てんかんとは?

知的障害

はじめに
 てんかんとは? てんかんは、「脳の電気的嵐」とも表現されます。てんかんは、その発作が非常に劇的である場合も多く、突然、目の前で、その場面に遭遇した場合などは、右往左往の大騒ぎになるケースもあります。てんかんの原因は大きく、症候性と特発性のものに分けられます。

ここでは、てんかんとは何か? どんな理由で起こるのかを押さえつつ、てんかんの場面に遭遇したときの対処法などをまとめています。

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1. てんかんとは?
(1) てんかんとは?

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす脳の疾患です。

(2) てんかん発作とは?

私たちの体をつくっている細胞はすべて、電気的活動を行っています。これは脳においても同様です。脳の神経細胞であるニューロンは、その数は数百億ともいわれますが、規則正しいリズムでニューロン同士の調和を保ちながら電気的に活動しているのです。

この電気的活動は、強い電気刺激が加わると、異常で過剰な電気活動である電気発射を起こす性質があります。「てんかん発作」は、このニューロンの電気発射が外部からの刺激なしに自発的に起こる現象を指します。

つまり、「てんかん発作」とは、規則正しい穏やかなリズムを持った電気的活動が突然壊れて、激しい電気的な乱れであるニューロンの過剰な放電が生じ、発作という形であらわれるのです。

その症状であるてんかん発作は、よく「脳の電気的嵐」と表現されます。嵐のように激しい、ととらえればわかりやすいかもしれません。また、てんかん発作は突然起こるという特徴があります。それは、十分の何秒のこともあれば、数分のこともあります。

一方で、始まりは突然ですが、必ず自然に終わるのもてんかん発作の特徴です。そして、発作そのものが命にかかわることはほぼないとされています。なお、この電気的嵐は、脳波検査によっててんかん性異常波としてとらえることができます。

(3) てんかんの患者数

 てんかんのある方は、100人に一人の割合であると言われていることから、日本全国にはおおよそ100万人の患者がいらっしゃると推定されています。

ただし、一生の間に1回あるいは数回だけしか発作が起きないような「てんかん周辺群」の方がいらっしゃることもわかっているため、その数は実際には人口の5%にもなると言われています。

資料:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
てんかん
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

公益社団法人日本てんかん協会
てんかんについて
https://www.jea-net.jp/epilepsy

2. 脳のしくみとてんかん発作の症状
(1) 脳のしくみ

脳はニューロンという神経組織の集まりで、知覚情報を統合し、運動反射を指揮するという重要な役割を果たしていますが、脳の各部位分ごとにそれぞれが果たす機能が分かれています。

たとえば、前頭葉、つまり脳の前の部分は遂行機能、脳の後ろ側である後頭葉は視覚、脳の左側に当たる側頭葉の左側は言語などをそれぞれ司っているといった具合です。

(2) てんかん発作は多種多様

この脳のしくみが、「てんかん発作の症状」に影響を与えることになります。つまり「てんかん発作」の症状は、脳のどの部分で異常な電気発射が起こるかによって多種多様だということなのです。

たとえば後頭葉の視覚野で起これば光がチカチカ見える、手の領域の運動野で起これば手がピクピク動く、側頭葉で起これば前胸部の不快感など、異常な電気発射が起こった脳の部位により、ご本人が感じられる症状はさまざまなのです。

また、電気発射が脳全体に広がる場合もあります。この場合、意識を消失し動作が止まって応答がなくなる、倒れて全身を痙攣させるなど、てんかん発作を起こされたご本人は、発作が続く間の意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。

他にも、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる脱力発作、あるいは手足や口をもそもそと動かす自動症といわれる発作などもあります。

(3) てんかんを分類する ~原因と発作から分類する

① てんかんの原因

てんかんの原因はさまざまです。原因が特定できないてんかんもありますが、大きくは次の2つに分けられます。

1) 症候性てんかん
脳に何らかの障害や傷があることによって起こるてんかんです。たとえば、生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷などによって起こるものを指します。

2) 特発性てんかん
さまざまな検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかんです。

てんかんは、ほとんどの場合は遺伝しないと言われています。てんかんはさまざまな病状の集まりであり、遺伝のみの影響でてんかん発作を起こすわけではないと考えられるからです。一方で、疾患の見当たらない特発性てんかんの一部は、体質による遺伝の傾向が強いと言われています。

てんかんのある方の子どもにてんかんが発症する頻度が4~6%と、一般の2~3倍と考えられているからです。つまり、てんかんのある方の子どもが必ずしもてんかん発作を起こすとは言えないが、てんかんの「素質」そのものは遺伝的に引き継がれるのではないかということです。

② てんかんの症状

「図-てんかんの症状」

 てんかんの症状は、大きく「部分発作」と「全般発作」とに分けることができる、とされています。

1) 部分発作とは?
脳の特定部位から始まる発作です。既に見たように、脳のどの部位で異常な電気発射が起きるのかによって、発作時の症状が決まります。さらに発作中の意識の状態と、けいれんに移行するかどうかによって、次の3つのタイプに分けることができるとされています。

・意識が発作中に保たれているてんかん発作である単純部分発作
・意識障害がみられるてんかん発作である複雑部分発作
・部分発作から二次的に全般発作に進展するてんかん発作

2) 全般発作とは?
発作のはじめから、左右の脳全体がいわゆる「電気の嵐」に巻き込まれるタイプのものです。脳全体に影響を及ぼすことから、意識が最初からなくなるという特徴があります。

③ てんかんの原因と症状の組合せで、てんかんを分類する

1) てんかんの分類
 てんかんは、その原因と症状との組み合わせにより、以下のように分類することができるとされています。

2) てんかんの治りやすさ
てんかんは、以前は「一生治らない不治の病」とされてきましたが、今日では、その多くは治療可能なものとされています。これを「てんかんの分類」に当てはめてみると、次のように発作の抑制・コントロールができるとされています。

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資料:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
てんかん
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

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てんかん診断ネットワーク
一般の方へ
https://www.ecn-japan.com/general/

一般社団法人日本小児神経学会
小児神経Q&A
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=8

3. てんかんの診断と治療法
(1) てんかんの診断とその検査

① てんかんの診断ステップと診断に必要な情報

てんかんの診断は、基本的には次のステップで行われることになります。

1) 発作症状が、「てんかん発作なのか、それとも他の疾患に伴うものなのか」または「てんかん発作と他の疾患の発作とが複合的な要因となって発生しているものなのか」

2) 発作が始まったときの自覚症状と、他者の観察から見られた他覚症状から、発作が起きた状況、発作が起こる前の頭痛やイライラなどの症状の有無、時間経過、発作を起こしやすくする要因、発作中の行動などを確認し、てんかん発作であるかを判定

3) てんかん発作であることが明らかになったら、発作型の診断、原因の究明、病型の診断

このように、診断には多くの情報が必要になるのですが、てんかんは、意識障害を伴うケースがあるなど、その症状の状況をご本人が自覚することが難しい場合があります。よって、周囲の方の観察とその情報が重要になるのです。

② てんかんの検査

 てんかんの検査には、次のようなものがあります。

1) 脳波検査
てんかんの原因となる脳のニューロンの過剰な電気的発射は、脳波検査で記録することができます。そのため、脳波検査はてんかんの診断のために最も重要な検査とされています。また脳波検査の結果は、てんかんの発作型の判定にも利用されます。

2) CT検査/MRI検査
てんかん発作はさまざまな原因によって起こりますが、その一つに脳腫瘍など、脳の疾患の症状の一つとして起こる場合があります。特に学童期以降に初めててんかん発作を起こした場合は、脳の疾患の疑いを持って、CT検査やMRI検査を行うことになります。

3) 血液・尿検査
てんかん発作は、たとえば先天性代謝異常や脳炎のような中枢神経の感染症でも起こることがあるため、血液・尿検査も欠かせない検査と言えます。また、てんかんの薬物治療は長期間、薬を飲み続ける必要があるので、服用する前に体の状態を調べる上でも、血液・尿検査が重要になるのです。

これは薬物治療開始後も同様で、薬による副作用のチェックをするために、また、現在服用している抗てんかん薬の量について検討するために、肝機能検査、電解質検査などを目的とした血液・尿検査を行うのが一般的です。

(2) てんかんの治療

「図-てんかんの治療法」

① 治療の主流は薬物療法

てんかんの治療で用いられる抗てんかん薬は、脳のニューロンの電気的な興奮をおさえたり、その興奮が他の神経細胞に伝わっていかないようにすることで発作の症状をおさえる薬のことを言います。

1) 薬物療法のポイント
薬物治療にあたって大切になるのは、次の2点です。

・毎日規則正しく服用する
・勝手に服薬を中断しない

特に、規則正しく服用するためには、生活リズムを整えて暴飲暴食・睡眠不足を避けることも大切になると言えます。

実際に使用される抗てんかん薬には複数の種類があり、場合によっては1種類だけではなく複数種類の薬を利用する場合もあります。この薬の選択や量については、てんかん発作のタイプ、年齢、性別などの他、発作に対する効果と副作用の有無などが考慮されることになります。

薬の種類と量とが一発で合うに越したことはないわけですが、ある程度試行錯誤が必要な部分もある点は理解しておくことが重要と言えるでしょう。

2) 抗てんかん薬の副作用
てんかんの治療は、長期にわたり服薬が必要とされています。よって、薬の副作用は重要な問題となります。副作用として考えられるものには、次のようなものがあります。

・発疹など薬に対するアレルギー反応
この場合は、速やかに服薬を中止する必要がありますので、医師への相談が重要です。

・眠気、ふらつきなど、薬の量が多すぎる場合にみられる症状
抗てんかん薬の場合、眠気やふらつきといった副作用は、ほとんどの薬でみられると言われていますが、薬の量を調節することで、その症状は緩和されます。その効果との引き換えの側面がありますので、これも医師への相談が必要になります。

・肝臓機能の低下、血液中の白血球減少、歯肉増殖、多毛、脱毛など、服薬を長く継続することへの影響
 こちらもみられがちな副作用ですので、気になることがあれば早め、早めに医師に相談することが重要です。

② 食事療法

抗てんかん薬による治療を行っても発作が抑えられない難治性てんかんの場合に検討される方法のひとつが食事療法です。

その代表的なものは「ケトン食療法」です。たとえばミオクロニー発作や脱力発作などの難治性発作を抑制する効果があるとされるほか、発達や精神面の改善効果がみられることもあるとされています。ただし適応年齢は、ほとんどが5歳以下の子どもとされています。

③ 外科治療

難治性てんかんについては、外科手術による治療が検討される場合もあります。

ただし、外科手術が可能とされているのは、発作の始まる脳の場所がはっきりしている「部分てんかん」で、その部分を切除しても障害が残らない場合とされてるほか、治療経過や年齢、発作の頻度、発作のタイプなど、総合的な判断に基づいて行われることになります。

とはいえ、日本においては「てんかんの外科手術症例数」は諸外国の2分の1以下。積極的に行われる治療ではないと考えられる反面、本来手術で治るはずのてんかんが治っていない可能性も指摘されているのが現状です。

1) 根治手術
 てんかん発作が完全になくなることを目指す手術を言います。

2) 緩和手術
 発作が少しでも軽減することを目的とする手術を言います。方法の一つとして、迷走神経刺激療法という方法があります。

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資料:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
てんかん
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一般の方へ
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一般社団法人日本小児神経学会
小児神経Q&A
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4. てんかん発作に遭遇したら

「図-てんかん発作に遭遇した場合のポイント」

(1) 多くの場合、大事に至ることはない

てんかん発作は、突然起こるものの、自然に終わるものでもあるため、「発作そのもの」が命にかかわることもほぼないとされています。よって、てんかん発作に遭遇した場合は、以下のポイントを押さえておくことが重要と考えられます。

① すぐに救急車を呼ぶ必要は基本的にないこと
② 気を落ち着かせること、冷静になること
③ 騒ぎ立てないこと

(2) 救急搬送が必要な発作

ただし、以下のような場合は、医師による処置が必要。迷わず救急車を呼ぶことが重要です。

① けいれんのあるなしに関わらず、「意識の曇る発作」が短い間隔でくり返す場合
② 発作と発作の間で、意識が回復しない場合
③ 1回のけいれん発作が5分以上続き止まらない場合

(3) 発作の観察

既に見た通り、てんかんの診断には発作の症状が非常に重要なのですが、ご本人が自分の発作の症状を知ることが難しい場合が多々あります。意識が薄れたり、意識を失うことがあったりするためです。

また、てんかん発作はいつ起きるかわからないため、診察する医師の目の前で発作が起きることも非常に稀と考える必要があります。

てんかんの診断と治療方針を立てる上では、介助する方や実際にてんかん発作が起きた状況を見ていた方の観察・記録が、非常に重要と言えるのです。この観察のポイントとしては、次のような点が上げられます。

① 発作が起きた時間と状況
② 誘因になるものが何かあったか、なかったか
③ 意識障害があったか、なかったか
④ けいれんがあった場合の症状
⑤ けいれんではない発作の場合の症状
⑥ 身体の変化
⑦ 発作後の様子
⑧ ケガの有無

(4) 介助が必要な発作

てんかんのある方に対して日頃どの程度の介助が必要となるか、については、発作の型・タイプからは決められず、また、状況によって介助を必要とする度合いも変わります。以下のような点をポイントに、「ご本人が安全な環境にあるか」を中心にとらえることが重要と考えられます。

① 意識の曇りの深さと時間
② けいれんの度合いとその範囲
③ 姿勢の維持、倒れ方のスピード
④ 発作を起こした状況・環境の危険度
⑤ 発作を起こした状況・環境における人の数

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資料:
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一般の方へ
https://www.ecn-japan.com/general/

一般社団法人日本小児神経学会
小児神経Q&A
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=8

最後に

 てんかんは、よく「脳の電気的嵐」と表現されます。その症状は嵐のように激しい面があり、また、その発作は突然起こるという特徴があります。一方で、始まりは突然ですが、必ず自然に終わるのもてんかん発作の特徴でもあります。

その場面に遭遇した場合、びっくりすることもあるでしょう。しかし、その発作そのもので命を失うようなことはないということを理解しておけば、冷静な対処がしやすくなると言えるでしょう。

てんかんの原因は複数考えられますが、症候性のものと、特発性のものとに大きくは分けられます。かつては不治の病と言われることもあったてんかんですが、現在では、その多くが治療可能とされています。的確な治療ためにも、てんかん発作が起きたとき、ご本人の様子の観察が非常に重要になるのです。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

資料:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
てんかん
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

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金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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