都市型農業にチャレンジする「青葉ファームランド」の挑戦3
都市型農業にチャレンジする「青葉ファームランド」の挑戦シリーズの第3部をお知らせします。
第1部は、都市型農業にチャレンジする就労継続支援B型施設「青葉ファームランド」様の設立のキッカケや苦労話、そして働く環境の工夫などについてお聞きしました。
第2部では、なぜ、シイタケ栽培を選ばれたのか? についてお聞きしました。
そして、第3部では、どのようにしてシイタケ栽培がされているのか、大手企業がなぜシイタケ栽培に参入しづらいのかなど、その現場をレポートしました。
第3部 シイタケ栽培の現場をレポ―ト!
1.シイタケの販売に向けた工夫
加藤
実は、はじめにきになっていたのが、パッケージです。
袋が開いているのには、何か訳があるのでしょうか?
三堀:
実は、シイタケは、もともと水分が多いのです。
だから、すぐ、水滴が出てしまいます。
鮮度を落さないためにも、口を開いてます。
これは、うちの特徴です。
加藤:
お店で、青葉ファームランドさんのシイタケを見たとき、なんで、口が開いてるのか、不思議におもっておりまして。誰か、持ってちゃうんじゃないかなと心配しておりました(笑)。
三堀:
実は、通常、お店に置いてあるシイタケは、ボードンという形の袋に入れて閉じます。
ですが、1日経つと穴が空いてはいますが、結露と言いますか水滴が出て、味が落ちてしまいます。なので、思い切って、このような形にしました。
横山:
鉄(くろがね)シイタケですね。
三堀:
はい(笑)。
横山:
この袋に、どれぐらい入るんですかシイタケが。
三堀:
これに大体、150g。
2.シイタケ栽培の現場へ
加藤
ここで栽培しているんですね。
三堀:
そうですね。
シイタケは、今、菌床栽培が主流です。昔は原木で行っていましたが、今は菌床の、このブロックで栽培します。
1回目の収穫が終わるとまた水につけます。
そして、また棚に並べるとシイタケが再び収穫することができます。
最初の菌床のブロックというのは栄養体がたくさん入っているので、どなたがやってもシイタケが出るんですよ。ただ、2回目から我々のやり方1つで、収穫高が変わってきます。
横山:
技術だね。
三堀:
変わってくるので、それが1個なのか5個になるか、ここは我々の技術です。
加藤:
味は、変わるのでしょうか?
三堀:
はい、2回目の方が美味しいです。
味が凝縮されます。
横山:
出てくる数が少ないから、2回目のほうが美味しいわけだ。
三堀:
少ないから、そこにうまみが出て、美味しくなるということです。
ですから焼くと、味の違いに驚きますよ(笑)。
横山:
原木と菌床だと、どこか違うんですか。
三堀:
原木のほうが、やっぱり香りがいいです。
1年ないし、2年間の熟成期間がありますからね(笑)。
もう、今、95%がこの菌床栽培です。
通年行えるっていうのが強みですね。
加藤:
温度管理の状態によって、収穫までの時期がことなるのでしょうか?
三堀:
はい。温度を下げれば生育は遅くなります。暑くなれば、早く生育します。
横山:
これは、いくらで売られていますか?
三堀:
今、冬のシーズンですから250円です。
横山:
夏と冬とでは、値段が違うの?
三堀:
はい。鍋シーズンは9月から始まります。シイタケは、大体、秋から冬が良く売れます。大体、9月から3月までは鍋を頻繁にやりますので。そのときが、一番出ます。
横山:
じゃあ、今はシーズン?
三堀:
はい。
横山:
だから、値段も高い。
三堀:
値段も上げてます(笑)。
ですから、4月以降になると、需要が落ちてくるので。そこは、やっぱり、ちょっと値段を下げて、量を売って回収していくモデルになります。
加藤:
菌床が運ばれてから商品化になるところまでの流れを教えて頂けますか?
これがキノコの赤ちゃんですか?
三堀:
こちらが、ちょうど1月の5日ですね。
今日が3日で。これ、あと2日すれば出荷できる形になります。
加藤:
2日でこんな小っちゃいのが大きくなるのですね。
三堀:
はい。今、間引きをしている状態で。
加藤:
これは、何か製品化できないんですか。
三堀:
この間引いた小さいものは「100本のスプーン」さん(あざみ野ガーデンズに入っているレストラン)が、スープにしたりとか、パスタに入れたりとかやってます。
加藤:
これはこれで、やっぱうまみがあるのでしょうか?
三堀:
はい、美味しいですよ(笑)。
それから、今回の新しく仕入れた菌床は、うまみや匂いも各段に良くなりました。
菌床はどうしても、原木で育てものと匂いに差がでます。
ですが、今回は、かなり良くなりました。
三堀:
この列5棚までが新しい菌床を毎週2回入れていきます。
今、400床。この400個を週に2回。ですから、週800床を入れていって生産していきます。
1日に採れる量が、大体、今40㎏から50㎏程です。
先ほどの袋で換算しますと300袋、毎日つくってる状態ですね。
加藤:
ちなみに、菌床を作ることはやらないのでしょうか?
三堀:
やろうと思えばできるんですけどね(苦笑)。
ただ、菌床の施設をつくるとなると、どうしてもお金がかかってしまいます。
現在の生産量ですと、菌床を作って頂き、仕入れる方が利益は出ます(笑)。
ただ、現在、小田原で菌床を作っている方も後継者不足で悩んでいます。
将来的には、障害者の方の施設外就労という形で貢献できないかを考えています。
加藤:
これ、1つの棚で400床。
三堀:
こちらの菌床に関しては、420床ですね。こちらが、315床ですね。
加藤:
全部で、いくつ入るんですか。これ。
三堀:
全部入れると、6000床。
加藤
400床位あると何kg採れるのでしょうか?
三堀:
500㎏ぐらいは採れますね。
加藤:
すごいな。
三堀:
新しいのもあって。こちらが、先ほどの2回目ですけれども。
加藤:
これが、2回目の収穫をしていく棚ですね。
三堀:
はい、そうです。
そして、2回目の収穫を終えたら、廃菌床として、畑でまた循環させています。
この中には、先ほども言ったように、栄養体がいっぱい入っています。
米ぬか、ふすま粉、コーンのかす。いろんな栄養体が入っています。
また、この廃菌床は、燃料にできないかも考えています。
基本的に、これは「おがくず」ですから。暖炉にもなるかな?とも考えています。
加藤:
アイデアが広がりますね~(笑)。
それから、こちらが温度管理している装置ですね。
シイタケの生育には、何℃位が良いのでしょうか?
三堀
シイタケは、15℃から大体22℃です。
一番良い生育の温度は20℃ぐらいです。
ですから、エアコンで冷暖房を管理しています。
加藤:
結構、燃料代ってかかりませんか。
三堀:
うちは、灯油を使ってないので暖房代はそんなにかかりません。電気代だけです。
今後は、ソーラーの導入も検討したい思います。
水が必要なら、井戸を掘るとか。
そういった形でやっていけば、またそういう燃料代もかからずに済むのかなと(笑)。
横山:
これ、不思議なのはしっかり出ているものと出てないとあるんですね。何が、違うんだろう。
三堀:
よく気づかれましたね(笑)。
実は、どうしても上が暖かいので、上3段は出てるんですよ。
ただ、下はどうしても。
しゃがんでもらうとわかると思いますが、ちょっと、寒いんですよ。
これは、もう、エアコンを入れても、どうしても解消できません。
ですから、手間になりますが、入れ替えながら成長を促進させています。
3.シイタケ栽培は、大手企業との競合にならない理由
加藤
実は、先日、埼玉の施設にお邪魔した際、シイタケを作られている施設がありました。この分野に大手企業が参入してくるリスクは想定されていますか?
三堀:
実は、シイタケは、基本全部手作業なんですよ。
シメジやエノキは、大量に作って、機械で全部切って収穫できます。
しかし、シイタケはそれができない。
大手企業がシイタケに参入できないのはそこが理由なんです。
人間の手でやるので、その分、どうしても人件費がかかってしまう。
加藤:
大手企業が出て来ない理由が、わかりました(笑)。
三堀:
ですから、我々のような中小がやるのが一番良い(笑)。
もちろん岩手とか長野とかのようなキノコ王国には敵いませんが、うちのような都市農業では、すぐに収穫したものが、その次の日、いや、その日にも出せるという強みがあります。
第3部は、ここまでとなります。
三堀代表のシイタケ栽培にかける熱意をヒシヒシと感じた現場視察でした(笑)。
第4部は、乾燥野菜づくりの現場をレポート&編集後記となります。
バックナンバー
第1部 都市型農業にチャレンジする就労継続支援B型施設「青葉ファームランド」様の設立のキッカケ
第2部 なぜ、シイタケ栽培の事業を選択したのか?
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