認知症を患う方を支える手帳制度 ~精神障害者保健福祉手帳・身体障害者手帳

高齢者・認知症

はじめに
 認知症を患う方を支える福祉制度の1つに、手帳制度があります。対象となる手帳制度は、「精神障害者保健福祉手帳」、もしくは、身体に障害を伴う場合は、「身体障害者手帳」になります。ここでは、両手帳制度について、その概要をまとめています。

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1. 意外と知られていない? 認知症を患う方を支える手帳制度
(1) 「認知症手帳」というものはないが・・・

障害者手帳制度については、ご存知の方も多いでしょう。障害のある方を支援することを目的に、以下の3つの制度がそれぞれの法律の下で制度化されています。いずれの手帳でも、ほぼ同じような福祉サービスを受けることができます。

① 療育手帳
② 精神障害者保険福祉手帳
③ 身体障害者手帳

このように、認知症を患う方のみを対象として特化した手帳制度はありません。

(2) 認知症を患う方が取得できるのは、精神障害者保健福祉手帳、または、身体障害者手帳

認知症は、その症状からも広い意味での精神障害に位置づけられています。このことから、認知症を患う方は基本的には精神障害者保健福祉手帳の申請が可能なのです。

ただし、認知症を患う方の場合、身体障害を併発しているケースもあると考えられます。その場合は、身体障害者手帳の交付対象となる場合があります。

(3) 両手帳ともに、年齢に関係なく申請できる

両手帳の取得について、年齢の上限は規定されていません。つまり、認知症と診断されれば、その年齢に関わらず申請が可能ということになります。

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参考:
厚労省 ホームページ
各障害者手帳制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnm9-att/2r9852000001vota.pdf

東京都福祉保健局 ホームページ
精神障害者保健福祉手帳
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/s_techou.html
身体障害者手帳
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/shinshou_techou/index.html
愛の手帳(東京都療育手帳)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/a_techou.html

2. 精神障害者保健福祉手帳とは?
(1) 精神障害者保健福祉手帳とは?

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあると判定された方に交付される手帳です。この手帳の交付を受けられた方、つまり、認知症を含む広い意味での精神障害のある方の自立と社会参加を促進するため、様々な支援サービスが受けられるようになっています。

精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法(正式名称:「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)の下に定められている制度です。精神保健福祉法は、医療及び保護を行うこと、社会復帰や自立・社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うことなど、福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律です。

(2) 対象となる方 ~ 認知症を含む広い意味での精神障害のある方

次のような障害により、長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある方が対象です。すべての精神障害が対象で、この中に認知症が含まれています。

統合失調症
気分障害(うつ病・そううつ病など)
てんかん
薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
高次脳機能障害
発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
ストレス関連障害
認知症 など

ただし、認知症により身体機能面に障害がある場合は、身体障害者手帳の対象となり、精神障害者保健福祉手帳の対象とはならない場合があります。また、手帳を受けるためには、認知症であると初めて診断されたときから6ヶ月以上経過していることが必要になります。

(3) 等級

精神障害者保健福祉手帳には、1級~3級までの区分があります。どの級に該当するかは、障害の内容と障害の程度によって基準がありますが、概ね以下のとおりとされています。

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参考:
厚労省 みんなのメンタルヘルス総合サイト
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html

東京都保健局ホームページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/tetuzuki/techo.files/tetyou_hanteikijyun.pdf

3. 身体障害者手帳とは?
(1) 身体障害者手帳とは?

身体障害者手帳とは、身体障害のある方に交付される障害者手帳です。身体障害のある方が自立し、社会での経済活動を行えるよう、支援したり保護したりすることを目的に作られた身体障害者福祉法の下で制度化されているしくみです。各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長が、身体障害者福祉法に定められた身体上の障害のある方に交付します。

(2) 対象となる方

 身体障害者手帳の交付対象となる方は、身体障害者福祉法で定められた身体上の障害のいずれかがある方で、その症状が一定程度以上であり、現在から将来に渡って回復する可能性が非常に少ない方とされています。

① 対象となる障害の種類

 身体障害者手帳の交付対象となる障害は次のとおりです。

1) 視覚障害
視力障害、視野障害があります。

2) 聴覚・平衡機能障害
聴覚障害、平衡機能障害があります。

3) 音声・言語・そしゃく機能障害
音を発すること、言葉を発すること、物を口でそしゃくし飲み込むことがあります。

4) 肢体不自由
上肢(肩関節・肘関節・手関節・手指)の機能障害、下肢の機能障害、体幹(頸部・胸部・腹部・腰部)の機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害があります。

5) 内部障害
心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸の機能障害、ヒト免疫不全ウィルスによる免疫の機能障害、肝臓機能障害があります。

6) 重複障害
上記の1~5の身体障害が2つ以上ある場合、重複障害とされます。

(3) 障害の程度
① 等級

身体障害の程度は、「等級」で表されます。等級は障害の種類別に1~6級までがあり、1級ほど障害の程度が重く、6級に近づくほどその程度が軽いことを表しています。なお、等級の基準設定において、肢体不自由には7級も定義されていますが、それ単独では身体障害者福祉法上の身体障害者の対象とはなりません(=身体障害者手帳の対象となりません)。

ただし、7級の障害が2つ以上重複する場合や7級の障害と6級以上の障害が併せてある場合は、身体障害者手帳の交付対象となります。例えば、上肢で7級、下肢でも7級の障害がある場合、一つ上の6級として身体障害者手帳の交付対象となるということです。

② 種別

 身体障害のある方に対しては、後ほど示すような、複数の支援サービスがあります。これらのサービスをどの程度のレベルで受けられるかを示すものに「種別」があり、1種と2種に分けられています。例えばJRの運賃は、障害者手帳をお持ちであることで割引が受けられますが、1種か2種かによって介護同行される方の割引の有無などの差があります。なお、種別は等級との関係で決められており、具体的には以下のようになっています。

もし、施設利用中、レジャーや自宅などでケガをした時、公的保険で補えない金額は、どうされますか?↓↓↓

参考:
厚労省ホームページ
第3編 社会福祉 第3章 障害者福祉
http://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_3_3.html
身体障害者手帳
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/

東京都福祉保健局 東京都心身障害者福祉センター
身体障害者と身体障害認定基準について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html

4. 精神障害者福祉手帳、または、身体障害者手帳を取得するまでの流れ

「図-手帳を取得するまでの流れ」

精神障害者福祉手帳や身体障害者手帳は、医療機関で認知症と診断されたら自動的に取得できるものではなく、市区町村の窓口への申請をしないと交付されません。また、申請しても必ず交付されるわけではありません。

(1) 手帳の取得を申請するには

まず、医療機関で認知症だと診断される必要があります。また、申請は、診断されてから6カ月以上経過している必要があります。

(2) 申請窓口

市区町村ごとに窓口があります。各地域で窓口の名称が異なったり、年齢による申請窓口の違いがあったりする場合がありますので、お住まいの地域の役所に、事前に電話などで問い合せしておくと安心できるでしょう。

(3) 申請の手続きができる人

申請手続きができるのは、ご本人、または保護者などの法定代理人の方、または委任状によって正式に手続きを託された任意代理人の方です。

(4) 申請に必要なもの

申請に必要となるのは、以下のものです。

① 障害者手帳申請書
② 診断書、または、障害年金証書の写し(障害年金を受給している場合のみ)
③ ご本人の写真(縦4cm×横3cm、脱帽・上半身、申請日から1年以内に撮影したもの)

ご本人が申請する場合は、①~③に加えて、以下のものが必要になります

④ ご本人の個人番号確認書類(マイナンバー通知カード、マイナンバーカード、マイナンバーが記載された住民票の写し、など)
⑤ ご本人の身元確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、各障害者手帳、など)

代理人の方がご本人に代わって申請する場合、①~③に加えて、以下のものが必要です

⑥ 代理権の確認書類(戸籍謄本(法定代理人の場合)、委任状(任意代理人の場合)など)
⑦ 代理人の方の身元確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、身体障害者手帳、など)
⑧ ご本人の個人番号確認書類(マイナンバーカードの写し、マイナンバー通知カードの写し、マイナンバーが記載された住民票の写し、など)

※ ① 各申請窓口に記入用紙があります
※ ② 年金証書等の写しによる申請の場合、年金事務所又は共済組合等への障害種別と障害等級の照会に関する同意書の提出を求められる場合があります
※ ③ 写真の裏面に、氏名と生年月日の記入を求められる場合があります

(5) 申請後~交付まで

申請後、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターにおいて審査が行われ、認められると手帳が交付されます。1~2カ月後に交付されることが多いようですが、4カ月程度かかる場合もあるようです。

(6) 有効期間と更新手続き

① 精神障害者福祉手帳の場合

申請された日から2年間(2年後の月末まで)です。つまり、2年ごとに更新申請の手続きが必要になります。有効期限の3カ月前から更新申請をすることができます。その他、氏名や住所の変更、障害等級の変更、紛失や破損などの場合も申請手続きが必要になります。

② 身体障害者手帳の場合

有効期間については、特に設定されていないのが一般的です。ただし、再認定が必要な場合があります。たとえば東京都の場合、交付時点で障害の程度の変化が予想される場合は、再認定の期日(手帳交付時から1年以上5年以内)が指定されます。その期日までに身体障害者診断書・意見書を再度提出、障害程度を改めて認定してもらうことが必要になります。

参考:
東京都福祉保健局ホームページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/a_techou.html

5. 手帳を持つ方への福祉サービス

「図-手帳の取得で受けられるサービス」

手帳を取得すると、(1)全国一律でのサービスと(2)各地域や事業者ごとのサービスを受けることができます。

(1) 全国一律でのサービス

① 公共料金等の割引
NHK受信料の減免
② 税金の控除・減免
③ 所得税、住民税の控除
④ 相続税の控除
⑤ 自動車税・自動車取得税の軽減(1級の方のみ)
⑥ その他
生活福祉資金の貸付
手帳所持者を事業者が雇用した際の、障害者雇用率へのカウント
障害者職場適応訓練の実施

(2) 地域・事業者によっては行われているサービス

お住まいの地域によってサービスの内容が異なります。次のようなサービスが行われていることが多いようです。

① 公共料金等の割引

鉄道・バス・タクシー等の運賃割引
携帯電話料金の割引
上下水道料金の割引
心身障害者医療費助成
公共施設の入場料等の割引

② 手当の支給など

福祉手当
通所交通費の助成
軽自動車税の減免

③ その他

公営住宅の優先入居

くわしくは、各市区町村窓口、各事業者にご確認ください。

参考:
厚労省ホームページ 
障害者雇用促進法の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/03.html
みんなのメンタルヘルス総合サイト
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html

東京都保健局ホームページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/tetuzuki/techo.files/tetyou_hanteikijyun.pdf

国税庁ホームページ
障害者と税
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/03_2.htm
障害者控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1160_qa.htm

東京都主税局ホームページ
自動車税・自動車取得税の減免制度
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/info/car-genmen.html
東京都福祉保健局ホームページ
障害者、日常生活の支援・社会参加の推進
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/index.html
医療・保険、医療助成
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/josei/index.html

JR
割引制度のご案内
https://www.jr-odekake.net/railroad/service/barrierfree/discount.html

JAL 
身体障害者割引
https://www.jal.co.jp/dom/rates/rule/r_shougaisha.html

ANA 
身体障害者割引運賃について
https://www.ana.co.jp/service-info/share/assist/discount.html

NHK
放送受信料の免除
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/about_5.html

DoCoMo
ハーティ割引
https://www.nttdocomo.co.jp/charge/discount/hearty/

auスマートハート割引
http://www.au.kddi.com/mobile/charge/other-discount/smile-heart/

softbankハートフレンド割引
http://www.softbank.jp/mobile/price_plan/options/heartfrend-white-plan/

最後に

認知症を患う方を支える福祉サービスは複数あります。そのうち精神障害者保健福祉手帳・身体障害者手帳は、「認知症が、障害のレベルにまで進行していることが公的に認定されている」ことを示す一つの方法ととらえることもできます。また、交付された障害者手帳を提示することで、各種の福祉サービスを受けることができますので、少しでも興味を持たれたようなら、まずはお住まいの地域の福祉事業窓口に相談してみるとよいのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。


参考:
厚労省 ホームページ
各障害者手帳制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnm9-att/2r9852000001vota.pdf
第3編 社会福祉 第3章 障害者福祉
http://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_3_3.html
身体障害者手帳
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/
障害者雇用促進法の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/03.html
みんなのメンタルヘルス総合サイト
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html

東京都福祉保健局 ホームページ
精神障害者保健福祉手帳
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/s_techou.html
身体障害者手帳
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/shinshou_techou/index.html
愛の手帳(東京都療育手帳)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/a_techou.html
精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/tetuzuki/techo.files/tetyou_hanteikijyun.pdf
東京都心身障害者福祉センター
身体障害者と身体障害認定基準について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html
障害者、日常生活の支援・社会参加の推進
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/index.html
医療・保険、医療助成
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/josei/index.html

国税庁ホームページ
障害者と税
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/03_2.htm
障害者控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1160_qa.htm

東京都主税局ホームページ
自動車税・自動車取得税の減免制度
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/info/car-genmen.html

JR
割引制度のご案内
https://www.jr-odekake.net/railroad/service/barrierfree/discount.html

JAL 
身体障害者割引
https://www.jal.co.jp/dom/rates/rule/r_shougaisha.html

ANA 
身体障害者割引運賃について
https://www.ana.co.jp/service-info/share/assist/discount.html

NHK
放送受信料の免除
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/about_5.html

DoCoMo
ハーティ割引
https://www.nttdocomo.co.jp/charge/discount/hearty/

auスマートハート割引
http://www.au.kddi.com/mobile/charge/other-discount/smile-heart/

softbankハートフレンド割引
http://www.softbank.jp/mobile/price_plan/options/heartfrend-white-plan/

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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