ひきこもりとは? 中高年のひきこもり8050問題

発達障害

はじめに
全国で100万人以上いるとされるひきこもり。10代から成人まで、幅広い年代にわたって見られる現象ですが、特に昨今は8050問題(「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題)と呼ばれる中高年のひきこもりが社会問題となっています。

ひきこもりは、長期化すればするほど、社会生活の再開が本人や家族にとって難しくなっていきます。ここでは「ひきこもり」そのものについて、また原因や背景にあるもの、適切な支援の形などを中心にお伝えします。

1.「ひきこもり」とは?
(1)「ひきこもり」 厚労省のガイドライン

ひきこもりとは、厚労省のガイドラインによれば、「様々な要因の結果として、社会的参加を回避し、原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」とされています。ひきこもりというと、何年も家から1歩も出ず、食事も部屋で1人でとる、といったメージを持たれるかもしれません。

しかし実際の事例では、「家族との会話はあるが、家の外には1歩も出られない」「人と接することはできないが、外には出られる」など、人それぞれさまざまなひきこもり状態があります。

また、ひきこもりは原則、精神障害を直接の原因としないものとされていますが、実際には診断される前の統合失調症をはじめ、多彩な精神障害が1次的、2次的に関与している可能性が高いとも強調されています。

参考:
厚労省「ひきこもりの評価・支援にかんするガイドライン」

(2)8050問題 全国に100万人以上いるとされる「ひきこもり」

「8050問題」とは、「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題です。背景にあるのは子どもの「ひきこもり」の問題です。

ひきこもりという言葉が社会にではじめるようになった1980年代~90年代は、若者の問題とされていましたが、それから約30年が経ち、当時の若者が40代から50代、その親が70代から80代となり、長期高齢化しています。

こうした親子が社会的に孤立し、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが目立ちはじめています。実際、2018年3月5日の北海道新聞で、生活苦から親子がそろって孤立死したという記事も掲載されていました。

また、2016年の内閣府の実態調査によると、ひきこもりの方は全国で54万人と公表されています。ただし、これは39歳までで、40歳以上の方々の数がカウントされていませんでした。2019年3月には、内閣府から、中高年の引きこもり人口は61万3千人いるとの調査結が発表され、日本は既に、引きこもり100万人時代を迎えています。

参考:
8050問題 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/8050%E5%95%8F%E9%A1%8C

「8050問題」とは? 求められる多様な支援
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/96/

引きこもり54万人 15~39歳、長期・高年齢に 内閣府調査
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO07000830Y6A900C1CR8000/

中高年ひきこもり61万人 内閣府が初調査
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43067040Z20C19A3CR0000/

(3)ひきこもりへの適切な支援やアプローチ

ひきこもりへの適切な支援やアプローチを考えるとき、まずは、何らかの心身の病気の症状である可能性をきちんと吟味した上で、判断することが大事になります。

もし背景に精神障害があれば、まずはその治療が必要です。この点をおろそかにすると、かえって何年もひきこもり状態を引き延ばしてしまうことにもなりかねません。

(4)ひきこもりの原因と背景

ひきこもりは、さまざまな要因が重なり合って起こる現象であり、原因もひとつではありません。しかし、その「さまざまな要因」を紐解いていくと、共通する原因や背景が多いのも事実です。いくつか例を見てみましょう。

①【親子関係が原因となるケース】

ひきこもりの原因として、対人関係における二者関係→三者関係のステップがうまく踏めてないことが挙げられます。親が原因であるとか、親が悪いというようなものではなく、「親との関係形成がうまくいっていない」ということです。

②【いじめなど対人トラブルが原因のケース】

 いじめや些細な対人トラブルが原因で不登校になり、その後、ひきこもり状態になった、というケースは少なくありません。いじめは心に深い傷を残し、克服は容易ではありません。ただし、最初のきっかけがいじめであっても、最終的には家族との関係が大切になります。

 解決できない、仕方のない、不条理な気持ちを一緒に味わい、悩み、抱えてくれる相手として、親が共に過ごしてくれるかが、子どもの安心感につながります。いじめが原因でひきこもりになったとしても、家族関係を見直すことで、ひきこもり状態から抜け出すことができると考えてよいでしょう。

③【精神疾患が原因のケース】

「ひきこもり」が症状の原因となる疾患には、広汎性発達障害、強迫性障害を含む不安障害、身体表現性障害、適応障害、パーソナリティ障害、統合失調症などがあります。

どの病気もそれぞれに治療法が異なりますので、こうした病気にあたらないかどうかを医療機関で確認をした上で、対処を考えていく必要があります。

2.ひきこもりへの対処の仕方
(1)まずは家族から支援機関につながる

ひきこもりの長期化は本人にとって、心理的にも社会的にも大きな影響を与えます。本人が動けない状態であっても、まずは早い段階で家族が支援機関につながることが大切です。

家族だけでは膠着した状態を再び動かすことは非常に困難です。第三者を交えて、家庭の中に新しい風を吹きこむことが変化のきっかけとなります。

(2)家族会への参加

家族のための勉強会への参加もおすすめします。ひきこもりや精神障害の正しい知識を得て、適切な距離感で見守る姿勢を保ちつつ、本人に根気強くアプローチしていくことが必要です。

(3)支援機関

支援機関については、行政から民間まで、さまざまな団体がありますが、まずは厚労省が管轄する「ひきこもり地域支援センター」(2019年4月現在、全国75か所)の電話相談や登録されている支援団体につながることをおすすめします。

ひきこもり地域支援センター
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000515493.pdf

私たち、NPO法人CNSネットワーク協議会が運営する「ほっといい場所 ひだまり」も、上記の東京都の登録団体で、家族相談、家族カウンセリング、勉強会や交流会(家族会)を定期的に開催しています。

3.ひきこもりの方への支援

最後に、当事者が支援につながれるようになったときの、3つの支援をご紹介します。

・ 居場所やデイケア、カウンセリングなど
・ 当事者による自助グループ
・ 就労移行支援

どの支援も、現状を理解して、適切なタイミングで取り入れることで、より効果的な支援となります。また、支援に参加してみて、まだここに通う時機ではなかったと思えば、無理をせずに仕切り直すことも大切です。

最後に

最後に、私達の取組をご紹介します、私達は、”こころにアプローチする新しい居場所を考える”。「ほっといい場所 ひだまり」というところは、看護師、保健師、臨床心理士などの医療従事者が支援にかかわる居場所です。

プログラムも認知行動療法や作業療法などを取り入れたこころ(メンタルケア)にアプローチする内容となっています。

これまで見てきたとおり、ひきこもり状態の方の多くは、心の悩みや問題、不調を抱えています。そのような方が社会へ1歩を踏み出し、継続的に社会と関わり続けて生きていくためには、土台となる心身の健康を取り戻さなければなりません。

「ほっといい場所 ひだまり」はそんな1人ひとりの心をしっかり支えていきたいと思い、居場所を行っています。

また、現在の状態の背景になんらかの疾患があると判断される場合は、医療機関の紹介も行っています。医療機関に通いながら居場所やカウンセリングを並行し、治療と環境調整を行った結果、それぞれのステージで社会復帰をされている方も多くいらっしゃいます。

当事者はもちろん、家族のカウンセリングや相談も行っているので、どういった支援が適切かに迷ったら、ぜひ相談にお越しいただければと思います。お気軽にお問い合わせください。

NPO法人CNSネットワーク協議会
「ほっといい場所 ひだまり」
渋谷区千駄ヶ谷4-26-11 代々木TH&Cビル5階
公式HP http://hidamari.cns-net.or.jp 問合せ query@cns-net.or.jp
法人HP http://www.cns-net.or.jp
電話:03-5413-6661
代表理事 後藤美穂

後藤美穂

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山梨医科大学医学部(現山梨大学医学部)看護学科卒業。看護師・保健師免許取得。国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科創薬育薬医療分野にて医療福祉修士取得。国立...

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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