発達障害の1つ、アスペルガー症候群とは?

発達障害

はじめに
発達障害は近年、その理解が少しずつ進みつつある障害です。発達障害のある方は、多くの困り事を抱えていらっしゃる一方で、それを強みにすらして活躍されている方も多数いらっしゃいます。ここでは、そんな発達障害の一つ、アスペルガー症候群について、その主な症状の特徴や支援の在り方などを中心にまとめています。

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1. アスペルガー症候群とは?
(1) アスペルガー症候群とは?

① アスペルガー症候群とは? ~文科省の定義と知的障害との関係

文部科学省はアスペルガー症候群を以下のように定義しています。

「アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害に分類されるものである。」

ここで言う知的障害とは、医学的な「精神遅滞」とほぼ同義で、
1)知的機能の全般で、同年齢の人と比べて遅れや成長の停滞が明らかである(IQがおおよそ70以下)
2)意思伝達、自己管理、家庭生活、社会・対人技能、地域社会資源の利用、自律性、学習能力、仕事、余暇、健康、安全などの面での「適応機能」に明らかな制限がある
3)成長期(概ね18歳未満)の時点から見られる
という3つの要件を満たす状態のことを指していると言えます。

つまり、アスペルガー症候群に見られる特徴的な行動の原因は、知的障害にはないということなのです。

② アスペルガー症候群と広汎性発達障害(≒自閉症スペクトラム障害)との関係

アスペルガー症候群は、広汎性発達障害の1つです。また、広汎性発達障害は、自閉症スペクトラム障害とほぼ同じ意味で使われています。(スペクトラムとは「連続体」の意味です)。自閉症スペクトラム障害は、典型的には対人関係やコミュニケーションが困難で、興味や行動への偏りが見られるという特徴が現れる障害です。

症状の強さによって、自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害などいくつかの診断名に分類されますが、大きくは同じ1つの障害単位だと考えられています。

③ 発達障害とアスペルガー症候群との関係

発達障害には、大きく次の3つの障害があります。
1)広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)

2)学習障害(LD)
全般的な知的発達には問題がないのに、「読む」「書く」「話す」「計算する・推論する」など、特定のことをするのが極めて困難な状態、障害です。

3)注意欠陥多動性障害(AD/HD)
発達年齢に見合わない、「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が、頻繁・強く認められる障害です。

以上をすべてまとめると、以下のような図で表すことができます。

「図-アスペルガー症候群の位置づけ」

(2) アスペルガー症候群の原因

アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラム障害の原因は特定されていません。ただ、生まれつきの脳の機能障害が原因であるという説が有力で、また、胎内環境や周産期のトラブルなども関係している可能性があるとも考えられています。1つ言えることで、また、重要なことは、保護者の方の育て方が原因ではない」ということです。

(3) アスペルガー症候群をお持ちの方の数

アスペルガー症候群は約4000人に1人の方にあるという説があります。一方で、アスペルガー症候群は、その症状からも障害があること自体が認識されないケースも多く、その実態がとらえきれないという面もあります。
米国での最新のデータによれば、アスペルガー症候群を含むASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の方の割合は1.5%(68人に一人)。

10年前は、150人に一人だったことを考えると、増加傾向であることがわかります。ただ、これが実際に増加しているのか、それとも、理解の広がりでASDが明らかになったのかは、判明していません。また、男性は女性より数倍多く、一家族に複数の方がアスペルガー症候群である場合もあるとされています。このような米国での研究が日本にもそのまま当てはまるというわけでもないのですが、同じような傾向があるのではないか? という指摘もあります。

参考:
文科省 ホームページ 主な発達障害の定義について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm

厚労省
e-ヘルスネット ホームページ
アスペルガー症候群について
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
みんなのメンタルヘルス ホームページ
発達障害
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

東京都福祉保健局 ホームページ
発達障害
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

国立精神・神経医療研究センター ホームページ
http://www.ncnp.go.jp/

CDCホームページ
Autism Spectrum Disorder (ASD)
https://www.cdc.gov/ncbddd/autism/data.html

2. こんな症状が見られたら
(1) 発症時期 ~1歳過ぎたころから特徴的な行動が見られ始める

アスペルガー症候群は、言語や知能の発達に遅れがありません。また、アスペルガー症候群によって生じる行動の特徴や、アスペルガー症候群による影響の度合いは、人それぞれで、幅が広いことがわかっています。このため、幼児期では気づかれにくい障害でもありました。一方、近年、その特徴が少しずつわかってきたことに伴い、早ければ1歳を過ぎたころから、診断できる場合も出てきています。

ただ、「1歳を過ぎたら必ずわかるというわけでもありませんし、1歳を過ぎた時に判明しなければ、アスペルガー症候群であることはない」のが、アスペルガー症候群という障害です。実際、大人になってから、アスペルガー症候群であることがわかるというケースも増えてきています。

いずれにしても、1歳を過ぎると、その兆候が見られるのも事実ですから、その様子をよく観察することが非常に重要と言えます。アスペルガー症候群をお持ちの場合、その行動の特徴から集団生活を行おうとすると、それ自体、あるいは、その結果生じることなどでストレスがかかりやすい状態とも言えます。

つまり、できる限り早い時期に、アスペルガー障害であることがわかれば、その分、障害があることにあった支援ができ、ストレスによる二次障害の防止などにも役立ち、何より、その方により合った方法で力を伸ばしていくこと、また、そのサポートができるということなのです。

(2) アスペルガー症候群の症状

① 幼児期の症状

1歳を過ぎるころには典型的なサインが見られると言われています。たとえば、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子どもや人に関心がないといったものです。

② 保育所・幼稚園期の症状

一人遊びが多く集団行動が苦手など、人との関わり方が独特な場合が多く見られます。また、言葉を話し始めるのは遅くないのに、自分の話したいことしか口にしない、会話がかみ合わない、断片的な話が続くといった様子がしばしば見られます。また、電車やアニメのキャラクターなど、自分の好きなことや興味のあることには時間を忘れて熱中する一方で、初めてやることや決まり事を変更するのは苦手という場合が出てきます。

③ 思春期・青年期

障害とうまく折り合う方法を身につけてきた場合とそうでない場合や、障害の程度の問題などで、症状が多様化していくと言えます。問題となる症状としては、次のようなものが考えられます。

仕事が臨機応変にこなせない、職場での対人関係などに悩む
不安症状やうつ症状などの二次障害を発症する

一方で、幼いうちに診断を受け、その後周囲の理解を受けながら成長できた方たちは、成長とともに症状が目立たなくなる場合が多いようです。強みを生かすことで、社会で目を見張るような活躍をされている場合もあります。

(3) アスペルガー症候群にまつわる問題

「図-アスペルガー症候群の特徴」

アスペルガー症候群にまつわる問題は、以下のように整理することができます。

① 社会的なコミュニケーションをとることが難しい

表面上、会話自体は成立しているかのように見えますが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。言葉をそのままの意味でとらえる傾向があるため、その裏にある相手の気持ちなどを類推するのが苦手な傾向があります。具体的には以下のような特徴です。

1) 言われたことをそのままの意味として受け取る
アイコンタクトや顔の表情を読み取るのは苦手という傾向があります

2) 指示された範囲を超えて想像することが苦手
1:1対応になりがち、相手や環境の変化に気づかないことがあるという面があります。

3) 遠回しに発言することが難しい
言い方がキツく、ストレートすぎる発言になりがちです

4) 主語が明確でないと理解がしにくい
主語、述語の関係が明確でないと理解しにくい傾向があります。「定義があいまい」になりやすい、形容詞などの表現を理解するのが難しい面があります。
例)「これはキレイだ」:キレイとはどういう状態か?の基準があいまいのため、理解しにくい

② 狭い範囲での興味とこだわりの強さ

いったん興味を持ったものなどに対して、非常に強い執着を持ち、過剰なほど集中する傾向があります。また、順序立った法則性や規則性があるものを好むため、その法則や規則が崩れることを極端に嫌う傾向があります。一方で、このような障害の特徴を強みに、特定の分野で活躍されるケースも多く見られます。具体的には、以下のような特徴です。

1) 興味のある対象に関する記憶力が高い
自分が興味を持った対象については、大まかなことだけでなく、細部に至るまで大量の情報を記憶することができます。

2) 過度とも言える集中
興味のある物事に関しては、一度やり始めると周りが目に入らなかったり、時間を忘れて何時間でも取り組んだりといった傾向があります。

3) 話し続ける
一度話し出すと夢中になりすぎて止まらなくなるような傾向があります。

4) 臨機応変な対応ができない
自分の決めた予定や手順などを変えることを嫌い、頑なになる。無理に変更すると混乱してしまうこともある。

③ 鋭敏な感覚

アスペルガー症候群の方は、感覚面での負荷が非常に高いと言われています。このため、神経過敏のような形で現れるケースが見られます。ただし、一般的には全ての感覚で現れるというわけではないようで、たとえば、音には敏感でも、他は鈍感といったことが起こり、傍から見ると統一されていないように見られる傾向があるようです。具体的には以下のようなものです。

1) 大きい音が苦手
大きい物音や大きな声に過敏で、それが睡眠障害などにつながる場合があります。

2) 触られることが苦手
頭を触られたり、髪を触られたりすることを好まない人もいます。

(4) アスペルガー症候群かな? と思ったら

① なるべく早く専門機関に相談を

アスペルガー症候群の症状が見られたら、なるべく早期に専門機関での診断を受けることをおすすめします。アスペルガー症候群には、これまで見てきたような特徴がありますが、その特徴に合わせた支援に関する知見は、専門機関でないと得られにくいのが実情。やはり、その方に合わせた教育や支援が必要だということなのです。

また、早い段階から支援を得られれば、その特徴を強みに変えて、その道の第一人者と呼ばれるほどの活躍ができる可能性も広がります。そうとまではいかずとも障害とうまく付き合える力を育むことも可能と言えるのです。

② 支援機関

子どもか大人かによって、支援の中心となっている専門機関が異なります。以下が主な支援機関となります。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所

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参考:
厚労省
e-ヘルスネット ホームページ
アスペルガー症候群について
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
みんなのメンタルヘルス ホームページ
発達障害
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

東京都福祉保健局 ホームページ
発達障害
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html
国立精神・神経医療研究センター ホームページ
http://www.ncnp.go.jp/

3. アスペルガー症候群の治療方法

現代の医学ではアスペルガー症候群を根本的に治療することはできません。薬が処方される場合は、かんしゃくや多動・こだわりなど、個別の症状を軽減することが目的になります。一方で、そのこだわりの強さを武器に社会で活躍できる場合があることなどを考えると、「その特徴を利用できるようにするための支援」を考えることはできます。

つまり、支援の中心になるのは、「将来に渡ってどのように障害と付き合っていけるようになるか」だと考えるとよいのではないでしょうか。そのためにも、専門機関の協力を得ることは非常に重要とも言えます。

4. アスペルガー症候群の方を支援するにあたって

「図-アスペルガー症候群、支援のポイント」

では、実際にどんな支援をしていくことになるのでしょう? 大きくは、「理解する」「配慮する」「強みを生かせるようサポートする」の3つの視点があるのではないでしょうか。

(1) 理解しようとすること

本来なら理解したいのですが、本当の意味で理解することは、ご本人でない以上難しいと言えます。そこでまずは、「それがどんな障害なのか?」ということと、「障害によりどんな困りごとが起こるのか?」 を理解しようとする姿勢が大切になるでしょう。「自分にその症状があったら」と想像してみることから始まるとも言えるかもしれません。

(2) 配慮する、ということ

次に大切なのは配慮でしょう。たとえば、「遠回しな言い方では何を意味するのかわかりづらいのだろう」と想像できれば、具体的な基準を示して指示するといった配慮ができます。「がんばって、勉強しよう」というものより、まずは「何時までに●●を△ページやろう」というようなものの方がよいと言えるのではないでしょうか?

(3) 強みを生かすサポート

 好きになったことはいくらでもやるという特徴を、強みに変えていけるような支援もできそうです。その意味で、一緒に何かを勉強し始める、その成果を教えてもらうというような方法もあると考えられます。

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参考:
厚労省
e-ヘルスネット ホームページ
アスペルガー症候群について
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
みんなのメンタルヘルス ホームページ
発達障害
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

東京都福祉保健局 ホームページ
発達障害
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

国立精神・神経医療研究センター ホームページ
http://www.ncnp.go.jp/

最後に

本記事の筆者の知人に、アスペルガー症候群の方がいらっしゃいます。その方は非常に優秀な方で、某有名大学を首席で卒業されました。一方で、少し変わっているように見える部分があるのも事実でした。その後、ご本人からアスペルガー症候群だと伝えられたことで、「それを知った自分に何ができるか?」を考えやすくなりました。

ただ本来なら、その方自身がアスペルガー症候群だと言わなくても配慮はできたはず。これは筆者の問題ではあるのですが、アスペルガー症候群の方に十分配慮された社会でない部分があることも否定できません。その意味で、どのように互いを尊重できる社会を作っていくかは重要なことと言えるでしょう。

そのためにも、まずは理解しようとすることが大切であり、その人と向き合うことが大切と言えるのではないでしょうか。この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
文科省 ホームページ 主な発達障害の定義について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm

厚労省
e-ヘルスネット ホームページ
アスペルガー症候群について
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
みんなのメンタルヘルス ホームページ
発達障害
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

東京都福祉保健局 ホームページ
発達障害
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

国立精神・神経医療研究センター ホームページ
http://www.ncnp.go.jp/

CDCホームページ
Autism Spectrum Disorder (ASD)
https://www.cdc.gov/ncbddd/autism/data.html

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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