チックとトゥレット障害

発達障害

はじめに
 「チック」は耳慣れない単語かもしれませんが、「突発的で不規則な、体の一部にみられるくり返しの動きや発声」のことです。そう聞けば「ああ、あれか」と思われる方も多いのではないでしょうか。実はこのような動きや発声は、広義の精神障害、あるいは発達障害に位置づけられているものである場合があります。

ここでは、チックという現象と、それが障害と言えるほどの症状となっているチック症群/チック障害群、そのうちの1つの状態であるトゥレット障害などについて、その特徴や治療法などについてまとめています。

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1. チックとは? ~チック症とトゥレット障害との関係
(1) チックとは?

「図-チックとは?」

チックとは、一見、クセのようにみえる、特に顔に多くみられる筋肉運動で、他にも鼻を鳴らすこと、咳払い、しゃっくりのような発声といったものを言います。ご本人が意識してそのような動作をしたり、発声したりしているわけではない、あくまで「無意識のもの」であるため、それを止めることが非常に難しかったり、あるいは、できなかったりします。

ただ、チック自体は小児期には稀なものではなく、3~4歳の幼児期からみられるようになり、特に7~8歳の学童期に多くみられるものです。そして、その多くは、短ければ1~2カ月程度、長くても1年程度で自然に治癒する傾向があるため、疾患としてとらえないケースの方が多いようです。

その一方で、大人になっても重度のまま続いたり、悪化したりする場合もあります。この場合を、以降ここではチック症として見ていきます。

(2) チック症とその症状

 チック症の症状は、「動作の種類」と「その動作が続く時間」の2つの視点から、それぞれその症状を分類することができます。ただしそれらの症状は、すべてがみられるわけではありません。またずっと同じというわけではなく、突然違うチック症状に変わる場合もあります。

① 動作の種類

1) 運動チック
一見するとクセのようにみえる身体の動きのことです。すべてのものがみられるわけではなく、その人により、みられる症状が異なるものです。

・顔の動きでみられるもの
頻繁なまばたき、口をゆがめる、口のまわりをなめる、鼻をピクピクとさせる

・首の動きでみられるもの
頭をねじる、頭を前屈・後屈させる、頭を一回転させる

・肩の動きでみられるもの
肩をぴくっとさせる、肩をすぼめる

・手の動きでみられるもの
手をぴくっとさせる、手をくねらせる、手を振る

・足の動きでみられるもの
蹴る動きをする、スキップをする

・全身の動きでみられるもの
体を反らせる、体をねじる

・その他の動き
突然人や物に触る、誰かがした動作をくり返す

2) 音声チック
 音声チックは、音として聞こえるものを言います。運動チックと同様、すべてのものがみられるわけではなく、その人により、みられる症状が異なるものです。

・咳払い:音声チックで最も多くみられるものとされています
・「アッ」「ウッ」といった単純な音
・「フンフン」と鼻を鳴らす
・奇声を発する
・バカ、死ね、くそババア、卑猥な言葉といった汚言
・自分が最後に発した言葉をくり返す

② 持続時間の長短など

 明確な基準があるわけではありませんが、大きくは次の2つに分類できるとされています。

1) 単純型
瞬間的に発生するもので、周囲から見ても明らかに無意味で、また突然起きたとわかるものです。

2) 複雑型
 単純型と比較して動きが若干鈍く、意味があったり周囲の環境に反応して起きているようにみえたりするものです。

(3) チック症とトゥレット障害の関係

「図-チックとトゥレット障害の関係」

トゥレット障害は、1つ以上の「音声チック」症状と、複数の「運動チック」症状が、ともに1年以上にわたって継続する状態のことを言い、チック症で最も重症化している状態です。ただし、以下の条件に当てはまっていることが前提です。

<トゥレット障害をはじめとするチック症と診断される前提条件>
① 発症が18歳以前であること
② コカインなど物質の生理学的作用ではないこと
③ ウイルス性脳炎など、他の医学的疾患によるものではないこと

(4) チック症の症状に伴う問題点

 まばたきのような動作や咳払いは日常よくみられるものであり、周囲の人も特に気にしない場合が多いと言えます。

一方で、動作チックの場合であれば、「突然の大きな動作」や「人や物に触る」といったものは、周囲の人の目に留まりやすかったり、嫌な印象を与えてしまったりする場合もありますし、手のチックがある場合では、文字を書くのが困難になることも考えられます。

また、音声チックにおける甲高い奇声や汚言は、運動チックよりもむしろ周囲の注目を集めてしまいがちです。この結果、ご本人が肉体的・精神的に苦しいばかりでなく、周囲の人々にも不快な感情を抱かせ、学校・職場・家庭での生活に支障が出がちになるのです。

(5) チック症の発症数

 チック自体は、子どもに多くみられるものでもあり、その多くは一過性のものであることがわかっています。重症化したものであるトゥレット障害については、その正確な調査結果はありませんが、18歳未満に0.1%から1%の割合で発症すると言われています。

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参考:
厚生労働科学研究成果データベース
トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201027004B

公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター
トゥレット症候群(平成24年度)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3149

京都大学ホームページ
トゥレット障害の発症メカニズム解明に新展開 -音声チック症状を呈する霊長類モデルを開発-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/160121_1.html

東大病院 こころの発達診療部
「チック」や「くせ」をよく知ってうまくつきあっていけるように
http://kokoro.umin.jp/pdf/tic.pdf

NPO法人日本トゥレット協会
もしかしてトゥレット症候群ではありませんか?
http://tourette-japan.org/wp-content/uploads/2015/12/design_151211_print.pdf

医療法人社団ハートクリニック
チック障害
https://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/f90/tic01.html

2. チック症の原因と併発が考えられる障害
(1) チック症の原因

チック症の要因は厳密には特定されていませんが、以下のような要因が絡んでいるのではないかと考えられています。少なくとも親の育て方や本人の性格に根本的な問題があって起こるわけではありません。

① 環境要因・気質要因

不安や興奮、激しい疲労により悪化し、落ち着いて集中しているような環境では症状が安定する傾向があることから、ストレスがかかる環境で、また、相手の身振りや音声を、意図せず真似する場合があることから、特に教師・監督者・警察官といった権威のある立場の人とかかわる環境で、チック症が起こりやすいと考えられます。これは、環境だけの問題というよりは、ご本人の気質にも影響する面があると考えられるということです。

② 遺伝要因と生理学的要因:

遺伝的要因と生理学的要因は、チック症の出現率と重症度に深く関わっていると考えられています。遺伝的要因で言えば、大脳の深部にある運動調節にかかわる基底核という部分の働きに不調がある、あるいは、神経伝達物質の活動のアンバランスがあるともされています。

他にも、出産の際に生じた合併症、父親の高年齢、低出生体重、妊娠中の母親の喫煙との関連が考えられます。

(2) よくみられる合併症

チック症のある人は、他の障害を合併していることが少なくないとされています。

しばしばみられる合併症には、小児期のAD/HD(注意欠陥多動性障害)と、10歳以降では、強迫性障害があります。他にも睡眠障害、学習障害、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害、不安・抑うつ傾向、怒り発作などがみられることもあるとされています。

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参考:
厚生労働科学研究成果データベース
トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201027004B

公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター
トゥレット症候群(平成24年度)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3149
京都大学ホームページ
トゥレット障害の発症メカニズム解明に新展開 -音声チック症状を呈する霊長類モデルを開発-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/160121_1.html

東大病院 こころの発達診療部
「チック」や「くせ」をよく知ってうまくつきあっていけるように
http://kokoro.umin.jp/pdf/tic.pdf

NPO法人日本トゥレット協会
もしかしてトゥレット症候群ではありませんか?
http://tourette-japan.org/wp-content/uploads/2015/12/design_151211_print.pdf

医療法人社団ハートクリニック
チック障害
https://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/f90/tic01.html

3. チック症の治療方法
(1) 治療の方向性

チックは基本的に薬物療法の対象とならない疾患とされています。その症状の重さや困りごとにもよりますが、大きくは次のような方向で、「共に様子を見る、環境を整える」ことが最も重要になるとされています。

① 軽度の場合:

できるだけ身体や心理的なストレスを減らす環境を整えることが重要です。このため、行動療法・認知行動療法などの心理療法が行われる場合がある他、保護者の方へのカウンセリングが重要とされています。

② 重度の場合:

音声チックが激しい、多彩な運動チックがみられる、あるいはその両方がみられ、また社会や家庭での生活が困難な場合、薬物療法が有効な場合があるとされています。たとえば、音声チックが原因で授業の進行を妨げたり、本を読むことが全身性チックのために困難だったり、学校で汚言が出ることが心配で登校拒否になったりした場合に薬物療法が用いられるということです。

この場合用いられるのは、向精神薬と呼ばれるものです。ただし副作用として、ふらつきが生じる場合があります。

(2) 受診先

初診の場合、かかりつけの小児科・神経内科・精神科の病院やクリニックが適しています。チック専門医の受診でなくても問題ありません。年齢・症状の程度によって受診する科が異なりますので、以下を参考に診療科に選ぶことをおすすめします。

① 小児期の場合

1) 軽度の場合
かかりつけの小児科を受診することをおすすめします。

2) 重度の場合、もしくは、かかりつけの小児科での受診が難しい場合
かかりつけの小児科で紹介状を作成してもらい、専門の病院を受診することをおすすめします。

② 青年期の場合

 症状の重さを問わず、神経内科もしくは精神科を受診することになります。

参考:
厚生労働科学研究成果データベース
トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201027004B

NPO法人日本トゥレット協会
もしかしてトゥレット症候群ではありませんか?
http://tourette-japan.org/wp-content/uploads/2015/12/design_151211_print.pdf

医療法人社団ハートクリニック
チック障害
https://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/f90/tic01.html

4. チック症のある方を支援するにあたって

「図-チック症のある方を支援するにあたって」

(1) チック症の特性を十分理解する

 チック症の症状は人それぞれですが、その多くは、成人期初めまでに症状が改善します。とはいえ、その症状が長く続いたり、重いものであったりする場合などは特に、肉体的にも精神的にも非常に辛いものであると考えられます。クセや悪ふざけと誤解され、場合によっては叱られるというような経験をする方も少なくないでしょう。

そこでまずは、ご本人はもちろん、保護者の方が正しい知識を身につけること、そして、ご本人の症状の特徴をつかみ、周囲の方の理解を得られるようにしていくことが大切になると言えます。

(2) 上手につきあう姿勢も大切に

 また、チック症に伴う困りごとに注目するのではなく、ご本人の良いところに注目することも重要です。そのためにも、チック症に伴う症状をいたずらに注意することを避けることから始めると良いと言えます。これは、不安や興奮、激しい疲労がチック症に伴う症状を悪化させる傾向がみられることや、ある症状がみられなくなっても、他の症状がみられるようになる場合があることからも明らかです。

 また、どのような時に症状が出やすいのかといった点がわかれば、症状の出にくい環境づくりに役立ててられるとも言えるでしょう。

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参考:
NPO法人日本トゥレット協会
もしかしてトゥレット症候群ではありませんか?
http://tourette-japan.org/wp-content/uploads/2015/12/design_151211_print.pdf

東大病院 こころの発達診療部
「チック」や「くせ」をよく知ってうまくつきあっていけるように
http://kokoro.umin.jp/pdf/tic.pdf

最後に

チックとは、突発的で不規則な、体の一部にみられるくり返しの動きや発声のことを言い、幼少期にはよくみられる症状です。その多くは、短期間で自然にみられなくなるものですが、中には長期に渡るだけでなく、複数の症状がみられるトゥレット障害である場合もあります。

チック症のある方の支援にあたっては、まずはその症状の正しい理解が重要。闇雲にその症状をやめるよう注意しても、良い方向に向かうわけではありません。不安や興奮、激しい疲労がチック症に伴う症状を悪化させる傾向がみられることなどからも、できるだけ身体や心理的なストレスを減らす環境を整えることが重要ですし、何より、ご本人の良いところに注目することが大切になると言えるでしょう。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
厚生労働科学研究成果データベース
トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201027004B

公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター
トゥレット症候群(平成24年度)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3149

京都大学ホームページ
トゥレット障害の発症メカニズム解明に新展開 -音声チック症状を呈する霊長類モデルを開発-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/160121_1.html

東大病院 こころの発達診療部
「チック」や「くせ」をよく知ってうまくつきあっていけるように
http://kokoro.umin.jp/pdf/tic.pdf

NPO法人日本トゥレット協会
もしかしてトゥレット症候群ではありませんか?
http://tourette-japan.org/wp-content/uploads/2015/12/design_151211_print.pdf

医療法人社団ハートクリニック
チック障害
https://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/f90/tic01.html

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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