精神障害を引き起こす 頭の支配が強すぎるという捉え方

精神障害

はじめに
 精神障害というものの原因に共通するものはあるのでしょうか? あるいは、その治療について、共通の考え方やとらえ方があるのでしょうか? ここでは、「精神障害は、頭の支配が強すぎた結果、発症する」というとらえ方をご紹介しながら、精神障害とは何か? を見ていきます。

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1. 頭の支配が強すぎる、とは?

「図-精神障害発症の原因=「頭」と「心」のバランスの崩れ?」

頭の支配が強すぎた結果、精神障害を引き起こすというとらえ方があります。人は誰もがさまざまな考えの下に行動をしていますが、その行動を、「頭が強く制御している状況が非常に強く長く続くと精神障害をもたらす」というものです。

(1) 2種類の命令 ~頭の命令と心の命令

「図-自分を命令する2種類の言葉」

このとらえ方の前提は、人が行動をするとき2種類の命令があり、その命令は、「頭がするもの」と「心がするもの」に分けられるというものです。この2つの命令を見分けるコツは、言葉の違いです。

① 頭が命令する言葉

英語で言うと、<Must><Should>、日本語で言うと、<~しなければならない><~すべき>

② 心が命令する言葉

英語で言うと、<Want><Like>、日本語で言うと、<~したい>、<~が好き>

(2) 頭の支配が強すぎたとき、精神障害を引き起こす?

<Must><Should>という言葉は、別の言い方をすると社会ルールに基づく言葉です。たとえば、以下のようなもののことです。

① 人に迷惑をかけてはならない
② 時間は守らなければならない
③ 勉強しなければならない
④ 列に並んで順番を待たなければならない など

ある意味では「当たり前」と感じられるかもしれません。しかし、このような「頭の命令」が強くなりすぎると、精神障害を発症してしまうのではないか? というとらえ方があるのです。

もう少しくわしく言うと、頭と心のアンマッチが溜まりに溜まり、あることをきっかけに、その溜まりに溜まったものがあふれ出てしまって、精神障害を発症してしまうのではないか? ということです。

「みんなが守っているのだから、それを守るのは当然」と考えがち。しかし、上記にあげた①~④でさえ、もしかすると当たり前ではないかもしれません。「人に迷惑をかけてはならない」というときの「人」とは、誰のことでしょう? その方々に「何をしたら迷惑」なのでしょう? そこに基準はないかもしれません。また、「並んで待つ」のは日本では当たり前の部類の考えですが、国が違えばそうではない場合も多いようですし、その時の状況によっても異なる場合があるでしょう。

いずれにしても、このとらえ方のポイントは、<Must><Should>が多くなり過ぎたとき、心や体に何らかの問題や異常が出てくるというとらえ方だということです。

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参考:
「普通がいい」という病、泉谷閑示、講談社現代新書

2. 頭の支配が強いことが本当に精神障害の発症原因になっているか? ~具体的な精神障害の発症とその治療に見る確からしさ

このとらえ方は、本当に確からしいのでしょうか? 具体的な精神障害を取り上げて、その確からしさを見ていきましょう。

(1) 強迫性障害

① 強迫性障害とは?

強迫性障害は、不安障害の一種で、強い「不安」や「こだわり」によって日常生活に支障を及ぼす障害です。汚いのではないかと不安で手が荒れるまでアルコール消毒をするといったものが上げられます。

② 頭の支配が強すぎるとしたときの強迫性障害の見方

「手はきれいにしなければならない」というのは、一見論理的です。とはいえ、どの程度洗ったら「きれいだ」と言えるのでしょう? 

その基準がないとき、あるいはあったとしても、「本当にきれいになったのか?」と不安になっている状態が、強迫性障害を発症している状態です。つまり、「きれいしなければならない」という頭の命令に支配されている状態だということです。そして、そんな頭の命令に対する反発行為として、心や体が、「手が荒れるほどアルコール消毒」という形で「きれいにすることの害」を示していると、とらえることができるということです。

(2) 摂食障害

① 摂食障害とは?

摂食障害とは、体重に対する過度のこだわりがあり、体重や体形が自己評価に過剰な影響を及ぼすという考えにとらわれた結果起きる、食べるという行動に対する障害です。過食や拒食といったものが代表的な症状です。

② 頭の支配が強すぎるとしたときの摂食障害の見方

摂食障害の多くがダイエットに起因すると言われています。「美味しく食べる」「真心のこもった料理」といった心の部分が抜けてしまい、「美しく見えるためには痩せていなければならない」、「必要と言われる栄養素をきちんと取らなければならない」といった頭の命令にとらわれている状態と、とらえることができます。

(3) パニック障害

① パニック障害とは?

パニック障害は、パニック発作・予期不安・広場恐怖の3つの症状が見られる不安障害の1つです。中でも予期せず起きるパニック発作がパニック障害の特徴的な症状です。

② パニック発作とは?

「パニック発作」は、突然の激しい動悸・胸苦しさ・息苦しさ・めまいなどの身体症状を伴った強い不安症状です。「心臓発作ではないか」「死んでしまうのではないか」と感じられるほどの強い発作ですが、仮に救急車で病院へ運ばれたとしても、その症状は病院に着いたころにはほとんどおさまっており、検査などでも特に異常は見られません。

③ 頭の支配が強すぎるとしたときのパニック障害の見方

「こうしなければならない」という頭の支配が中心になっている結果、「本当に、今、自分がやりたいこと」が後まわしになっている状態ととらえることができます。つまり、パニック発作は、死の疑似体験を通じて、本当にやりたいことに向かわせようとする心や体の声だと、とらえることができるということです。

(4) 睡眠障害とは?

① 睡眠障害とは?

不眠症や昼間眠くてしかたないという状態など、睡眠に何らかの問題がある状態を睡眠障害と言います。

② 頭の支配が強すぎるとしたときの睡眠障害の見方

どうしても眠りたいという心や体の声ではなく、夜は眠らなければならない、何時間寝なければ体に悪いというような頭の声にとらわれている状態と、とらえることができます。「眠るべき」という頭の支配が、心や体の反応としての不眠という反発の形で現れたり、「眠るべきではない」という頭の支配が、昼間眠くなるという心や体の反発という形で症状に現れたりしているということです。

そこに眠れないなら眠らなければよいというような考えは入ってきません。また、「眠れない」ことが頭の中心になっている結果、今日一日を充実したものにしようとか、生ききったという心の感覚を持とうといったことが後回しにされていると、とらえられるということです。

以上のように、個別の精神障害について見てみると、「どうも頭の支配が強すぎることが、各精神障害を引き起こす原因となっている」と、とらえることは合理的な面があるようです。

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参考:
厚労省 
みんなのメンタルヘルス ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease.html
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/
e-ヘルスネット ホームページ
強迫性障害 / 強迫神経症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-014.html
摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-005.html
不安障害
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-055.html
不眠症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=22
塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=43
日本不安症学会
http://jpsad.jp/about_jpsad.php

3. 頭の支配が強すぎる、ととらえたときの、精神障害の治療の共通点

「図-障害治療のアプローチの共通点・可能性」

頭の支配が強すぎるために精神障害を発症したとした場合、その治療はどのようなものになると考えられるでしょうか? もちろん、薬物療法は一つの方法です。一方で、薬物療法だけで問題が解決するわけでもなさそうです。

(1) 共通して言える2つの治療のアプローチ

 各精神障害の治療アプローチとしては、薬物療法以外にも以下の2つの共通点がありそうです。

① 「頭の支配を弱め、心や体の支配を強める」というアプローチ

一つ目は、「頭の支配を弱め、心や体の支配を強める」ということになるでしょう。つまり、<Want><Like>を優先するというものです。

② 具体的な基準を決めるというアプローチ

もう一つは、頭による「こうしなければならない」という命令に従っているという状況を逆手にとるアプローチです。たとえば、「それはこれだけやれば十分」という基準を作ってあげるといった方法が考えられます。

(2) これまでに上げた各精神障害の具体的な治療のアプローチとして考えられること

① 強迫性障害

たとえば、自分の手がきれいでなければならないということにとらわれているのであれば、「手の具体的な洗い方を決めるとともに、その洗い方が理にかなっていることを説明する」という方法が考えられるでしょう。また、 本当に好きなこと、やりたいことと比較し、どちらをやりたいのか考えてもらうというような方法もあるかもしれません。

② 摂食障害

食事を栄養としてとらえるのではなく、食事を通した心の通い合いを想像することが一つのアプローチになると言えそうです。たとえば、食事を作られた方がその料理を作った理由などを想像する、あるいは、実際にその理由を話すといったような方法です。

「今日は寒かったから、温まるものがいいと思った」ということだったり、「記念日だから、思い出のあるものを作った」というようなこと、「この具材を作るのに、これだけの手間がかかるのだよ」といったような、気持ちや背景がわかるようなものを共有するというようなアプローチです。

③ パニック障害

「本当に、今、自分がやりたいことは何か?」「それができているか?」「それをできるようにするにはどうしたら良いか?」を考えるというアプローチが考えられます。その上で、それができるように実際に環境を変えたり、やりたいと思っていることを実際にやる時間を作ったりするなど、具体的な行動をするということです。

④ 睡眠障害

不眠症の場合であれば、眠れなければ眠らなければ良いという考えを持つことが一つ重要でしょう。「眠れない」と焦るより、眠れない時間を何に使うかということです。それがたとえゲームでも音楽でも、眠れない時間を好きなことに使うことで、自分らしい時間を過ごす感覚を呼び起こすことだということでもあります。

「やりたいことがない」ということが出てくることもあるでしょう。その場合は、やりたいことを探すことから始まると言えるかもしれません。

4. ある意味で、ものすごく努力をしていることを認めつつ・・・

このように見てくると、精神障害を発症するのは、社会やルールに対して非常に真摯であり、一所懸命であると言うこともできるでしょう。また、それを徹底してやろうとするという意志も持たれていて、さらに言えば、一所懸命であるがために、自己犠牲も惜しまない面もあるということではないでしょうか。

ただ、それが強すぎることは、あまり自然なこととは言えそうもありません。

(1) 人が生まれてくるとき

人が生まれてくるとき、つまり、生まれたばかりの赤ん坊の場合、<Must><Should>というようなものは、ほとんど持ち合わせていないでしょう。つまり、<Must>や<Should>は、成長の過程で、社会を生きるために必要なこととして学ぶもの、で、<Want>や<Like>が人の根本だということです。

心の支配が人間の本質だと言い換えることもできます。つまり、障害のある方に限らず、自分が本当に好きなこと、したいことは何かを見つめることは非常に重要だということです。

(2) 歴史上の大家も指摘する、頭の命令の限界

このことは、ゲーテ、パスカルなども指摘しています。

① 「理性という名をつけて使うが、それはただ、どの獣よりもっと獣らしい獣になろうとするためなのだ」(ファウスト、ゲーテ)
② 「理性を超えるものが無限にある、それを知るところまで行かなければ、理性は弱いものでしかない」(パンセ、パスカル)

共に「理性」という言葉を用いてはいますが、要は頭の支配には限界があり、頭の支配に頼りきることには問題があるとしています。つまり、頭の命令ではなく、心の命令に耳を傾け続けること、そして、むしろ心の命令である<Want>や<Like>がより重要だということでしょう。頭の命令が支配を強め過ぎたとき、精神障害を発症するというとらえ方は、的を射たものではないかと考えられるということです。

精神障害のある方が、日常生活でトラブルが起きた時の賠償責任、弁護士費用、ケガを補償↓↓↓

参考:
「普通がいい」という病、泉谷閑示、講談社現代新書

厚労省 
みんなのメンタルヘルス ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease.html
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/

最後に

今を生きる人々は、社会情勢もあり、多くのルールに縛られた生活を送っている面があります。その意味で、本当に好きなことややりたいことをやれないという部分も多いのではないでしょうか。そんな時代だからこそ、自分の本当に好きなことは何か? やりたいことは何かを常に自分に問うことが、豊かな人生を送る上でも、障害と向き合う上でも重要なことだと言えるのかもしれません。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。ご参考までご確認ください。

参考:
厚労省 
みんなのメンタルヘルス ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease.html
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/
e-ヘルスネット ホームページ
強迫性障害 / 強迫神経症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-014.html
摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-005.html
不安障害
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-055.html
不眠症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html

公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=22
塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=43

日本不安症学会
http://jpsad.jp/about_jpsad.php

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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