精神障害・精神疾患とは何か? こころの病気

精神障害

はじめに
「精神障害」というと、その言葉が持つイメージの問題や精神障害のある方を支える仕組みがわからない、という問題などから誤解を生みやすい病気とも言えます。ここでは、メカニズムなども含め、「狭い意味での精神障害とは何か?」を中心に概観をまとめています。

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1.こんな症状が見られたら・・・
(1)精神障害に見られる主な症状

 ひと言で「精神障害」と言っても、その症状はさまざまです。以下のような症状が長く続いたり、生活する上で支障が出ていたり、つらくて苦しいといった場合、「精神障害」の可能性があります。

ただ、
・症状があるからといって、「精神障害」とまでは言えない場合もあること
・「精神障害」と診断されても、治療すれば日常生活に支障が出ない程度にまで回復するものもあること
・治療だけでは十分ではなかった場合、福祉サービス面での支援も用意されていること
は、十分に理解しておくことが必要です。

①身体面の症状

疲労・全身倦怠感 (体がだるい、重い、疲れがとれない、など)
動悸・めまい(心臓がどきどきする、息苦しい、めまいがする、など)
頭痛(頭が痛い、ずっしり重く感じる、ズキズキ痛む、など)
不眠(寝つけない、何度も目が覚める、など)
食欲不振(おいしく食べられない、何も食べたくない、など)

②心理面の症状

憂鬱(気持ちがしずむ、楽しいことがない、など)
不安や緊張(気持ちが落ち着かない、どきどきして心細い、など)
怒り(イライラする、怒りっぽくなる、など)
幻聴(誰もいないのに声が聞こえる、など)

③生活・行動面の変化

生活の乱れ(服装の乱れ、昼夜逆転、不規則な生活、など)
行動の変化(ミスが増える、ぼんやりしている、時間通りにできない、など)
自傷行為(自分を傷つける、抜毛、など)
ひきこもり(外出したくない、人に会いたくない、など)

参考:厚労省、みんなのメンタルヘルス
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/

(2)精神障害の発症時期

厚労省が平成15年度に実施した「精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査」によれば、外来の精神障害者の精神科初診時の年齢は、20歳未満が4割、40歳以上で2割となっています。以下、同じ調査で、疾患別の精神科初診時の年齢は、次のようになっています。

厚生労働省「精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査」(平成15年)
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h23hakusho/zenbun/honbun/honpen/h1_2_1.html

なお、広い意味で精神障害に含まれるものに発達障害がありますが、発達障害の兆候が表れる時期は次の通りです。

これらの年齢は、あくまで「目安」です。特に発達障害は、大人になってから発覚するケースも数多く報告されています。

2.精神障害とは?

 
(1)「精神障害」という言葉の大きく2つの使われ方

「精神障害」という言葉には、「広い意味」での精神障害と「狭い意味」での発達障害と、大きく2つの使われ方があります。

「図:広い意味での「精神障害」と狭い意味での「精神障害」」

参考:内閣府 ユースアドバイザー養成プログラム(改訂版)

①使われ方1:「広い意味」での精神障害

知的障害と発達障害、「狭い意味」での精神障害をすべて含めた多彩な障害として扱われるケース。医療の視点で書かれている情報を中心に使われることが多い。

②使われ方2:「狭い意味」での精神障害

発達障害、知的障害、精神障害、その他の障害は、それぞれ別のものとして扱われるケース。主に行政や福祉サービスの提供上、対象を区別するために使われることが多い。

「広い意味」で精神障害を扱う場合でも、知的障害を含むケース・含まないケースがあるなど、使われる場面で扱い方が異なります。それでも、各情報が医療の視点で書かれているか、あるいは、福祉サービスの視点で書かれているかに注目すると、「精神障害」という言葉がどんな意味で使われているか判別しやすくなると言えるでしょう。

(2)精神障害と精神疾患

精神障害という言葉の使い方に大きく2つあることが影響してか、「精神疾患」という言葉もさまざまな意味で用いられています。主な用いられ方として以下があります。

①精神疾患=広い意味(精神医学上の視点)での精神障害
②精神疾患=狭い意味(行政・福祉サービス上の視点)での精神障害
③広い意味での精神障害=精神障害、狭い意味での精神障害=精神疾患(同じ情報内で、精神障害と区別するために使う)

公共機関を中心とした情報は、複数の情報グループが同じ定義の下で発信されています。一方、民間の情報は、仮に医師が監修しているなどと銘打っていても、その使い分けが統一されていないようなケースも散見されるようです。特に人数や割合といったデータを見るときは、出典元を確認するなど注意が必要です。

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3.狭い意味での精神障害について
(1)精神障害がおきるメカニズム

「図:精神障害が起きるメカニズム」

精神障害(≒こころの病気)は、ひと言で言うと、「脳の病気」です。遺伝、その人の気質・性格、と、ストレスや生活環境などとが組み合わさり、脳内の神経の情報を伝達する物質(神経伝達物質)のバランスが崩れることによってひき起こされると考えられています。

(2)分類

以前は精神障害を、内因性・外因性・心因性という、(仮の)原因を基準にした分類をしていました。しかし、(1)で見たように、精神障害は、複数の要因が組み合わさって発症することがわかってきています。そのため現在は、WHOが定義するICD-10や、米国精神医学会が定義するDSM-Ⅳという指標を使って分類するのが一般的になっています。

脳科学辞典
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/

(3)主な精神障害とその特徴(概要)

主な精神障害(発達障害を除く)とその特徴は、次のとおりです

①統合失調症

幻覚や妄想という症状が特徴的な精神障害です。患者数は推計79.5万人。

②うつ病

「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状が非常に重い状態の障害です。患者数は推計104.1万。

③双極性障害

うつ病とほとんど同じうつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁状態も現れ、これらを繰り返す。という慢性の病気で、気分障害に分類さている障害です。患者数は推計90万人。

④強迫性障害

強迫観念と強迫行為に特徴づけられる不安障害の一つです。欧米の同障害者からの推計で日本にも100万人強が同障害と考えられます。

⑤パニック障害

予期しないときに激しい動悸などの発作があり、また発作が起こるのではないかという不安にかられ、症状が起きた時に助けが得られないと感じる場所を避けるという不安障害の1つです。患者数は推計100万人。

⑥摂食障害

体重に対する過度のこだわり、体重・体形が自己評価へ過剰な影響を与えるといった心理的要因が、過食や拒食など、食行動に重篤な影響を及ぼす障害です。実際に通院している患者数は推計2.6万人ですが、実際にはもっと多いと言われています。

⑦アルコール依存症

家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態。治療の必要な患者数は推計80万人。

⑧薬物依存症

薬物への強い欲求をコントロールできずに薬物を使ってしまう状態です。依存状態になっている数は不明ですが、何らかの薬物の利用者率は2.4%です。

⑨認知症

正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態を言います。患者数は240万人を超えているとの見方もあります。

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参考:
厚労省、みんなのメンタルヘルス
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/

日本経済新聞 電子版 2016/4/15
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H0R_U6A410C1CR8000/

(4)精神障害の治療方法

精神障害の治療方法は、大きくは以下の3つです。症状の軽重など総合的な判断の上、組合せて治療が進められます。

「図:精神障害の治療」

①薬物療法

症状を落ち着かせることが大きな目的ですが、薬が効いている間に適切な行動の仕方や自分をコントロールする方法を覚えることができるという点も見逃せません。

②心理療法・精神療法

精神科医や臨床心理士と面談する中で精神分析や認知行動療法などを行い、人間関係の改善や社会適応能力の向上を図ります。

③社会的治療法

デイケアなどでリハビリテーションや作業療法を、社会復帰を目指して行います。

参考:それって、大人のADHDかもしれません、星野仁彦、アスコム

(5)精神障害は治るのか?

少なくとも今の医学で精神障害が治るということはありません。しかし、いずれの障害も、適切な処置や薬物療法などを続けていくことで、「症状をコントロールすることは可能」と言われています。つまり、治療を受けながらも普通の生活ができる状態を保つことは可能ということなのです。

参考:千葉県ホームページ
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/faq/370.html

4.精神障害のある方に対する支援

精神障害のある方を保護・支援するしくみは、少しずつ拡充されてきています。また、介護を含む日々の生活、住まい、保健や医療、教育、仕事、税金など、精神障害のある方が個人としての尊厳を保てるだけの日常生活又は社会生活を送れることを目的に、支援の領域や内容も整理されてきています。

「図:精神障害の生活を支援するしくみ」

(1)精神障害のある方の生活を保護する法律

精神障害の方の生活を守ることは、法律で定められています。主な法律として、以下があります。

①障害者基本法
②障害者総合支援法
③精神保健福祉法

(2)福祉サービスを利用する~精神障害者保健福祉手帳

①精神障害者保健福祉手帳とは?

何らかの精神疾患・障害(てんかん、発達障害などを含む)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象とするしくみ(認定制度)です。障害の程度により1~3級の等級があります。

②取得することのメリット

障害の等級、地域などにより違いはありますが、以下のようなサービスを受けることができます。
公共料金等の割引:NHK受信料減免、交通機関の運賃割引、携帯電話や上下水道の割引など
税金の控除・減免:所得税・住民税の控除、相続税の控除、自動車関連税の軽減など
手当の支給など:福祉手当など
その他:障害者雇用での就職、公営住宅への優先入居など

③ 交付してもらうには

市町村の障害福祉担当窓口(福祉事務所や福祉担当課)に必要な書類を準備して申請する必要があります。医療機関で何らかの精神障害である、と診断されたからといって、自動的に交付されるものではないという点に注意が必要です。

④ 精神障害者保健福祉手帳が無い場合でも受けられるサービス

自立支援医療(精神通院医療)による医療費助成や、障害者自立支援法による自立支援・就労支援・生活のための介助サービスなどの障害福祉サービスは、手帳の有無に関わらず受けられるサービスです。

参考:厚労省、みんなのメンタルヘルス
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html

5.支援機関

精神障害のある方を支える主な相談窓口は、以下のような行政機関と医療機関になります。

(1)行政機関

①保健所・保健センター
②精神保健福祉センター
③いのちの電話
④各市町村の窓口
⑤地域活動支援センター・相談支援事業所

6. 民間の保険など

特に検討が必要なのは、医療保険でしょう。精神障害の通院治療については、福祉サービスである「自立支援医療(精神通院医療)」でサポートがありますが、入院については個室を利用するケースなども出てくる可能性があります。また、精神障害以外の範囲での保障をどの程度考えるかがポイントになりそうです。

「引受基準緩和型」といわれる保険は、症状が比較的軽く、投薬により症状が安定している場合、加入できる可能性が高い民間保険です。保険料は通常告知の保険よりも高くなる傾向がありますが、検討する価値があると言えそうです。また、共済の中に告知の範囲が比較的緩和されているものもあるようです。

参考:保険市場
https://www.hokende.com/life-insurance/medical/usr_medical

合わせて、精神障害の方の場合、日常生活のトラブルに対応する保険も重要でしょう。加害行為を起こしてしまった場合、その損害賠償責任の補償は重要です。とくに、近隣でトラブルを起こしてしまった時は、お金の問題だけでなく、相手方の示談交渉はかなりのストレスとなります。

その反対に、被害事故に巻き込まれやすいのも特徴です。最近では、不当に高額な水や布団を買わせてしまったとり、振り込め詐欺などにあってしまうケースがあったりします。このような事案に対応する補償も重要です。こういった、万が一の備えとなる保険は重要です。

参考:全国地域生活支援機 わたしのお守り総合補償制度
https://jlsa-net.jp/hc-member/

終わりに

いかがでしたか? ひと言で精神障害と言っても、言葉の使われ方に差があることや、その症状は幅広く、発症時期にも差異があること。完治はしないまでも日常生活に支障なく付き合っていく程度にまで緩和させられる可能性もあります。そして、様々な福祉面でのサービスが準備されていること、おわかりいただけたでしょうか?
この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。ご参考までご確認ください。

厚労省・みんなのメンタルヘルス:http://www.mhlw.go.jp/kokoro/

厚生労働省「精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査」(平成15年):
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h23hakusho/zenbun/honbun/honpen/h1_2_1.html

脳科学辞典:https://bsd.neuroinf.jp/wiki/

日本経済新聞 電子版 2016/4/15:
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H0R_U6A410C1CR8000/

千葉県ホームページ:https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/faq/370.html

保険市場:https://www.hokende.com/life-insurance/medical/usr_medical

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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