アスペルガー症候群とADHDの違い ~混同しやすい2つの発達障害

発達障害

はじめに
 代表的な発達障害に、アスペルガー症候群とADHDがあります。この2つの障害は異なるものですが、実際に見分けるのは難しいという面があります。ここでは、この2つの障害の違いを中心にまとめています。

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1. アスペルガー症候群とADHDの主な特徴
(1) アスペルガー症候群の主な特徴

「図-アスペルガー症候群の主な特徴」

アスペルガー症候群は、次の大きな3つの特性が見られる発達障害です。

① 社会性(対人関係)の特性

社会で常識とされるようなことや暗黙のルールといったものに無頓着であるという特性です。この特性は、周囲に関係なく自由な発想ができる、孤立してもやり続けられる・やり遂げられる、周囲の感情に惑わされないといった長所となることでもあります。

一方で、その場の空気や相手の様子などを読むことができない、周囲に配慮しながら行動することができない、あいさつや礼儀をわきまえない、間違っていても謝らないといった行動に結びつきがちです。そのため、ご自身には全く悪気はないのに、「非常識」「自己中心的」と見られやすくなり、他人の怒りをかってしまうことにつながることが多くなります。

ご本人としては、たとえば、「年上の人には敬語を使うこと」、「●時までに△をやる」などのように「ルールや具体的な基準が示されていないのだから、自分は悪くない」、「そうは言われなかったのだから、基準を示さない方が悪いのに、ナゼ怒られるのか」といった感覚があるようです。

② コミュニケーションの特性

自分の興味のあることや頭に浮かぶことを次々話すといった特性です。この特性は、印象に残ったことを率直に話せる、独特の言い回しなどが面白い、あることについてとことん話を続けられるといった長所となることです。

 しかし、それは、相手に興味があるかないかに関わらず話し続ける、相手の話はまったく聞かず一方通行で話す、相手が話している途中で他のことを始めるといった行動に結びつきがちです。仲間と一緒に何かをやるといった場面で他人の言うことはまったく聞かなかったり、休憩時間と勉強時間などの切り替えができずに話し続けたりといった問題を起こすことも多くなります。

 ご本人は、たとえば、「いろいろと思い浮かぶことをがんばって伝えようとしているだけなのにナゼ怒るのか」、「興味がない話なのだから、そちらが伝えたいことがあるなら文字にしろ」といったように感じていることが多いようです。

③ こだわりの強さという特性(想像力の特性)

決められた手順や一度決めたルールなどに徹底してこだわるという特性です。物事に真剣に取り組む、単純作業などを嫌がらずに続けられる、規則正しく生活できる、記憶力が高い、などの長所となってあらわれる面があります。

その反面、突然のスケジュール変更や中止、ルールの変更、といったことを極端に嫌がり、時にパニック状態になったりする場合もあります。これは、次に何が起こるか、どんなことが起きる可能性があるかといった想像力を働かせることがニガテであることが原因です。また、例外を認めなかったり、他人の誤りを許さなかったりといったことも同じ特性が原因で現れがちです。

 ご本人にとっては、「決められたルールや決まったことをナゼ変更するのかわからない」「変更があったからできないだけなのに、自分が怒られるのは納得がいかない」といった感情に結びつくようです。

(2) ADHDの主な特徴

「図-ADHDの主な特徴」

 ADHDは、次の大きな3つの特性が見られる発達障害です。すべての特性が見られる場合もありますが、必ずしもすべての特性が見られるわけではなく、不注意が中心に見られる場合、多動性と衝動性とが中心に見られる場合の大きくは3つのタイプがあると考えられています。

① 不注意

注意が足りなかったり、配慮が欠けていたり、うかつであったりといった特性です。危険に気づかなかったり、何もないところでつまずいたり、刃物を普通に使うだけで傷をつくることが多かったりということを起こしやすいといった傾向が見られます。

② 多動性

 場面や状況に応じて集中することが難しく、絶えず動き回わっている状態が見られるという特性です。順番を待てなかったり、子どもの場合では、授業中に教室の内外を落ち着きなく徘徊したりといった行動が見られます。

③ 衝動性

悪い結果になってしまうかもしれない行動であるのに、あまり深く考えずに行ってしまうという行動特性です。欲しいと思ったら、必要かどうかよく考えずに買ってしまったり、良いと思ったらすぐに取りかかるのに、最後までやり続けることができなかったりといった傾向が見られます。

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2. アスペルガー症候群とADHD、その違いはどこにある?

「図-アスペルガー症候群とADHDとの違い(概要)」

 アスペルガー症候群とADHDとの違い7つの視点で整理してみましょう。

(1) 整理の7つの視点

① 不注意

注意が足りなかったり、配慮が欠けていたり、うかつであったり、といったことが見られるかという視点です。危険に気づかなかったり、何もないところでつまずいたり、刃物を普通に使うだけで傷をつくることが多かったりということを起こしやすいといった傾向が見られるかということです。

② 多動性

場面や状況に応じて集中することが難しく、絶えず動き回わっている状態が見られるかという視点です。子どもの場合、授業中に教室の内外を落ち着きなく徘徊するといった行動異常が見られるかという視点です。

③ 衝動性

悪い結果になってしまうかもしれない行動であるのに、あまり深く考えずに行ってしまうという行動特性が見られるかという視点です。

④ 言語

自分の意志・感情などを表現・伝達したりする能力を身につけられているか、また、それが適切にできるかという視点です。

⑤ 対人関係

生活をする中で、周囲の人と、心理面、相互理解の面などで、適切な距離が保てたり、配慮ができたりするかという視点です。

⑥ こだわり

ちょっとしたことを必要以上に気にしたり、気持ちがとらわれたり、物事に妥協せず、とことん追求するような傾向が見られるかという視点です。

⑦ 感覚

人には、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感の他に、平衡感覚、運動感覚など、多くの感覚があります。これらの感覚に極端な傾向があるかどうかという視点です。

(2) 7つの視点別に見たアスペルガー症候群とADHDとの違い

上記であげた7つの視点について、アスペルガー症候群とADHDとを比較すると、次のようになります。

3. 実際に区別するのは難しい ~正しい診断は専門家に

「図-発達障害を見分けることが難しい理由」

(1) そもそも区別が難しい

ここまで見てきたように、アスペルガー症候群とADHDとでは違いが見られます。特に、「こだわり」といった視点は、その違いがわかりやすい面があります。ただ、不注意などは、その本質的な違いはあっても、実際に見分けるとなると難しい面があります。また、対人関係についても、ADHDでは問題がないとはいえ、行動が原因で問題が生じることがあるため、その違いは非常にわかりにくい面があると言えるでしょう。

また、アスペルガー症候群にもADHDにもそれぞれタイプがある、という面も忘れてはなりません。このため、専門家であっても見分けることが難しい場合もあるのです。

(2) 併存していることも珍しくない

 アスペルガー症候群とADHDは、併存している場合が珍しくないといわれています。どちらか一方の障害しかないということではない、というのが診断を難しくする原因の一つになっています。

(3) 他の障害を併発している場合も

 また、他の精神障害を併発しているケースもあります。それが元々なのか、あるいは、アスペルガー症候群やADHDがあったところに、適切な対応を取られて来なかったために2次障害として他の障害を併発したのかなど、そのパターンは複数あると考えられるということです。

4) 無料診断なども多くあるが

 アスペルガー症候群であるか、あるいは、ADHDであるかを無料で診断できるようなサイトもあります。しかし、これまで見たような事情から、正しく診断できるとは限らないという点は忘れてはならないでしょう。もちろん、傾向としては参考になる場合もあると考えられますが、あくまで参考程度にとどめるべきと言えるでしょう。

「もしかしたら・・・」ということがあるようなら、やはり専門医の診断をなるべく早く受けることが大切になると考えられます。

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4. 診断名より優先したいこと

 診断を受け、診断名が出ることで安心する面があるのは事実でしょう。実際、筆者の知り合いには発達障害のある方がいらっしゃり、診断を受けたことで原因がわかり、ホッとしたという方もいらっしゃいます。一方で、発達障害を含め、あらゆる障害は、その性質やその結果生じる困難など、人それぞれバラバラという側面があります。

そう考えると、何より大切なのは、お一人おひとりの特性をしっかりと見ること、それに合わせた対応をしていくことと言えるでしょう。

最後に

 アスペルガー症候群とADHDは、発達障害の代表的なものです。それぞれの特性は、細かく見ていくと違うことがわかります。ただ、アスペルガー症候群もADHDも、ともにその中には複数のタイプがあったり、併存している場合があったり、他の障害を併発している場合などがあったりします。このため、実際に区別することは非常に難しい面があります。

「もしかしたら・・・」ということがあれば、専門医の診察をなるべく早く受けることをおすすめします。実際に診断がされることで、気持ちが楽になるといった場合もありますし、具体的な対策も検討しやすくなるという面があるからです。とはいえ、その症状は一人ひとり。「その人自身をしっかりみる、一人ひとりとしっかり向き合う」ということが、何よりも大切だと言えるでしょう。

なお、この記事に関連するおススメのサイトや書籍は下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:

厚労省 ホームページ
発達障害の理解のために
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html
e-ヘルスネットホームページ
AD/HD(注意欠陥/多動性障害)の診断と治療
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-003.html
アスペルガー症候群について
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
みんなのメンタルヘルス ホームぺ―ジ
発達障害
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

内閣府 ホームページ
自閉症・発達障害の理解と対応
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/pdf/soudan/04/s6.pdf

国立精神・神経医療研究センター ホームページ
http://www.ncnp.go.jp/

公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
今村明先生に「ADHD」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=39

デジタル大辞泉
https://kotobank.jp/

最新版よくわかる大人のADHD、司馬理英子、主婦の友社

よくわかる大人のアスペルガー、梅永雄二監修、主婦の友社

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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