認知症カフェとは? ~拡大が進められる理由とその役割

社会的課題

はじめに
 認知症は誰でもなりえるものであり、また、今後も増加が見込まれていますが、その疾患の性質もあり、ケアが非常に重要と考えられています。そのような中で国が拡充を目指しているものに認知症カフェがあります。

ここでは認知症カフェについて、認知症カフェとはいったい何か、認知症カフェの設置が推進される理由などを中心としつつ、実際の場で行われていることや期待されていることなどをまとめています。

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1. 認知症カフェとは?
(1) 国も拡充方針を示す認知症カフェとは?

 認知症カフェとは、認知症を患う方やそのご家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場、とされています。国の認知症対策方針である「認知症施策推進総合戦略」、通称「新オレンジプラン」で認知症カフェの拡充を目指すことが明記されたこともあり、2013年度からは国の財政支援も始められている取り組みです。

財政支援があることもあり、多くの認知症カフェは、0~1000円程度で利用できます。

(2) 認知症カフェの運営状況

① 認知症カフェの運営数

 認知症カフェは、2016年時点で47都道府県、1029市町村で、4267運営されています。この数は国が把握している数であり、また現在の拡大の動きなどを考えれば、実際に運営されているカフェはもっと多いと考えられます。とはいえ、2014年時点では、6県で未設置。市町村単位で見ればわずか280市町村での運営にすぎませんでした。

全国には1724市町村あることを考えれば、現在ですら設置している市町村は6割に満たない状況あるというのが現実です。まだまだこれから、成長過程にある施策であるとも言えるでしょう。

② 多岐に渡る運営・設置主体

 認知症カフェの運営・設置主体は多岐に渡っていますが、その半数を介護サービス施設・事業所と地域包括支援センターが運営・設置するものが占めています。その他には、市町村が設置するもの、社会福祉法人やNPO法人が設置するものなどの他、民間企業が運営・設置しているものもあります。

たとえば大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」は、8店舗が月1回、認知症カフェとして運営されています。

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参考:
厚労省ホームページ
認知症施策の最近の動向について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/houkatsu/documents/daigokaishiryouichi.pdf
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nop_1/
5 精神保健医療福祉施策の推進について
https://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-02-05.pdf

朝日新聞デジタル
いつものスタバが認知症カフェに 月1で悩み共有
https://www.asahi.com/articles/ASL6G2F5RL6GUTIL001.html

2. 認知症初期の大問題 ~ 認知症カフェの設置が求められる理由
(1) 増える認知症を患う方

認知症カフェの拡充が進められている背景には、認知症を患う方の増加があります。

厚労省の研究による推計では、認知症を患う方は、2012年時点で462万人(65歳以上の人口の15%)となっており、2025年には700万人(同20%)になると推計されています。また、認知症は高齢の方のみが患うものではありません。2009年の厚労省の調査では、若年性認知症を患う方は3.78万人と推計されています。

(2) 認知症初期の大問題

① ごく一般的な疾患である認知症

このように認知症は、誤解を恐れずに言うなら、ごくありふれた、一般的な疾患である、と言えます。その一方で、記憶、実行機能、視空間認知などの高次脳機能障害を来す疾患です。妄想、幻覚、興奮性、異常行動などの精神的な症状も示しますし、歩行障害や神経症状・老年症候も伴うという点を考えれば、その治療・ケアには専門性が必要な疾患であるとも言えます。

さらに、日常生活における自立度が低下するため、他者からの支援を必要とします。その進行に伴い支援の必要性も増すため、特に支援の中心となるご家族の方からすれば、その支援は難易度の高いものであり、精神的・社会的・経済的な負担感の高い疾患でもあると言えます。

② 遅れる認知症初期へのケアの整備

一方で、認知症の初期段階のケアサービスは十分整備されているとは言い難い状況にあります。つまり、病院で認知症と診断されても、受け皿となるケアサービスが不十分な状況にあるのです。そこには症状が重症化しているものに対するケアサービスの整備を先行させなければならないという事情もあったと考えられます。

③ 認知症初期の大問題

「図-認知症初期の大問題」

一方で、認知症の初期の段階は、けっして穏やかな時期ではありません。認知症という病気を患っていることを初めて知らされた時のご本人、あるいはご家族の方の衝撃や不安な気持ちは、非常に大きなものであるでしょう。

それ以前に、認知症は受診に至らないケースも多くあると言われています。認知症の特に初期は、ご自身が病気であるという自覚が持ちにくいことから、自ら受診することが難しいとされています。仮にご本人が変調を自覚していても、不安や病気を否定したい気持ちも強く、仮にご家族が誘導した場合でも受診には至りにくいと考えられるのです。

さらにご家族も、認知症の症状の理解の難しさもあり、病気かどうかの見極めができず、病気を否定する気持ちを持ちやすいとされています。その結果、もの忘れを強く指摘したり、自立的な行動を促したり、その過程で本人のプライドを傷つけたりと、望ましい対応とは正反対の行動をとりやすいと考えられています。そしてそのことが、余計にご本人をイライラさせてしまうのです。

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参考:
厚労省ホームページ
認知症施策の最近の動向について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/houkatsu/documents/daigokaishiryouichi.pdf

一般社団法人 日本老年医学会
4.認知症地域連携における認知症カフェの役割
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_52_2_147.pdf

3. 改めて認知症カフェとは?
(1) 認知症カフェに求められること ~ 特に認知症初期の方が参加できる場としての期待

「図-認知症カフェに期待される効果」

 これまで見てきた、特に認知症初期の大問題の解決を期待されているのが認知症カフェです。ここで言う解決とは、認知症を治療しようというものではなく、認知症を患う方が地域で生活していくことを支えるしくみをつくるということです。

 しくみとしての認知症カフェには、認知症カフェに参加される方の立場によって、それぞれ次のような役割が期待されていると言えます。

① 認知症を患うご本人にとって

1) 同じ認知症を患う方々とつながり、交流することができること
2) 認知機能の低下に引け目を感じることなく、社会との接点を持てること
3) 認知症を患うご本人とその場に集うスタッフとが、支援される側とする側という関係ではなく、地域社会で生活する対等な人として、個性を尊重した交流ができること

② 認知症を患う方のいるご家族にとって

1) 同じ認知症を患うご家族を持つもの同士の間で、生活上の困難や、困難に対応するための工夫や知恵を共有し合えること
2) 専門のスタッフに気軽に相談ができること
3) 自分の家族以外の認知症を患う方の様子を知ることで、視野を広げられること

③ 介護の専門スタッフにとって

1) 認知症初期の方やそのご家族の葛藤や悩みを直接感じられること
2) 認知症を患う方の持つ地域での生活者としての力を感じることができること

④ 地域にお住いの方にとって

1) ボランティアなどの形で、カフェの取り組みに参画できること
2) 認知症と共に生きる方々への接し方などを、知識としてではなく、現実感を持って学ぶことができること

(2) 認知症カフェのタイプ

「図-認知症カフェのタイプ」

 認知症カフェは、設置・運営母体がさまざまです。認知症を患うご本人やそのご家族、介護の専門スタッフや地域にお住いの方が集う場であるという点では共通するものの、その場で重視されるものは設置・運営母体に依存しています。そのような性質であることから、各認知症カフェで実施されているプログラムも共通のプログラムではありません。

 さまざまなプログラムが実施されているため、また、何か一つのプログラムだけが提供されているわけでもないため、明確に分けることは難しい面もありますが、認知症カフェは大きくは次の3つのタイプに分類できると言われています。また他にも、個別に専門家に相談できる場を設けているカフェもあります。

① 学びの場としての認知症カフェ

認知症について正しく理解してもらうためのセミナーなどを開催するようなタイプの認知症カフェです。地域にお住いの方にも積極的に参加してもらうタイプで、認知症を理解している方を増やすことが一つの大きな目的になっていると言えます。

② 楽しみを提供する場としての認知症カフェ

認知症を患うご本人を中心に、体を動かしたり合唱したりといった娯楽を提供するタイプの認知症カフェです。他にもヨガやマッサージを体験してもらうもの、楽器の演奏会を開催するものなどもあります。

③ ピアサポートの場としての認知症カフェ

参加者同士が悩みや困りごとを相談し合える場を提供するタイプの認知症カフェです。このタイプの認知症カフェは、認知症を患うご本人、ご家族、介護の専門家といった参加者が、それぞれ同じ立場の方と悩みを共有したり、対処方法を学びあったりすることを目的としています。

 認知症を患うご本人やそのご家族にとっては、実際に生じている悩みを共有し、その対処方法を当事者同士で検討するといったものが考えられます。この場合、悩みの解決を目的にすることももちろんあります。当事者だからこその具体的なアイデアが得られる面もあるからです。

ただそれだけではなく、同じ状況にある方同士で悩みを共有することによって、安心を得ることが目的となっている面もあります。言い換えれば、孤独感からの解放、つまり、「自分だけではないのだ」と感じられるようになることも目的になっているということです。

 他にも、介護の専門スタッフ同士の場合であれば、ケアの方法を教えあう場となっているケースもあります。このタイプの認知症カフェの場合、認知症を患うご本人、そのご家族、介護の専門スタッフが、それぞれの立場をそれぞれ学べるという効果も期待できるでしょう。

なおピアサポートとは、一般に、同じ問題や環境を体験する人が、対等な関係性の仲間で支え合うことを言い、同様のものとして、セルフヘルプ・グループ、自助グループと呼ばれるものがあります。自助グループとしては、アルコール依存症、薬物依存、不安障害の自助グループなどが有名です。

(3) 認知症カフェの特徴と効果

 認知症カフェのタイプでも見た通り、認知症カフェはさまざまなプログラムで運営されており、また、いくつかのタイプに分類することができます。ただ整理すると、以下のいずれかの目的をもって設置・運営されていると言えるでしょう。それが、それぞれのカフェの特徴になっていると言い換えることができますし、期待できる効果でもあると言えるのです。

① 認知症を患う方とそのご家族の方が、安心して過ごせる場
② 認知症を患う方とそのご家族の方が、いつでも気軽に相談できる場
③ 認知症を患う方とそのご家族の方が、自分たちの思いを吐き出せる場
④ 認知症を患う方とそのご家族の方が、の暮らしのリズム、関係性を崩さずに利用できる場
⑤ 認知症を患う方とそのご家族の方の想いや求めるものが社会に発信される場
⑥ 地域に住む方々が、認知症を患う方やそのご家族の方と出会い、触れ合う場
⑦ 地域に住む方々が、現実味をもって認知症のことや認知症ケアについて知る場
⑧ 地域に住む方々が、「自分が認知症になった時」に安心して利用できる場を知り、相互扶助の輪を形成できる場
⑨ 介護の専門家が、認知症を患うご本人やそのご家族の方と、支援する側・される側ではない同じ立場で出会い、ご本人とご家族の方の別の側面を発見する場
⑩ 運営スタッフが、必要とされていることに気づき、やりがいを感じる場

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参考:
厚労省ホームページ
認知症施策の最近の動向について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/houkatsu/documents/daigokaishiryouichi.pdf
e-ヘルスネット
自助グループ
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-05-006.html

公益社団法人認知症の人と家族の会
認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書
http://www.alzheimer.or.jp/pdf/cafe-web.pdf

一般社団法人 日本老年医学会
4.認知症地域連携における認知症カフェの役割
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_52_2_147.pdf

特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・コンボ 
ピアサポートとは何か?(本人)
https://www.comhbo.net/?page_id=5527

最後に

 認知症カフェとは、認知症を患う方やそのご家族が、地域の人や介護の専門スタッフと相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場として、官民問わず、さまざまな組織などが中心となって、設置・運営しているものです。特に認知症初期のケア施策として、国がその拡充をはかっています。

認知症初期の段階は、けっして穏やかな時期ではありません。認知症というものへの不安などから、受診に至らないケースが多い他、実際に受診し認知症であると診断されたときの衝撃など、まだまだ認知機能が高い段階であるからこそ辛く、精神的な面でのダメージも大きいと考えられます。

そのような中で、認知症を患うご本人やそのご家族が、「自分だけではない、同じ仲間がいる」と感じられることは、大きな安心を得られるだけでなく、認知症と共に豊かに生きることに気づくきっかけにもなりえるでしょう。認知症カフェは、認知症の当事者だけが利用する場ではありません。

地域にお住いの方が、認知症の当事者と触れ合うことを通じて、「認知症について学ぶ場」でもありますし、また、介護の専門スタッフが、介護する側・される側という関係を超えて触れ合う場でもあります。さらには、認知症カフェを設置・運営するスタッフにとっては、やりがいを見つけられる場にもなりえます。

1回にかかる費用も0~1000円程度と低額でもありますので、さまざまな気づきを得るためにも、積極的に利用してみるとよいのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。ご参考までご確認ください。

参考:
厚労省ホームページ
認知症施策の最近の動向について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/houkatsu/documents/daigokaishiryouichi.pdf
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nop_1/
5 精神保健医療福祉施策の推進について
https://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-02-05.pdf

e-ヘルスネット
自助グループ
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-05-006.html

公益社団法人認知症の人と家族の会
認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書
http://www.alzheimer.or.jp/pdf/cafe-web.pdf

一般社団法人 日本老年医学会
4.認知症地域連携における認知症カフェの役割
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_52_2_147.pdf

特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・コンボ 
ピアサポートとは何か?(本人)

ピアサポートとは何か?(本人)

朝日新聞デジタル
いつものスタバが認知症カフェに 月1で悩み共有
https://www.asahi.com/articles/ASL6G2F5RL6GUTIL001.html

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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