ヘルプマークをご存知ですか? ~援助・配慮を必要とすることを示す方法

発達障害

はじめに
 障害があることに限らず、援助や配慮をしてもらいたいのに、そのことが一見わからないという方は多数いらっしゃいます。その対策として、元々は東京都が作成したものがJIS規格にまでなり、今現在、全国的に普及・啓蒙活動が行われているものに「ヘルプマーク」があります。

ここではヘルプマークについて、「そもそもヘルプマークとは何か?」を中心に、ヘルプマーク利用のメリット・デメリットや、利用法、入手・作成方法などについてまとめています。

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1. ヘルプマークとは?
(1) 「配慮が必要であるかわからない」という問題

交通機関の優先座席や施設利用などにおいて、援助や配慮が必要な方々に対するしくみは日本でも多く取り入れられています。その一方で、障害がある、妊娠しているなどの場合、外見からだけでは援助や配慮が必要かどうかわからない場合もあります。その結果、本来必要とされている方々が、十分な援助や配慮を得られていない可能性があるということです。

たとえば、妊娠初期の方のつわりなどは、非常に重いものである場合もあるにも関わらず、援助や配慮をされないばかりか、批判や非難の対象になってしまうことすらあります。実際、該当する方が優先座席を利用していたら、高齢の方に「若いのだから、座席を譲れと言われた」というようなことは、よく耳にする話です。心臓ペースメーカーを利用されている筆者の知人も、同様の嫌な想いを「一度や二度ではなく経験されている」そうです。

(2) 理想と現実

本来であれば、「もしかしたら、具合が悪かったり、あるいは障害があったりすることなどにより、配慮が必要な状況にあるのではないか?」と、誰もが想像できるようになることが理想でしょう。ただ残念ながら、今の日本はそういう環境にはありません。これは、人の活動範囲の広がりや、都市部への人口集中なども含めた人間関係の希薄化なども要因の一つと言えるかもしれません。

(3) ヘルプマークとは?

「図-ヘルプマーク」

① ヘルプマークとは?

ヘルプマークとは、元々は援助や配慮を必要としていることが一見わからない方が、援助や配慮を得やすくなるよう、東京都が作成したマークです。「援助や配慮が必要であることを、説明することなく知らせる方法」であり、援助や配慮を必要としていることの意思表示の方法でもあります。

また別の言い方をすれば、周囲の方々が、「援助や配慮が必要な方がいらっしゃること」を知り、「必要に応じて、積極的に援助や配慮をするためのもの」とすることができるでしょう。

② 広がるヘルプマーク

 この「東京都発」のヘルプマークは、2020年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックに向け、JISの案内用図記号に、2017年7月~追加されました。日本に住む方だけでなく、外国人観光客の方にも、「援助や配慮を必要とする方々を示すもの」として、よりわかりやすい記号とすることが目的となっています。

このような事情も受けて、ヘルプマークを導入する自治体は増加しています。平成30年6月末時点で導入されている都道府県は以下のとおりですが、都道府県単位以外にも、市町村単位で導入している場合もあります。

1) 北海道地方
北海道

2) 東北地方
青森県・秋田県

3) 関東地方
栃木県・東京都・神奈川県

4) 中部地方
山梨県・岐阜県・静岡県

5) 近畿地方
三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県

6) 中国・四国地方
鳥取県・島根県・広島県・徳島県・香川県・愛媛県

7) 九州地方
長崎県・宮崎県

③ ヘルプマークを利用できる方 ~ 障害のある方だけでなく、配慮が必要な誰も使える目印

ヘルプマークを利用できるのは、義足や人工関節を使用している方、内部障害のある方、難病を患う方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要とされている方々です。必ずしも障害のある方だけが利用するものではありません。
なお、内部障害は、身体障害者福祉法で、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由とともに障害分類のうちの一つとして規定されており、以下の7つを言います。

1) 心臓機能障害
心臓の機能が低下した状態のことを言います。たとえば心臓ペースメーカーを胸部に埋め込んでいる方などが対象です。

2) 腎臓機能障害
腎臓の機能が低下した状態のことを言います。たとえば人工透析をしている方などが対象です。

3) 呼吸器機能障害
肺を含む呼吸器機能が低下した状態のことを言います。たとえば酸素ボンベを常に携帯している方などが対象です。

4) 膀胱・直腸機能障害
 尿を貯める膀胱、便をためる直腸の機能低下または機能を失った状態のことを言います。たとえば排泄物を体外に排泄するための、人工肛門・人口膀胱を利用されている方などが対象です。

5) 小腸機能障害
小腸の機能が低下し、消化吸収がうまくできない状態のことを言います。たとえば、通常の経口摂取では栄養を体内に取り入れられず、胃ろうなどを行われている方などが対象です。

6) ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害(HIV感染症)
HIVウィルスに感染して、免疫機能が低下した状態のことを言います。発熱、下痢、体重減少・全身倦怠感があるとされています。特定の病状があらわれるとエイズ(後天性免疫不全症候群)の発症となります。

7) 肝臓機能障害
肝臓の機能が低下した状態のことを言います。倦怠感、黄疸、出血傾向、吐血、意識障害などが起こりやすくなっているとされています。

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参考:
東京都福祉保健局
ヘルプマーク
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html
ヘルプカード
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/card.html

東京都福祉保健局 東京都心身障害者福祉センター
身体障害者と身体障害認定基準について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html

2. ヘルプマーク利用のメリット・デメリット

「図-ヘルプマーク利用のメリット・デメリット」

(1) メリット ~ 援助や配慮を受けやすくする、しやすくする

 ヘルプマーク利用のメリットは、必要とされる方々が「口に出さなくても、一目で」、「援助や配慮を受けやすい」ということであり、逆の見方をすれば、周囲の方々が「援助や配慮をしやすい」という点です。援助や配慮を必要とすることを、その都度口に出して説明するのは多くの手間がかかるでしょう。

それは援助や配慮をする側にとっても同様です。多くの方々と出会う場、見知らぬ方々と出会う場ではなおさらです。「一目で援助や配慮を必要としていることがわかる」というメリットは、想像以上に大きいものと考えられます。 また、先の例で見たような、誤解・勘違い・批判や非難の対象になることを防止するための、一定以上の効果があるというメリットもあると言えます。

(2) デメリット ~ 認知の問題、ラベリングという問題

① まだまだ認知度が低い、という問題

 一方で、デメリットもあります。まず一つ目は、まだまだ認知度が低いという事実です。
東京都の調査によれば、ヘルプマークの認知度は、東京都が福祉保健モニターに登録している方を対象に2017年1月に実施した調査で、「意味までわかる」と回答された方が7割程度。2017年7月の別の団体の調査によれば、「知っている」と回答された方が首都圏在住者で6割に満たず、首都圏以外では4割に満たない状況。

ヘルプマークが都営大江戸線で配布・ステッカー表示されるようになってからすでに6年が経過しようとしていることと併せて考えても、十分認知されているとは言えない状況と言えるでしょう。

さらに、導入間もない道府県の多さ、導入していない県があることなどを踏まえれば、まだまだ普及・啓蒙の段階と言わざるを得ません。ヘルプマークを正しく認知していないがために、また別の誤解を生む可能性も否定できないのです。

 実際、「そんなマークは知らない」と、援助や配慮を拒否されたという経験を持つ方もいらっしゃるとのこと。認知度向上は世の中の務めでもありますが、場合によってはヘルプマークがどういったものなのか、つまり、「援助や配慮を必要としていることを示す、JISの案内用記号として採用されているマークなのだ」と説明できるようにしておくことも大切でしょう。

② ラベリングという問題

 上記のような認知度の低さも含め、ヘルプマークを利用されている方に対するラベリングの問題も課題です。認知度が低いということは、誤った認知がされている場合もあるでしょう。障害があることに対する差別や偏見がある現状を考えた場合、ヘルプマークを利用することが、別の差別や偏見を生む可能性も否定できません。

参考:
東京都ホームページ
インターネット福祉保健モニター アンケート 「障害及び障害のある方への理解」についてアンケートを実施
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/16/16.html
障がい者総合研究所
ヘルプマークの認知度・利用状況に関する調査
http://www.gp-sri.jp/report/detail029.html

3. ヘルプマークの効果的な利用方法
(1) 常に利用しなければならないものではない

 ヘルプマークは、常に利用しなければならない、必ず提示しなければならないという種類の目印ではありません。持っているからといって、利用したくない時や場では、利用する必要はないのです。

(2) 時と場を選んで利用するという方法

 そう考えると、時と場を選んで利用するというのが、デメリットによる影響を避けるための一つの効果的な方法でしょう。

交通機関を利用するとき、施設を利用するとき、役所を利用するときなど、多くの人々が行き交う場面や、利用を促進する職員などがいる場面で利用すれば、ヘルプマークを正しく認知されている方もその分いらっしゃることが想定できます。

また、近年では、地震や台風などを含め、自然災害による避難生活を強いられるケースも想定されます。そのような場では、援助や配慮を受けやすいと考えられます。
このように、時と場を選んで、いつでも利用できる準備をしておくというのは、効果的な利用方法であると言えるのではないでしょうか。

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参考:
東京都福祉保健局
ヘルプマーク
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

4. ヘルプマークを利用するには ~ 自作もOK!
(1) ヘルプマークを取得するには

 ヘルプマークは、東京都の場合、以下で取得することができます。各窓口に「ヘルプマークがほしい」と申し出れば、特に必要な書類などもなく、また手続きする必要もなく、入手することができます。入手できるヘルプマークは、ゴムと樹脂を主成分としたミラストマーと呼ばれる材質で作られています。

① 東京都心身障害者福祉センター(多摩支所を含む)
② 都立病院
③ 公益財団法人東京都保健医療公社の病院
④ 都営地下鉄各駅(押上駅、目黒駅、白金台駅、白金高輪駅、新宿線新宿駅を除く)駅務室
⑤ 都営バス各営業所
⑥ 荒川電車営業所
⑦ 日暮里・舎人ライナー(日暮里駅、西日暮里駅)駅務室
⑧ ゆりかもめ(新橋駅、豊洲駅)駅務室
⑨ 多摩モノレール(多摩センター駅、中央大学・明星大学駅、高幡不動駅、立川南駅、立川北駅、玉川上水駅、上北台駅)駅務室(一部時間帯を除く) 等

その他の自治体については、自治体ごとに独自に運用されています。基本的には、お住いの地域の市区町村窓口で入手できますので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。

(2) ヘルプマークは自作も可能

「図-ヘルプマーク自作時のポイント」

 ヘルプマークは、郵送対応をしておらず、各窓口での入手が基本です。
一方で、商用等の目的ではなく、ご本人が利用される場合は、ガイドラインに沿っていれば、自分で作ることも可能です。自作する場合のポイントは、次のとおりです。

① 次のWEBサイトからガイドラインを入手する http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

② ガイドラインP.8に掲載されている画像をそのままカラーで印刷し、適当な大きさに切り取る ③ 注意点として、サイズの拡大・縮小はしても良いが、縦横の比率は変更してはならない

透明のカードケースなどを購入しその中に入れれば、そのまま利用することができます。普段持ち歩くカバンにつけておく、必要な時だけ利用したいという場合には、必要な場面でだけ提示するといった使い方もできるでしょう。
ヘルプマークを受け取るときに、合わせて、ヘルプカードも添付されています。

東京都の標準様式では、「連絡先名」と「連作先電話番号」の2項目を記載できるようになっています。自作の場合は、この2項目をメモのような形で記載し、ヘルプマークと併せてカードケースに入れておくと良いでしょう。

参考:
東京都福祉保健局
ヘルプマーク
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

5. ヘルプマーク、利用にあたっての注意点

 ヘルプマークは、援助や配慮を必要としていると「申し出れば」、あるいは、「自作すれば」、誰でも入手できますし、作ることもできます。つまり、ヘルプマークを持っているからと言って、それが何らかの公的な証明になっているわけではないということは、十分な理解が必要です。

また、ヘルプマークに関連する何らかの商品を売ろうとするような業者がいないとも限らないという点にも注意が必要でしょう。ヘルプマークの商用には、明確な審査が義務づけられています。関連する商品の購入を検討する場合などには、「審査を受けているのか」などきちんと説明を受け、不審に思うような点があれば、東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課に問い合わせることも大切です。

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参考:
東京都福祉保健局
ヘルプマーク
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

最後に

 ヘルプマークは、障害のある方に限らず、援助や配慮を必要とされるすべての方が、「援助や配慮をしてほしい」という意思を示す目印です。一見そのような援助や支援が必要と見えない方が使えるマークと言え、2018年にはJIS規格となったこともあり、全国的に導入が進められています。

 とはいえ、東京都発のマークでもあることから、都内であれば都営の交通機関の駅や事業所、病院、東京都心身障害者福祉センターなどで簡単に入手できるものの、他の自治体については入手しにくい面もあるでしょう。この場合、ガイドラインをWEBサイトから入手し、印刷すれば、自作することも可能です。

「必ず利用しなければならない」という主旨のものではないものの、「説明しなくても援助や配慮が得られやすい」という面もありますので、人の多い場に行く際、あるいは、自然災害時の備えとして、準備しておくと良いのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
東京都福祉保健局
ヘルプマーク
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html
ヘルプカード
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/card.html

東京都福祉保健局 東京都心身障害者福祉センター
身体障害者と身体障害認定基準について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html

東京都ホームページ
インターネット福祉保健モニター アンケート 「障害及び障害のある方への理解」についてアンケートを実施
www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/16/16.html
障がい者総合研究所
ヘルプマークの認知度・利用状況に関する調査
http://www.gp-sri.jp/report/detail029.html

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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