「おひとりさま」高齢者向け生活支援サービス 身元保証について考える
はじめに
頼れる人がいない高齢者が、市場サービスを購入(言うなれば自助)することで、いつまでも自宅で自立した生活を続けることができるかを考えるシリーズ第3弾。第1回は「日常生活」(https://jlsa-net.jp/kn/nk-seien-ntizyo/)を、
第2回は「トラブル時」(https://jlsa-net.jp/kn/nk-seien-trable/)を取り上げ、それぞれの場面で有用な『生活支援サービス』をご紹介してきました。
今回は「身元保証」について考えます。昨今、賃貸住宅の入居、医療機関への入院、介護保険施設などへの入所、就労・就職といった日常生活の様々な局面で、身元保証人を立てる慣行が定着しています。
しかしながら、身元保証人を求められても引き受けてくれる人がいない方は、『身元保証代行サービス』に頼ることになります。
今回は、この「身元保証」について詳しくみていきます。
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1.身元保証人とは
身柄を引き受ける責任を有する人を指す「身元引受人」、債務者が金銭を返済しない場合に債務者に代わって借金を返済することを約束した人を指す「保証人」、それぞれの役割を担う人を「身元保証人」として使われているケースが多く見られます。
2.高齢者が身元保証人を求められる主な場面
山梨大学大学院山縣教授らによる全国の医療機関約1,400施設を対象に行った調査(*1)によると、65.0%の医療機関が「入院時に身元保証人等を求めている」と回答しています。
(参考)
*1 山縣 然太朗研究代表「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」(2018年)P38
https://www.mhlw.go.jp/content/000734017.pdf
全国有料老人ホーム協会の調査(*2)によると、介護付き有料老人ホームの89.2%、住宅型老人ホームの82.2%、サービス付き高齢者向け住宅の88.1%が「身元引受人を必要とする」と回答しています。
身元引受人を立てられない場合の代替手段の有無についても尋ねています。
「代替手段がある」と回答した割合は介護付ホームで51.4%ですが、住宅型ホームやサービス付き高齢者向け住宅では半数以上が「なし」と回答しています。
(参考)
*2 公益社団法人全国有料老人ホーム協会「平成25年度 有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅に関する実態調査研究事業報告書」(平成26年3月)
https://www.yurokyo.or.jp/kakodata/investigate/pdf/report_h25_01_02.pdf
3.サービス提供事業者
内閣府の報告書(*3)によると、公的部門においては市区町村社会福祉協議会が独自の事業として病院・福祉施設等への入院・入所の手続の支援及び入院費・施設利用料の保証、死亡時の葬儀・埋葬の手続の支援等のサービスを提供している事例が確認されています。
民間部門については網羅的な調査・把握はされていませんが、株式会社、一般法人、公益法人、NPO 法人、弁護士・司法書士・行政書士等の専門職、宗教団体等多様な主体が存在しており、事業者数は数十~100 社程度に上るとみられます。
(参考)
*3 内閣府 消費者委員会「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての調査報告」(平成29年1月)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2017/doc/20170131_kengi_houkoku1.pdf
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4.身元保証人の役割
主な役割は、以下のとおり多岐に渡っています。
①滞納家賃や未払いの入院費などの返済、施設側に与えた損害被害の賠償(債務保証)
②手術への立ち会いや輸血・延命処置などの同意(医療同意)
③退院時の身柄の引き取りや認知症等で自立して生活ができない場合の生活支援(扶養)
④本人が亡くなった場合の遺体・遺品の引き取り、埋葬、相続手続きなど一連の対応(死後対応)
住宅の賃借の際には債務保証、扶養、死後対応を求められ、入院の際は債務保証から死後対応まですべての役割が求められます。
経済的、身体的、精神的な負担が複雑に絡み合い、その責務は相乗的に重くなるとみられます。(*4)
(参考・引用)
*4 日本総研「超高齢社会における身元保証の現状と課題」(2020年4月)
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/11649.pdf
5.事業内容
身元保証人の役割は多岐に渡っていることなどから、多くの事業者は身元保証サービスに「日常生活支援サービス」と「死後事務サービス」をパッケージにしています。(*3)
一部の事業者では、認知症などで判断能力が著しく低下した場合に備えた「任意後見契約」を事前に結ぶことを求めています。
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6.まとめ
身元保証サービスには法律、行政手続、金融、不動産、生活支援、葬儀、供養、埋葬、遺品整理など、多くの事業者が関わります。
実質的なサービス提供主体が契約法人とは異なる場合もあるため、契約する前に各サービスの提供元に関する情報を確認しておくとよいでしょう。
任意後見契約の締結を求められた場合は、細心の注意を払う必要があります。
後見人は原則として身元保証人になれません。
身元保証会社の息が掛かった後見人が選任されると利益相反が起こり、立場が弱い高齢者が不利益を被る恐れがあります。
サービスの仕組みは複雑なため、契約内容を正しく理解するのは困難です。
身元保証会社と利害関係のない専門職(弁護士など)に書面を確認してもらい、注意すべき点について指摘を受けてから契約するとよいでしょう。
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