共同生活援助とは?

発達障害

はじめに
 共同生活援助とは? 障害のある方の生活を支援するサービスは多岐に渡っており、一部のサービスは実際のところどのようなものなのか、わかりにくい場合もあるでしょう。共同生活援助とは、そのようなイメージのしにくいサービスの一つと言えるかもしれません。

 ここでは共同生活援助について、その位置づけやサービスの内容、利用にあたって検討しておきたい点などについてまとめています。

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1. 共同生活援助とは?

「図-共同生活援助とは?」

(1) 共同生活援助(グループホーム)とは?

共同生活援助はグループホームとも呼ばれるサービスで、障害者総合支援法の訓練等給付に位置づくサービスです。「障害のある方に対して、主に夜間において、共同生活を営む住居で相談、入浴、排せつまたは食事の介護、その他の日常生活上の援助を行う」ものとされています。

以前は、共同生活介護(ケアホーム)とは別のサービスとして位置づけられていましたが、平成2014年4月より共同生活援助(グループホーム)へ一元化されています。障害のある方の孤立の防止、生活への不安の軽減、共同生活による身体・精神状態の安定などがこのサービスでは期待されています。

(2) 障害者総合支援法の基本的な枠組み

障害者総合支援法は、障害のある方の基本的人権を尊重し、その尊厳を保つという主旨で整備された法律です。共同生活援助を含む障害者総合支援法に位置づく各サービスを利用するには、「障害支援区分」の認定を受けることが条件となります。たとえば、障害があるとの診断を受けたとしても、申請しない限り、サービスを利用することはできないのです。

この支援区分は、「障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すもの」と定義されています。つまり、「障害自体の性質や、障害のある方一人ひとりの状況、生活環境など踏まえ」「どのような支援がどの程度必要か」を、あらかじめ「標準的な支援」として設定、基準化されたものだということです。

この支援区分では、非該当と区分1~6までの7つの区分が設定されており、数字が大きくなるほど(6に近づくほど)支援の必要性が高い(支援範囲が広い)ということになります。なお、障害者総合支援法に位置づくサービスは、次のようなに体系化され、整備されています。

① 自立支援給付

1) 障害福祉サービス
・介護給付:
居住介護、重度訪問介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所介護

・訓練給付:
自立訓練支援(生活訓練)、宿泊型自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(A型)、就労継続支援(B型)、共同生活援助

2) 自立支援医療
3) 相談支援事業
・計画相談支援給付
・地域相談支援給付

4) 補装具

② 地域生活支援事業

1) 市町村事業:
相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具、移動支援、地域活動支援センター設置、福祉ホーム設置等
2) 都道府県事業:
広域支援、人材育成等

(3) 共同生活援助を具体的にイメージすると・・・

 サービスの定義や位置づけから順に見てきましたが、では共同生活援助が一体どのようなサービスなのか、具体的にイメージすることができるでしょうか?

十分に言い当てているとは言えないのですが、このサービスは、「障害のある方のシェアハウス」のようなものととらえるとイメージしやすいでしょう。

つまり、数名程度の障害のある方が、各地域にある「シェアハウス」で基本的な生活はしつつ、食事や入浴、排せつなどの日常生活上の支援が受けられる他、日々の出来事などの相談に乗ってもらえるというサービスなのです。

このため実際に生活する場、つまり「シェアハウス」は、一見すると一般的なアパートのように見えるものも多く、隔離されたような印象を持つようなものではない、地域に溶け込んだ場と言えるのです。

参考:
厚労省
障害者総合支援法が施行されました
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html
共同生活援助に係る報酬・基準について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000176730.pdf

独立行政法人福祉医療機構WAMNET
共同生活援助(グループホーム)
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-23.html

公益社団法人かながわ福祉サービス振興会
障害者総合支援法について
http://www.rakuraku.or.jp/shienhi/guide/about/007.html#a007

社会福祉法人全国社会福祉協議会
障害福祉サービスの利用について
https://www.shakyo.or.jp/news/kako/materials/pdf/pamphlet_201504.pdf

障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会
グループホーム設置・運営マニュアル
http://www.jgh-gakkai.com/library/setup_manual1-176.pdf

2. 共同生活援助をサービスとして提供する事業者から伺ったこと

「図-共同生活援助におけるサービスのポイント」

(1) 共同生活援助で、支援の中心となること

 筆者は実際に共同生活援助をサービスとして提供する事業者のご担当から、以下のような話をうかがうことができました。なお、この事業者は、知的障害のある方のみを対象に、サービスを提供されています。

① 共同生活援助を利用し生活されている方は、仕事に出たり、他の福祉サービスを提供する事業所に通っていたりする。そのため生活の場となる施設には、日中は基本的には誰もいない。つまり、夕方から翌朝まで、生活をする場だということこと。

② このような場であるため、支援の中心は食事の提供や、ある意味では小さな、日々の困りごとへの対応。中には、早朝からの仕事に就かれている方もおり、同じ場で生活しているとは言っても、生活のリズムも一人ひとり異なる場合もある。共同生活といっても、ほとんど顔を合わせない方がいる場合もあるということ。

③ 日中の支援は、通院の補助が中心。

④ 男性用、女性用に施設そのものが分かれているのが一般的で、同一施設の場合も風呂やトイレといった共同生活ゾーンは区分けされている。ただし、事実婚にあたるような方同士が、同じ施設で生活する場合はある。その場合も同様の状況にある方、つまりカップルである方のみが、その施設の入居者となる。

(2) 事業者のスタッフが最も注意されていること ~共に住まれる方同士の相性

 このようなサービスを提供されている事業者のご担当が最も注意をされているのは、同じ施設に住む方同士の相性、つまり、サービスを利用される方々の組み合わせなのだそうです。顔を合わせることが少ない場合もあるとはいえ、同じ屋根の下で生活しているのですから、当然と言えば当然のことなのかもしれません。

ただ、相性を大切にされているということは、利用者の方お一人おひとりをよく知る必要があるということ。実際その方がどのような方なのかについては、「一日二日でわかるようなものではない」とのことで、ただこの施設に空きがあるからそこで生活してもらえばよい、というようなことにはならないそうです。

(3) 利用者の方々の高齢化という問題

 この事業者は、一拠点が18の施設を運営しています。利用されている方は合計すれば数十名規模にもなりますが、一つの施設で生活されているのは数名程度ということです。そのような共同生活援助で、実際の利用者の方々に関する一番の課題、困りごとは、「利用者の方の高齢化」なのだそうです。

元々知的障害のある方の施設でもあることから、相応の環境は整備されているものの、中には古い施設もあり、バリアフリー化などが追いつかない場合があるとのこと。費用面もさることながら、今、そのとき生活をする場、生活されている場ですから、工事をしたいと考えても簡単にできるものではないということもあるそうです。

もちろんバリアフリー化された施設に「転居」という方法が考えられるものの、利用者の方々の相性の問題が解決できない、あるいはその利用者の方が住み慣れた施設を離れることになるという点で、難しい面があるとのことでした。

3. 共同生活援助を利用するにあたって押さえておきたいこと

「図-共同生活援助を利用する際の主なポイント」

(1) 共同生活援助を利用するには?

① まずはお住いの地域の市町村窓口に相談

既に見てきたように、共同生活援助は障害者総合支援法に基づくサービスであるため、利用するには障害者総合支援法に基づく認定を受ける必要があります。つまり、手続き・申請が必要になるということですが、市町村にサービスを受けたい旨を相談・申し込みをすれば、障害支援区分の認定に向けた判定が2段階で行われることになります。

② 障害支援区分の認定方法

障害者支援区分の認定は、24項目に渡る医師の意見書と、認定調査員による80項目の聞き取り調査の結果を基に行われます。調査員による聞き取り調査の項目は大きく5つあり、それぞれ12、16、6、34、12の項目で構成されています。

それぞれの状況について、申請された障害のあるご本人の状況を調査することになります。認定調査員による具体的な調査項目・調査の視点は以下のとおりです。

1) 移動や動作等に関連する項目
寝返り、起き上がり、座位保持、移乗、立ち上がり、両足での立位保持、片足での立位保持、歩行、移動、衣服の着脱、じょくそう、えん下

2) 身の回りの世話や日常生活等に関連する項目
食事、口腔清潔、入浴、排尿、排便、健康・栄養管理、薬の管理、金銭の管理、電話等の利用、日常の意思決定、危険の認識、調理、掃除、洗濯、買い物、交通手段の利用

3) 意思疎通等に関連する項目
視力、聴力、コミュニケーション、説明の理解、読み書き、感覚過敏・感覚鈍麻

4) 行動障害に関連する項目
被害的・拒否的、作話、感情が不安定、昼夜逆転、暴言暴行、同じ話をする、大声・奇声を出す、支援の拒否、徘徊、落ち着きがない、外出して戻れない、1人で出たがる、収集癖、物や衣類を壊す、不潔行為、異食行動、ひどい物忘れ、こだわり、多動・行動停止、不安定な行動、自らを傷つける行為、他人を傷つける行為、不適切な行為、突発的な行動、過食・反すう等、そう鬱状態、反復的行動、対人面の不安緊張、意欲が乏しい、話がまとまらない、集中力が続かない、自己の過大評価、集団への不適応、多飲水・過飲水

5) 特別な医療に関連する項目
点滴の管理、中心静脈栄養、透析、ストーマの処置、酸素療法、レスピレーター、気管切開の処置、疼痛の看護、経管栄養、モニター測定、じょくそうの処置、カテーテル

(2) ご家族の方の願いと、ご本人の意思と

 共同生活援助の利用を検討される際、明確にしておきたいことの一つに、それがご家族の願いなのか、ご本人の意思なのか、という点があるでしょう。ご家族の願いとご本人の意思とが合致しているのであれば、一つの課題はクリアされていると言えます。

一方で、ご家族は希望しているのにご本人は希望していない、あるいはその逆という場合、十分な話し合いや議論が必要と考えられます。というのも、いざ共同生活援助を利用し始めてからその場で何か問題が発生した場合、「希望した家族のせいで問題が起きた」「本人が希望したのに、問題を起こした」というような、いわゆる責任論のような問題に発展する可能性があるからです。

「時間がない」「切羽詰まっている」というような状況の場合もあるかもしれません。しかし、仮に問題が発生したときには、その問題の解決に、みんなで向かっていくことが大切。だからこそ、「どちらの責任」と言えるような状況を残さないことが、後々のためにも非常に大切になるわけです。

(3) ご本人の障害による症状の波、という課題

 また、ご本人の障害による症状の波にも注意を払う必要があるでしょう。それは、利用の判断をする際にも必要なことですし、実際に共同生活援助を利用した際に起こりえることを考えるという意味でも必要な視点と言えるのではないでしょうか。

(4) 共同生活援助を利用される場合の事前対応 ~生活リスクへの備えという視点

 共同生活援助は、共に生活する方がいらっしゃるサービスです。人が複数で生活する以上、何らかのトラブルが発生する可能性がないとは言えません。また、施設の設備を壊してしまうといったことも可能性としては残るでしょう。さらに、共同生活援助の場合、日中は他の場所で仕事をしたり、他のサービスを利用したりといった活動をすることになります。

つまり、日中活動する場でも、また、その場への移動においても、何らかのトラブルに巻き込まれたりする場合もありえるということ。詐欺などの被害に遭わないとも限りません。そのような万が一のことは、障害の有無を問わず起こりえるものですので、やはり何らかの備えは必要と考えられるのではないでしょうか。

残念ながら、障害のある方の生活上のトラブルへの備えに関する選択肢は、それほど多くはありません。それでもいくつかの保険などを利用することもできますので、事前の対応として、検討してみるとよいのではないでしょうか。

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参考:
厚労省
障害者総合支援法が施行されました
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html

公益社団法人かながわ福祉サービス振興会
障害者総合支援法について
http://www.rakuraku.or.jp/shienhi/guide/about/007.html#a007

社会福祉法人全国社会福祉協議会
障害福祉サービスの利用について
https://www.shakyo.or.jp/news/kako/materials/pdf/pamphlet_201504.pdf

最後に

 共同生活援助は、障害者総合支援法の訓練等給付に位置づくサービスの一つです。「障害のある方に対して、主に夜間において、共同生活を営む住居で相談、入浴、排せつまたは食事の介護、その他の日常生活上の援助を行う」ものとされていますが、「障害のある方のためのシェアハウスのようなもの」ととらえるとわかりやすいのではないでしょうか。

 共同生活であるため、他者との接点も多いなど、障害のある方へのサービスの中でも個人の自由度の高いサービスでありつつ、だからこそ、他者との間でのトラブルが発生する可能性もあるサービスだとも言えるでしょう。実際、サービスを提供する事業者ご担当にお聞きしても、最も注意を払うのは、共に生活する方同士の相性とのこと。

そのようなサービスであるということを踏まえ、利用にあたっては、問題やトラブルが起こることも想定した準備が必要と言えるのではないでしょうか。 

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
厚労省
障害者総合支援法が施行されました
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html
共同生活援助に係る報酬・基準について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000176730.pdf

独立行政法人福祉医療機構WAMNET
共同生活援助(グループホーム)
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-23.html

公益社団法人かながわ福祉サービス振興会
障害者総合支援法について
http://www.rakuraku.or.jp/shienhi/guide/about/007.html#a007

社会福祉法人全国社会福祉協議会
障害福祉サービスの利用について
https://www.shakyo.or.jp/news/kako/materials/pdf/pamphlet_201504.pdf

障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会
グループホーム設置・運営マニュアル
http://www.jgh-gakkai.com/library/setup_manual1-176.pdf

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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