都市型農業にチャレンジする「青葉ファームランド」の挑戦2

障害者就労

都市型農業にチャレンジする「青葉ファームランド」の挑戦シリーズの第2部をお知らせします。

第1部は、都市型農業にチャレンジする就労継続支援B型施設「青葉ファームランド」様の設立のキッカケや苦労話、そして働く環境の工夫などについてお聞きしました。第2部では、なぜ、シイタケ栽培という事業を選ばれたのか? についてお聞きしました。

第2部 

1.なぜ、そもそもシイタケ? そして、販路開拓は?

加藤
そもそも、三堀さんは、なぜ、障害就労施設を運営する事業として、シイタケを選択されたのでしょうか?

三堀
こういった障害者施設で、どういうものをつくればいいのか?を悩んでおりました。そんな時、栃木の福祉就労施設で、シイタケ栽培をしているところへ1泊2日で研修がありまして(笑)。

見学している中で、元々青葉区にないものをやろうとしていたので、このシイタケ栽培は、ピッタリだと思いました。

次に、販路ですが、最初は、飲食店にアプローチしておりました。当然ですが、飲食店も、利益を追求します。ただ、お店ごとに色々な要求にお応えする際に、ご迷惑をおかけした部分がありました。

今は、うちに近い農協さんで「ハマっ子」を通じて、近隣地域の5店舗で商品を出し、かつ、13店舗まで出せるようにしております。

現在は、農協さんに出し、農協に出しきれない部分を他の所に協力していただくという形にしています。要は、地域に根差した取組みなので、やはり、その地域の方のニーズに合ったものを出荷するようにしております。

最初は「東京に行ってやろう!」とか、考えることもありました。やっぱり、男ですし(笑)。
でも、それが大きな間違いだっていうのは、一つ一つ仕事を丁寧にやっていくと気付きます。まずは、地域なんです。

地域で認識してもらって、「美味しいね」って言われて広がっていくことが重要だと。この地域の青葉区だけでも31万人もの住民がいます。十分、勝機はあるのかなと思っております。

なので、基本的に今、農協さんもそうなんですが、場所を貸していただいて、そこで売るというスタイルにしています。我々が値付けして、お客様に買っていただくというスタイルです。

その方がやりがいと言いますか、良いものを作れば、お客様もそれに答えて頂けることがとても嬉しいです。昔みたいに農協さんに「いくら」という単なる値段交渉ではなく、我々一人一人で値段が決められるというところが魅力です。

横山:
出したものは、完売します?

三堀:
今、はい。おかげさまで。
ようやく、なんとか(笑)。

横山:
素晴らしいですね~。

加藤:
ちなみに、あざみ野マルシェ(あざみ野ガーデンズという商業施設の中にある高級スーパー「ファームドゥさん」の名称)で、青葉ファームランドさんのシイタケを拝見しました(笑)。


あれは、どうやって開拓されたんですか。

三堀:
色々と支援して頂ける方がいまして(笑)。

加藤
さすがですね~(笑)。

農福連携を考えている皆さんにメッセージを

三堀
今の時代、福祉より高齢者、子どもというところに国等の施策に重きが置かれています。
ですから、私は今年(2019年)、役所の方や地域の方に認知して頂ける取組を行っていきたいと思っています。

今でこそ、区役所から連絡が来るようになりましたが、働く場がなく、困っている障害者の方はたくさんいます。うちの施設に定年はありません。農業に定年はないと考えています。現在、68歳の方も毎日頑張って来ていただいております。

色んなものを抱えて働きたいと思ってもなかなか働く場所がないというお話を多く聴きます。うちの活動をもっとオープンにして活動を広げたいと思います。

区役所も、うちみたいな事業所が少ないということは、認識してもらいつつあります。

加藤:
次に、事業が進んでいくと、また違う苦労話があるかと思うのですが、いかがでしょうか?

三堀:
苦労といいますか、先ほど、少しお話をしましたが、ここに事務所が作れないので、市が尾駅の近くに事業所を設けています。しかし、時間的にも、金銭的にも無駄な部分があります。

現在、すぐそこにある鉄小学校の空き教室を借りられないかという相談を、先日、横山先生にお願いしました(笑)。

横山:
目的が福祉支援なので、非常にハードルが高いことは確かです。元々、学校は教育のためにつくってる施設ですから。ただ、鉄小学校っていうのは学区を廃止して「横浜市内、どこからでも来ていいですよ」という形にしております。

そこで、農業が体験できるというのもありかと思っています。
この鉄小学校は、元々、特色を持った小学校で、大きな学校でトラブルが起きた子どもだとか、大きな学級ではなじめない子どもが来ています。もちろん地域の子どもたちもいっぱい来てます。なので、そういう可能性がないとは限らないですね。できるかもしれない。

加藤:
それ、できると面白いですね。

三堀:
そうですね。そういう連携が、市と出来れば良いと思っております。
我々の事業を、もう少し認識して頂きたいです。決して悪い事業ではありません。地域の方にも認識して頂きたいです。障害者の方に対し、古いイメージを引きずり、ちょっと怖いというイメージがあったりします。こういった取組を通じて、ご理解を頂く良いチャンスになると思っております。

昔、鉄小学校に通っていたとき、農業を主体に田植えをした記憶があります。そういうお手伝いをしながら、障害者の方たちが一生懸命働いてる姿を見せれば、またこの次の社会に出たときにその子たちが何かを考えて接してくれるのかなという思いはあります。

2.青葉ファームランドさんが施設運営の際に大事にしている考え方を教えてください。

加藤
青葉ファームランドさんが施設運営の際に大事にしている考え方を教えて頂けますか?

三堀
私がここでいつも言ってる言葉が、「役割をこちらが決め、ああだ、こうだ言わないよ」と。
自分たちで決めて、自分たちで創意工夫をしてやる。
そのお手伝いをするのが、我々だというように運営しております。

うちは、就労支援事業所です。つまり、彼らを育てるところです。
全部が全部はなかなか難しいですけれど、次の社会に持って行ってあげることは、とても重要なお仕事だと思っています。心の病気も治って次の社会に出られるようにしてあげたい。

ですから、うちは農業の中で、皆さんを支援する。利用者の方には、ここでの全部の仕事がマスターできたときには、「もう、卒検だよ」、つまり最後の刈り取りを意味しています。

技術はもちろん、人間形成はできてるか、人への気づかいはどうか。ただ、最後の刈り取りとなる仕事は大変です(笑)。

シイタケの栽培を通して学べることですが、シイタケって見ての通り1個1個サイズが違います。たとえば、良いサイズでもサイズが違うので、これを刈り取っていいのかなっていうタイミングがあります。

それができたら、今度は、人間形成はできてるのか。
私自身も、この事業を通じて、これから経験していくのかなと思っております。

先程、そこを通った方は、脳梗塞を患った方です。
体を動かすことがとても大変で、とくに右手が全然動きません。
でも、本人は仕事がしたいということで、最初はとある施設でシールを貼る作業をしていたそうです。

ただ、一般的な施設での仕事は、手作業の多い内職仕事が主流のようです。そんな中、「自分は、農業をやりたい」っていうことで、定年を迎え、こちらに来ていただきました。

うちは、何歳でも働けるのであれば受け入れます。
自ら進んで仕事をして頂けるので、うちも助かります。

シール1枚貼るのも、1人でやると大変なんですけど。
空き時間を見つけて、シール貼りもしてくれる。本当に助かります。

3.工賃アップに向けての考え方

加藤:
ちなみに、下世話なこと聞きします。青葉ファームランドさんの工賃って、大体皆さんどのくらいなのでしょうか。

三堀:
今、1時間200円程度です。
ただ、これは利用者の方にも言っているのですが、「この金額が限界ではないよ。終わりではないよ」と伝えています。

「我々の努力と、皆さんの頑張りで(工賃を)上げていくことをやっていこう」と話しています。今、国も工賃向上について色々と施策を打っています。その中でも6次化は重要です。

乾燥野菜をやりながら、工賃を上げていくことを考えています。
ただ、こういった取組の中で、福祉で食い物にしている方がいるという現実があります。

これは、自分にも言い聞かせいますが、事業の基本は「Win-Win」の関係です。
対等という気持ちで事業を行うことが重要です。
自分たちだけ潤うようなことをしては駄目だということです。

B型施設だと、月の最低賃金3,000円以上っていうところがあります。
だけど、それ以上に、500円でも600円でも出せるようにしてあげるのが重要です。
そうすると、彼らの仕事に取り組む姿勢も変わってきます。

やっぱり、「働いてるんだ」っていうところを彼らはたぶん望んでると思います。

加藤:
そうですね。

三堀:
働いて、任されてるんだっていうという感覚。
「自分のプラスの対価として、お金を頂いているんだ」っていうところに持って行ってあげれば、彼らも一生懸命頑張るのかなと思います。

第2部は、ここまでとなります。
第3部では、シイタケ栽培の現場レポート致しました。
第3部は、こちらから。

バックナンバー
第1部 都市型農業にチャレンジする就労継続支援B型施設「青葉ファームランド」様の設立のキッカケ

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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