障害者スポーツとは? ~障害のある方のスポーツへの参加

発達障害

はじめに
 パラリンピックのような競技スポーツに限らず、障害のある方がスポーツに参加する場は非常に多くありますし、その関わり方も複数考えられます。ここでは、障害のある方が参加できる主なスポーツをご紹介しつつ、スポーツへの複数の参加の仕方、障害のあるでない方と障害者スポーツとの関わりなどについてまとめています。

1. 障害のある方のスポーツへの参加の仕方 ~やる・観戦される・観戦する

「図-障害のある方とスポーツへの参加の仕方 ~ 考えられる視点」

(1) 障害者スポーツとは?

① 障害者スポーツとは?

障害者スポーツとは、障害があってもスポーツ活動ができるよう、障害に応じて競技規則や実施方法を変更したり、用具等を用いて障害を補ったりする工夫・適合・開発がされたスポーツのことを指します。ルール面や安全面での配慮を行っているだけで、障害者スポーツという特別なスポーツがあるわけではありません。そのためアダプテッド・スポーツ(障害のある方に適応されたスポーツ)とも言われます。

② 障害者スポーツの特徴

障害のある方のためのスポーツは、視覚障害のある方・聴覚障害のある方・身体障害のある方・知的障害のある方・精神障害のある方の5グループに大きく分けられます。また、基となる競技に対する安全面での配慮や、障害の状況に応じたクラス分けなど平等性を担保するためのルール上の工夫などがされている点がその特徴としてあげられます。

(2) やるスポーツの観戦されるスポーツへの発展 ~障害者スポーツの発展

障害者スポーツは、実際にやるスポーツから観戦もされるスポーツへとその役割が拡大、発展している面があります。たとえば、障害者スポーツの国際競技会として最もなじみ深いものにパラリンピックがあります。パラリンピックは1948年、第2次世界大戦で主に脊髄を損傷した兵士たちのリハビリの一環として行われたアーチェリーの競技会がその起源で、1952年に国際大会になりました。

これが、競技スポーツとして発展し、多くの観客を動員するようにもなってきています。やるスポーツとして始まった障害者スポーツが観戦されるものにもなってきているということです。

(3) スポーツを観戦する、という参加の仕方

 ここまで見てきたことからわかるとおり、スポーツはやるだけのものではないでしょう。パラリンピックだけでなく、オリンピックやワールドカップなどの国際大会、多くの競技のプロアスリートによる競技、アマチュアのトップアスリートの競技などなど、多くの競技を直接観戦したり、パブリック・ビューイングのようなものに参加したりと多くの参加の仕方があります。

トップアスリートの凄さに触れたり、その場の雰囲気を肌で感じたりといったこともスポーツの楽しみ方の一つですし、スポーツの持つ社会への参加という側面やストレスの解消などの精神的な側面を満たすものでもあると言えるでしょう。

参考:
公益財団法人 日本体育協会 ホームページ
障害者とスポーツ
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/h24_seigo2_25.pdf

厚労省ホームページ
障害者スポーツ
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2011/01/01.html

2. 主な障害者スポーツ ~やる・観戦されるという点から見た障害者スポーツ
(1) 主な障害者スポーツ

「図-障害者スポーツとその競技団体」

障害のある方がやる・観戦されるスポーツである、いわゆる「障害者スポーツ」に位置づけられるものには非常に多くの種目があり、個人競技も団体競技もあります。またその中には、大会としては同一ながら障害別にクラスが分かれている競技、障害の度合いでハンディがつけられている競技、元は障害のある方が参加できるものとして開発された後、一般の方も参加できるようになった競技など、さまざまなものがあり、その数も数えきれないほどです。

さらに、競技団体が中心となって活動している競技もあります。日本障害者スポーツ競技会が公表している資料によれば、障害者スポーツ競技団体協議会に参加している団体には、障害者スポーツ全体を推進する5つの統括競技団体、各個別の競技の普及を推進する52の競技団体と9つの準登録競技団体があります。

(2) 障害のある方のスポーツ国際競技会

障害のある方のスポーツの国際競技会には、以下のようなものがあります。

① パラリンピック競技大会

オリンピック終了後に同じ開催地で開催される、障害者スポーツの最高峰の大会として位置づけられています。ただし、現在は聴覚障害のある方、知的障害のある方を除く競技会となっています。

【正式競技】
1) 夏季(20競技):
陸上競技、水泳、車いすテニス、ボッチャ、卓球、柔道、セーリング、パワーリフティング、射撃、自転車、アーチェリー、馬術、ゴールボール、車いすフェンシング、車椅子バスケットボール、視覚障害者5人制サッカー、脳性麻痺者7人制サッカー、ウィルチェア-ラグビー、シッティングバレーボール、ボート、

2) 冬季(5競技):
アルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、アイススレッジホッケー、車いすカーリング

② デフリンピック競技大会

聴覚障害のある方の最高峰の大会で、パラリンピックよりも古い歴史があります。競技は基本的にオリンピックと同じルールで運営される一方で、全てのコミュニケーションには国際手話が用いられるという特徴があります。

【正式競技】
1) 夏季(19競技):
陸上、水泳、卓球、テニス、射撃、バドミントン、ボウリング、オリエンテーリング、自転車、バスケットボール、バレーボール、ビーチバレー、サッカー、柔道、空手、テコンドー、レスリング(グレコローマン)、レスリング(フリースタイル)、マウンテンバイク

2) 冬季(5競技):
アルペンスキー、スノーボード、アイスホッケー、クロスカントリースキー、カーリング

③ アジアパラ競技大会

過去9回に渡り実施された極東・南太平洋障害者スポーツ大会の実績を引き継ぎつつ、アジア地域におけるパラリンピック・ムーブメントの推進と、競技スポーツのさらなる進展を図ることを目的に開催されるアジア地域の障害のある方の総合スポーツ大会で、4年ごとに夏季競技が実施されます。

【正式競技】
正式競技は規定されていません。ただし、パラリンピック夏季正式競技のうちアジア地域で一定の参加数が見込める競技と、極東・南太平洋障害者スポーツ大会での実施実績のある競技の中から決定されます。

(3) 国内競技会

障害のある方のスポーツの国内競技会には、以下のようなものがあります

① 全国障害者スポーツ大会

障害のある方がスポーツの楽しさを体験すること、全国民が障害に対する理解を深めること、そして、この2点を通じて、障害のある方の社会への参加を推進することを目的として開催される、国内最大の障害のある方のスポーツの祭典です。

「全国身体障害者スポーツ大会」と「全国知的障害者スポーツ大会」が統合され、「全国障害者スポーツ大会」として開催されるようになりました。

【実施競技】
1) 個人競技
陸上競技、水泳、アーチェリー、卓球(サウンドテーブルテニス含む)フライングディスク(アキュラシー、ディスタンス)ボウリング

2) 団体競技
バスケットボール、車椅子バスケットボール、ソフトボール、グランドソフトボール、バレーボール、サッカー、フットベースボール、(第8回(2008年)でのオープン競技)ふうせんバレーボール、卓球バレー

② スペシャルオリンピックス日本

知的障害のある方々による、オリンピック種目に準じた様々な競技での継続的なスポーツトレーニングとその成果の発表の場として開催される競技会で、知的障害のある方の社会参加を応援する国際的な活動の国内大会です。国内本部組織である公益財団法人 スペシャルオリンピックス日本は、ボランティア・コーチの育成と4年に1度の全国大会の開催、世界大会への選手団派遣事業を行っています。

また、47都道府県に地区組織があり、継続的な活動が展開されています。

【実施競技】
陸上競技、水泳競技、体操競技、テニス、卓球、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、サッカー、ボウリング、ゴルフ、アルペンスキー、スノーボード、クロスカントリースキー、スノーシューイング、フィギュアスケート、スピードスケート、フロアホッケー など

③ ジャパンパラリンピック競技大会

パラリンピックや世界選手権大会を目指すトップアスリートのための大会として位置づけられた、国内最高峰の大会です。

【実施競技】
陸上競技、水泳、アーチェリー、スキー、アイススレッジホッケー

④ 競技種目別の主な大会

その他、以下のような競技に、障害のある方のスポーツ競技国内大会があります。
車いすバスケットボール、スキー、自転車、アーチェリー、車いすマラソン、車いす駅伝、盲人マラソン など

(4) 独自に開発されたスポーツの例

障害者スポーツは、一般で実施されていたスポーツを、障害種類別に安全面やルール面での配慮を加えたタイプのものが多い面があります。

一方で、「誰もが参加できるスポーツ」として開発されたものもあります。その代表的なものに、2020年の東京パラリンピックの正式競技種目でもある「ボッチャ」があります。ボッチャは、障害のある方、特に、重度脳性まひやそれと同程度の四肢重度機能障害のある方など、運動能力に障害のある方向けにヨーロッパで生まれた障害者スポーツです。

ボッチャは、自分のボールを、横6m・縦10mのコートの中にある「ジャック」といわれる白いボールにできるだけ近づけるように、投げたり転がしたりして得点を競います。障害の程度別に4クラスに分かれており、障害が重いことでボールをうまく持てない、または離せない選手でも「ランプス」という、ボールを転がすことのできる溝を使って競技をすることができます。その場合は、コートに背を向けたアシスタントが選手の指示に従い、ランプスを動かしたり、ボールをランプスに置くことを手伝ったりします。

参考:
公益財団法人 日本体育協会 ホームページ
障害者とスポーツ
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/h24_seigo2_25.pdf

文科省ホームページ
障害者スポーツに関する基礎データ集
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/027/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/06/15/1358884_09.pdf

公益財団法人 日本障害者スポーツ協会 ホームページ
障害者スポーツ競技団体協議会
http://www.jsad.or.jp/about/pdf/team_conference_170221.pdf

一般社団法人日本ボッチャ協会 ホームページ
ボッチャについて
http://japan-boccia.net/about/

3. 観る・雰囲気を楽しむスポーツ ~観客としてのスポーツへの関わり

スポーツを観戦するには、観戦できる環境が整っている必要があります。競技場や観戦する場自体の設置はもちろん、座席、通路や階段、トイレなど、障害のある方に配慮された設計が求められます。

他にもその場へ実際に行けることも必要です。このような点で、障害のある方が参加できる環境が物理的に、あるいは、他の方法で整備されているかという問題があります。逆に言えば、このような設備が整っているなら、障害のある方がスポーツに参加する機会を増やせるということでもあるでしょう。

参考:
公益財団法人 日本体育協会 ホームページ
障害者とスポーツ
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/h24_seigo2_25.pdf

4. 一般の方の障害者スポーツへの関わり方

「図-一般の方の障害者スポーツへの関わり方の例」

 観戦という点から見るだけでも、障害者スポーツが障害のある方だけのものではないことがわかりますが、他にも一般の方の障害者スポーツへの関わり方は複数考えられます。

(1) 法律との関係から

スポーツと人との関わりについて制定された法律に、スポーツ基本法があります。スポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であり、全ての国民が個々の関心や適性に応じつつも自発的に、安全で公正な環境の下で、日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを支える活動に参画できる機会を確保できるよう整備を進めることとされています。

また、「スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない」とされています。つまり、障害の有無を問わず、スポーツに関われる環境を用意することは、権利であり、またその役割を担う義務があるということです。

たとえば、障害のある方へ一緒にスポーツを楽しんだり、あるいは、障害のある方がスポーツに何らかの形で参加できるよう声がけしたりといった積極的な働きかけをすることが求められていると言うことができます。

(2) 一緒に同じ競技をする仲間として

 多くのスポーツは、安全面やルール面で配慮すれば、障害の有無に関係なく一緒にできるものですし、それがまさに「障害者スポーツだ」という面もあります。「共に楽しめる」あるいは「教えてもらう」ということも通じて、障害者スポーツというものへの理解を相互に深めることにつながるとも考えられます。

(3) 観客として

 観客として、障害者スポーツに参加するという方法もあります。つまり、障害のある方のアスリート競技などを観戦するということです。純粋に「観て」あるいはその場の「雰囲気を」楽しめるスポーツとして、障害者スポーツは大きく発展していると言えるでしょう。アスリートの姿を見たり、その空気を感じたりすることは、スポーツの醍醐味の一つと言えるでしょう。

(4) スタッフとして

 障害のある方が参加する競技会やトレーニングなどに、スタッフとして参加することも可能でしょう。たとえば、多くの競技会で、ボランティア・スタッフなどを募集しています。

(5) 指導者として

日本障害者スポーツ協会公認指導者は、2018年2月時点で24,707人。もちろん、資格がなければ指導者として問題があるというわけではありませんが、指導にあたっては障害に関する医学的・精神的・社会的な知識を持ち、また、スポーツ指導に関する知識と技能が必要でもあります。

このような実態を踏まえ、お持ちの知識やスキルを活かした障害者スポーツへの参画ということも検討できるでしょう。

参考:
文科省ホームページ
スポーツ基本法
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/08/24/1310250_01.pdf

公益財団法人 日本体育協会 ホームページ
障害者とスポーツ
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/h24_seigo2_25.pdf

公益財団法人 日本障害者スポーツ協会 ホームページ
①各都道府県・指定都市別、ブロック別日本障害者スポーツ協会公認指導者登録者数
http://www.jsad.or.jp/training/pdf/trainer-registrant_180228.pdf

最後に

 障害のある方がスポーツと関わる方法には、やる・観戦される・観戦するという大きくは3つの方法があるでしょう。

障害に対してルール面や安全面で配慮された上で行われる「障害者スポーツ」には、多くの競技が存在していますし、その競技性の高まりから「やるスポーツから観戦されるスポーツ」にまで発展している面があります。 実際にそのスポーツ自体をしなくても、観戦するというスポーツへの参加の方法もありますが、そのためには適切な環境も必要。そのために必要な配慮を求めていくということも、一つのスポーツへの関わり方と言えるでしょう。

また、障害者スポーツは、障害のある方だけのものではありません。複数の視点から関わり方を考えてもいけるのがスポーツの良いところ。障害の有無を問わない社会環境づくりにおいて、スポーツに求められる役割は大きいものがあるとも言えるのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
厚労省ホームページ
障害者スポーツ
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2011/01/01.html

文科省ホームページ
障害者スポーツに関する基礎データ集
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/027/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/06/15/1358884_09.pdf
スポーツ基本法
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/08/24/1310250_01.pdf

公益財団法人 日本体育協会 ホームページ
障害者とスポーツ
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/h24_seigo2_25.pdf

公益財団法人 日本障害者スポーツ協会 ホームページ
障害者スポーツ競技団体協議会
http://www.jsad.or.jp/about/pdf/team_conference_170221.pdf
①各都道府県・指定都市別、ブロック別日本障害者スポーツ協会公認指導者登録者数
http://www.jsad.or.jp/training/pdf/trainer-registrant_180228.pdf

一般社団法人日本ボッチャ協会 ホームページ
ボッチャについて

ボッチャについて

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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