就労継続支援とは?

障害者就労

はじめに
障害のある方を就労面で支援するサービスに就労継続支援があります。就労継続支援は、障害のある方に働く場を提供しつつ、必要な知識やスキルを身につけていけるよう支援することを目的としたサービスです。ここでは就労継続支援について受けられる支援の具体的な内容や利用する際のサービスを提供する事業所選びのポイントなどをまとめています。

障害のある方が、日常生活でトラブルが起きた時の賠償責任、弁護士費用、ケガを補償↓↓↓

1. 就労継続支援とは?

「図―就労継続支援の2つのサービス」

(1) 就労継続支援

就労継続支援とは、障害者総合支援法に基づくサービスです。この法律の中の訓練給付に位置づくサービスで、一般企業等での就労が困難な人に働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うサービスのことを言います。つまり、職業訓練の提供と就労環境の提供という大きくは2つのサービスを提供するものと言い換えることができます。

(2) 大きく2種類のサービス

就労継続支援には、就労継続支援A型と就労継続支援B型の2つのサービスがあります。同じような名称であるため混同しやすい面がありますが、能力開発支援を継続的に行いつつ、就労の場を提供するという点では共通であるものの、条件面などで大きな差があるという点で注意が必要です。

参考:
厚労省
障害者の就労支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf

2. 就労継続支援A型とは? ~給料をもらいながら能力を活かして働く
(1) 就労継続支援A型とは?

就労継続支援A型とは、障害のある方のうち、一般企業での就労が難しい方に就労機会を提供するとともに、生産活動やその他の活動の機会の提供しつつ、就労に必要な知識やスキル・能力の向上のために必要となる訓練やその他の必要な支援を行うことを目的とするサービスです。

障害のある方と、サービスを提供する事業所とが雇用契約を結び、原則として最低賃金を保障するしくみであり、<雇用型>の障害福祉サービスとして位置づけられています。期間無制限で受けられるサービスですが、一般就労に向けた訓練もサービス対象であるため、最終的には一般就労への移行を目指すものという位置づけになっています。

(2) サービスを提供する事業所数

就労継続支援A型をサービスとして提供する事業所は、平成28年時点で3,455事業所あり、平成25年に比べて1,600事業所程度増加しています。障害のある方の一般企業への就労ニーズの高まり、障害者雇用促進法の改正などを受けた障害のある方の一般企業側の雇用に関する関心の高まりなど、社会的なニーズの高まりを受け、年々増加傾向にあります。

(3) 対象となる方

就労継続支援A型を利用できるのは、一般企業等への就労が困難な方ではありつつ、雇用契約に基づいて継続的に就労することが可能なサービス利用開始時点で65歳未満の方です。具体的には以下のような方が対象とされています。

① 就労移行支援事業を利用したものの、企業等の雇用に結びつかなかった方
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったものの、企業等の雇用に結びつかなかった方
③ 企業等を離職した方など、就労経験があるものの、サービス利用時点で雇用関係の状態にない方

(4) サービスの内容

就労継続支援A型で受けられるサービスには、大きくは次の3点があります。

① 雇用契約に基づく生産活動やその他の活動の機会の提供
② 就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練
③ ①②に関連するその他の必要な支援

(5) 利用期間

利用期間に制限はありません。つまり、一般就労しない限り、無制限にサービスを利用できるということです。

(6) 平均賃金

就労継続支援A型を利用すると、サービスを提供する事業所との間で雇用契約が発生するため、賃金として給料が支給されることになります。平成25年度の就労継続支援A型のサービス利用者1人当たりの平均賃金月額は、69,458円となっていて、平成18年度と比較すると39%ほど減少しています。

ただし、平均賃金を時給換算すると737円で、同じ年度の一般就労における最低賃金の全国平均764円と比較すると、大きな差があるとは言えない状況になっています。

参考:
独立行政法人 福祉医療機構
就労継続支援A型(雇用型)
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-21.html

厚労省 ホームページ
障害者の就労支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf
平成 28 年 社会福祉施設等調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/16/dl/gaikyo.pdf

3. 就労継続支援B型とは? ~作業分の工賃をもらいながら比較的自由に働く
(1) 就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型とは、一般企業への就職が困難な障害のある方に就労機会を提供するとともに、生産活動を通じて、その知識と能力の向上に必要な訓練などの障害福祉サービスを提供することを目的とするサービスです。
就労継続支援A型とは異なり、サービスを提供する事業所とは雇用契約を結びません。

そのため、サービスを利用する障害のある方は、作業に対する工賃分の金銭をその対価としてもらうことになります。比較的自由に働ける<非雇用型>の障害福祉サービスとして位置づけられています。訓練サービスを提供している面もあるため、このサービスの利用を通じて生産活動や就労に必要な知識や能力が高まった方は、就労継続支援A型や一般就労への移行を目指すことになります。

(2) サービスを提供する事業所数

就労継続支援B型をサービスとして提供する事業所は、平成28年時点で10,214事業所あり、平成25年に比べて2,200事業所程度増加しています。

(3) 対象となる方

就労継続支援B型を利用できるのは、一般企業等への就労が困難な方のうち、一定年齢に達している方などで、就労の機会等を通して、生産活動に必要な知識を得たり、能力の向上や維持が期待されたりする方です。具体的には以下のような方が対象とされています。

① 就労経験があるものの、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方
② 50歳に達している方や、障害基礎年金1級を受給されている方
③ ①・②には該当しないものの、就労移行支援事業者等によるアセスメントの結果、就労面にかかわる課題等の把握が行われている方
④ 障害者支援施設に入所されている方で、指定を受けている特定相談支援事業者によるサービス等利用計画の作成の手続きをされていて、市区町村がさまざまな福祉サービスのうち、就労継続支援B型によるサービスの利用の組み合わせが必要だと認められた方

(4) サービスの内容

就労継続支援B型で受けられるサービスには、大きくは次の3点があります。

① 生産活動その他の活動の機会の提供。ただし、雇用契約は結ばずに行う。
② 就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
③ ①②に関連するその他の必要な支援

(5) 利用期間

利用期間に制限はありません。つまり、就労継続支援A型の利用や一般就労が可能になるまで、無制限にサービスを利用できるということです。

(6) 平均工賃

 就労継続支援B型を利用すると、雇用上の契約関係はないものの、作業に対する工賃は支払われることになります。平成25年度の就労継続支援B型の利用者1人当たりの平均工賃月額は、平成18年度と比較すると18%ほど上昇しているものの、14,437円となっています。時給換算すると178円で、同じ年度の一般就労における最低賃金の全国平均764円の4分の1以下です。

平均工賃月額が2万円以上の事業所の割合は全体の2割弱。年々減少はしているものの、全体の4割の事業所は平均工賃月額が1万円未満となっています。また、上位25%と下位25%の事業所の平均工賃には6倍近くの差があります。

就業先などでトラブルを起こしてしまった時の個人賠償責任を補償↓↓↓

参考:
独立行政法人 福祉医療機構 ホームページ
就労継続支援B型(雇用型)
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-22.html

厚労省 ホームページ
障害者の就労支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf
平成 28 年 社会福祉施設等調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/16/dl/gaikyo.pdf

4. 就労継続支援を利用されている方
(1) 障害の種別

① 就労継続支援A型

国民健康保険団体連合会のデータから厚労省が算出した結果によると、就労継続支援A型の利用者数は平成25年の時点で30,000人あまり。このうち、4割が知的障害のある方、4割弱が精神障害のある方、1割弱が身体障害のある方となっています。

② 就労継続支援B型

同じデータで見ると、就労継続支援B型の利用者数は174,000人あまり。うち6割近くが知的障害のある方で、精神障害のある方が3割、1割程度が身体障害のある方となっています。

(2) 年齢
① 就労継続支援A型

就労継続支援A型の利用者の年齢層は、2015年12月現在で30歳未満の方、30代、40代の方がそれぞれ4分の1ずつ程度いらっしゃり、50代になると15%程度になります。いずれにしても様々な年代の方が利用されているということです。

② 就労継続支援B型

就労継続支援B型の利用者の年齢層も、就労継続支援A型の利用者と同じような世代比率になっています。

詐欺や事故などのトラブルに巻き込まれた時の弁護士への相談・委任費用を補償↓↓↓

参考:
厚労省ホームページ
第6回 精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会 資料5
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000026672.pdf
就労移行支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/3b.pdf
平成 28 年 社会福祉施設等調査の概況 – 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/16/dl/gaikyo.pdf

5. 就労継続支援、利用のステップ

就労継続支援によるサービスを受けるには、実際の支援を受ける事業所選びと利用申請・手続きの大きく2つを行う必要があり、就労継続支援A型と就労継続支援B型とでは基本的な流れは共通となります。

(1) 事業所選びのポイント

「図-就労継続支援、事業所選びのポイント」

先にお示ししたとおり、就労移行支援事業所は、全国にA型で3,000ヶ所以上、B型では10,000ケ所以上設置されています。また、事業所ごとに提供する業務や作業、実施されているプログラムなどの支援内容や施設の雰囲気などが異なります。数も多く、提供される業務やプログラムなどの質という面でも幅広いため、ご本人に合った事業所を選ぶのは大変な面もあります。

そこで、次のような視点で重視したいポイントを整理した上で、市区町村の窓口へ相談し、事業所への見学・体験を行うと良いのではないでしょうか。

① ご自身が求める業務やプログラム内容と事業所が提供する業務・プログラム内容とが合っているか

ご本人がやりたい業務や伸ばしていきたいスキルや知識などと、事業所が提供している業務・作業や実施しているプログラムの内容が合っているかは、事業所選びのもっとも重要な視点の一つでしょう。資料ベースの情報による内容を確認するだけでなく、実際に見学・体験し、興味・関心のある業務ができそうか、必要な知識やスキルなどを身につけることができそうかなど確認することをおすすめします。

② 事業所の環境や雰囲気

就労継続支援サービスを受けることになると、サービスを受ける事業所は、多くの時間を過ごす生活の場にもなります。このため事業所の環境や雰囲気といったものがご本人に合っているかは、非常に大切な視点と言えるでしょう。業務をする上で、あるいは就労に向けた訓練を受けるという意味で集中できる環境にあるか、人間関係が良好に築けるかなどを見学や体験を通して確認することも大切だということです。

③ これまでの就労実績

就労継続支援サービスは、就労移行支援事業所での業務や作業を行うことが最終的な目標とはされていません。一般就労を最終的な目標とし、知識やスキル、能力を高めていくことを目的にしています。よって、居心地の良さなどだけでなく、ご本人が希望する職種への就職実績があるかなど加味して選択する必要もあると言えるでしょう。

なお、平成25年のデータによれば、就労継続支援からの一般就労への移行率は、A型事業所で4.9%、B型事業所で1.6%です。また、A型事業所の7割、B型事業所の8割で、1年間に1人も一般企業への就職者が出ていない状況です。

(2) 利用申請・手続きの流れ

「図-就労継続支援、利用申請・手続きの流れ」

就労移行支援の利用にあたっては、市区町村の窓口に利用申請を行い、その利用が認められた場合に利用が可能となります。実際の申請の流れは図に示すとおりです。

参考:
厚労省
平成 28 年 社会福祉施設等調査の概況 – 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/16/dl/gaikyo.pdf
サービスの利用手続き
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/riyou.html

6. 就労継続支援A型と就労継続支援B型との比較

ここまで見てきた、就労継続支援A型と就労継続支援B型の特徴は、以下のように整理することができます。

24時間、自宅や就業先、施設等でのケガを補償↓↓↓

最後に

 障害のある方のうち、利用開始時点で、一般企業等での就労が困難な方に働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行いつつ、最終的には一般就労を目指すことをサポートするサービスが就労継続支援です。就労継続支援にはA型とB型の2つのサービスがありますが、共通するのは、働く場でありつつ、一般就労に向けた訓練が受けられるという点です。

一方異なるのは、A型はサービスを提供する事業所と雇用契約を結ぶのに対し、B型は雇用契約を結ばない点です。このため、処遇の取り扱いの面などで大きな違いがあります。また、実際のサービスを提供する事業所は増えていますが、提供される業務やサポートプログラムなど、事業所ごとにその特徴が異なります。

ご自身がどのような業務を行いたいか、また、どのような支援を必要としているのか、将来の一般就労を目指すときに必要な支援はどのようなものかなど、よく検討したうえで実際にサービスを提供する事業所を選択することが重要になると言えるでしょう。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
厚労省
障害者の就労支援について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf
平成 28 年 社会福祉施設等調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/16/dl/gaikyo.pdf
第6回 精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会 資料5
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000026672.pdf
サービスの利用手続き
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/riyou.html

独立行政法人 福祉医療機構 WAMNET ホームページ
就労継続支援A型(雇用型)
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-21.html
就労継続支援B型(雇用型)
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-22.html

金森 保智

95,437 views

全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

102,048 views

電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。