可能性
https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/teiki/chitekishisan/cs201607/cs20160705.pdf

最後に

 障害のある方の活躍の場は、これまでは大きな制約を受けてきたと言えるでしょう。その制約は、本当に少しずつではあるかもしれませんが、解消されてきたり、軽減されてきたりしています。また、障害に対する理解も、これも少しずつではありますが、深まりつつあります。

そのような中で、あらゆる業界で、ご自身の持てる能力を磨き、社会で大活躍される障害のある方がいらっしゃいます。もちろん障害のある方にとって、その環境は決して十分とは言えないかもしれませんが、それでも障害のある方が活躍できる場も広がりつつもあります。

障害の有無に関わらず、「自分の夢を持ち、その実現に向けて持てる能力を磨き、それを発揮し、さらにそれを磨く。そのような活動・行動が、何らかの形でご自身にとっての幸せにつながること。そしてそれが当たり前の世界にしていくこと」が、もっとも大切なことと言えるのではないでしょうか。

 なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
電子政府の総合窓口 e-Govホームページ
障害者雇用促進法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000123&openerCode=1

首相官邸ホームページ
「一億総活躍」社会の実現に向けた厚生労働省の考え方
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai2/siryou4.pdf

厚労省ホームページ
障害者雇用促進法の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/03.html
障害者の就労支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf

文科省ホームページ
共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 ホームページ
インクルーシブ教育システムに関する基本的な考え方
http://inclusive.nise.go.jp/index.php?page_id=40

Microsoft Corporate Blogs  Microsoft announces pilot program to hire people with autism

Microsoft announces pilot program to hire people with autism

人を大切にする経営学会 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 ホームページ
https://taisetu-taisyo.jimdo.com/

野村総合研究所 ホームページ
技術革新と働き方改革が拓く障害者の活躍可能性
https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/teiki/chitekishisan/cs201607/cs20160705.pdf

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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