アートの力で福祉を変える! 工房集の挑戦(第3部)

インタビュー記事

はじめに
前回に引き続き、埼玉方式 アートの力で福祉を変える! 工房集の挑戦の第3部をお知らせします。
インタビュー記事の最後となる第3部は、工房集様のこれから目指すところ、そして、私がアートの現場を見て感じたことをお伝えします。

今回の記事の目次は、下記の通りです。
第3部 工房集様のこれから目指すところと、アートの現場を見て感じたこと
13.アートの活動での収入は?
14.民間企業へのアピールポイント 「作品を表紙やキャンペーングッズなどで使ってください!」
15.埼玉方式の障害者アート支援 みぬま福祉会は、「自分たちが良ければいい」って考え方がない法人!
16.障害者の芸術活動支援モデル アートセンター集を設立
17.障害者アート普及に欠かせないのが、人材育成!
18.埼玉方式を世に広める!
19.宮本さんから、みなさんにメッセージ
20.ギャラリーにお邪魔してビックリ ニューヨークの個展で1枚100万円以上の絵が1週間以内で完売!
編集後記

今回のインタビュアー:
全国地域生活支援機構(JLSA)
広報委員   加藤雅士
業務拡大委員 園部博正

工房集のご担当者様:
工房集 管理者  宮本恵美様

第3部

13.アートの活動での収入は?

宮本:
お蔭さまで上がってます。
こういうグッズ集もつくったりしております。

加藤:
この活動から得られた収益は、どのように使われるのでしょうか?

宮本:
仕事して位置付けているので、給料としてお支払いしています。基本給は一律に、それから経験給がプラスされます。
それと、アートの取組みが始まってからは著作権で入ってきた収益もお支払いしています。

加藤:
アートですから、とくに著作権は大事ですよね。

宮本:
ちなみに、施設なんで、もちろん運営のほうには収入は入りません。

宮本:
でも、アートって難しいです。なかなかお金にしていくことは容易ではありません。

加藤:
そうですよね。

14.民間企業へのアピールポイント 「作品を表紙やキャンペーングッズなどで使ってください!」

加藤:
次に、民間企業さんとコラボする際ですが、さっきのBEAMSさんじゃないですが、
「我々は、こういう感じで、いろんなことできるよと、企業様にアピールできるポイントは何でしょうか?」

宮本:
やっぱりいろいろな作品を見て頂き、使っていただきたいです。
表紙などに使っていただけると、いいなと思ったりしております。

加藤:
ちなみに、売れ筋というか、「これをアピールしたい」みたいなものはありますか。

宮本:
企業がPRする際、こちらの作品を使って、「うちわをつくったりとか、キャンペーングッズをつくったり」することも可能です。
プレゼント用として、変わった形で作られたり、広報紙に使ってくださるなどもありがたいです。

加藤:
なるほど。

宮本:
ただ、企業の方は、なかなか我々のことを知らないと思います。

加藤:
確かに。プラスして、企業側も、どういうふうにこれらの作品を自社の事業活動に使っていけばいいか思いつかないケースがほとんどだと思います。というより、そもそも施設の方とコラボするという発想がそもそもないと思います。

僕も民間企業にずっといますけど、「皆さん、あまり売り込みにも来ない」ですから(笑)。
そもそも、存在を知ることができる機会がありません。

宮本:
そうですね。

現在、こういった作品などを表紙とかに使っていただくことで、著作権使用料という形のビジネスができはじめております。

園部:
なるほど。

宮本:
これだけのデザイン力があって、“使える”、ということがとても魅力的だと思います。

宮本:
あとは、名刺なども良いと思います。最近では、株主総会のときのお土産に使っていただいたケースもあります。色々な展開が出来ると思いますので、ご相談いただければと思います。

15.埼玉方式の障害者アート支援 みぬま福祉会は、「自分たちが良ければいい」って考え方がない法人!

加藤:
次に、埼玉方式の障害者アート支援ことについてお話しを頂けないでしょうか?

宮本:
そうですね。先程、みぬま福祉会の生い立ちから、今までの活動をお話してきました。
その中で、いろんなご相談を受けてきました。

工房集みたいなところが、もっと私たちの地域にあればいいのにというご相談も受けます。
だから、私としては、工房集みたいなところが、もっと増えればいいな、と思ったりしてるところもあります。

あとは、色々な施設様では、なかなか通常の仕事に合わない人が出てきていると思います。
そういう場合、どのようにその人たちに、どう接すればいいかわからないこともあるかと思います。

通常のお仕事はしないけれども、絵とかは楽しそうに描いてる人がいるとか。
そういうことで、各施設様でも、悩んでる職員さんたちはいると思います。

うちみたいに、法人全体で、そういった意識になってくれば変わってくるのでしょうが、
どこの施設様でも、やっぱり私が当時味わったような、孤軍奮闘してる状態の方もたくさんいらっしゃると思います。

ただ、みぬま福祉会っていうのは、「自分たちが良ければいい」って考え方がない法人です。

だから、どんな人とも手つなぐっていうことを考えてるところがあります。
工房集だけがよければいいとか、自分、うちの仲間たちが幸せであればいい、ということじゃないということです。
常に理事長も言っておりますが、「ここで培ったそういったノウハウは、もう惜しげもなく」っていうことを常に言います。

加藤:
素晴らしい。じゃあ、いつでも、見学会に来られてもウェルカムということですか?(笑)。

16.障害者の芸術活動支援モデル アートセンター集を設立

宮本:
そうですね。
まずは埼玉でしっかり広げていこうと思い、埼玉の中で色々なつながりをつくって、ネットワークを広げています。
今、20以上の施設様とつながっています。

工房集だけの企画じゃない中で、「アートセンター集」というのを立ち上げました。
※2016年、厚生労働省「障害者の芸術活動支援モデル事業」の助成を受けて障害のある人、その支援者の課題の解決、また情報交換やネットワークづくりの場として「アートセンター集」を設立されました。

みぬまがやってきたことなど含め、そこで相談を受けたりなど、色々なところとつながりを広げています。

埼玉県としても、8年ぐらい前から、障害のある人たちの表現、アート活動を支援してこう!という動きをしています。
埼玉としても、埼玉でやってることをもっと広めたいと思っています。

17.障害者アート普及に欠かせないのが、人材育成!

宮本:
あと、こういった取組みで重要なのが人材です。
障害のある人たちのアートをもっと普及していくためには、すそ野を広げていこうという考え方が重要ですし、埼玉県には、その考えがあります。そのため、普及に関わる人材、職員たちの人材育成が、一番大事だと思います。

加藤:
そうですね。

宮本:
いくら芸術家が一杯いるとしても、実際に関わってる現場の職員たちの意識がなければ、彼らの潜在的能力を発掘できませんし、引き出されません。そういう取組みを頑張っているのが埼玉県です。そういうことを含めて、「埼玉方式」って言っております。

18.埼玉方式を世に広める!

加藤:
なるほど。そういうことですね。
ここの部分がきちっとしてないと、障害者の方もうまく能力を引き出せないことがあるだろうなと思います。

では、今、埼玉方式を世に広めるいうのが、重要な取り組みということですね。
宮本さんとしては、「今後、今の埼玉方式を世に広めたい」という思いでしょうか。

宮本:
広めたい、そうですね。
今、2020年の東京オリパラに向けて、障害のある方たちのアートにすごく機運が高まっているのをご存知ですか?

加藤:
そうなんですか。それは知らなかったです。

宮本:
今は、結局この機運の高まりで盛り上がっているようなものです。
重要なのは、「盛り上がってるから、ちょっとやってみよう」みたいなところもどんどん増えてくる危険性です。

結局ブームが去ったら、被害をうけるのは彼らです。だから、やっぱり足もとをしっかり整えたいと思います。

加藤:
しっかり固めないとですね。

19.宮本さんから、みなさんにメッセージ

加藤:
最後に障害のある方、ご家族とか、支援者の方へ、メッセージを頂けますでしょうか?

宮本:
皆さんには、素晴らしい可能性があります。
周りは、いろんな意味で考えさせられます。

そして、周りの人たちも豊かになることも可能です。
施設長もよく言います。彼らのおかげで「自分が豊かになった」と。

自分をはじめ、ほんとにわからないとばかりでした。
でも、人って、いろんな人を幸せにしてるのではないかと思います。

災害とか、いろんな意味では弱者であったりするけれど、本当に強い。
強いっていうか、教えられることがたくさんある人たちです。すごくアートの力というか、大きいものを感じます。

加藤:
「アートの力をぜひ活用してみてください」と。

宮本:
そうですね。

加藤:
わかりました。
「工房集に見学に来てもいいですよ」と。

宮本:
そうですね。

加藤:
わかりました。

加藤:
改めて、本日はありがとうございました。

以上が、宮本さんへのインタビューとなります。
今回、宮本さんからたくさんのお話を伺うことができました。
本当にありがとうございました。

20.ギャラリーにお邪魔してビックリ ニューヨークの個展で1枚100万円以上の絵が1週間以内で完売!

さて、宮本さんとのお話が終わった後、アーティストの方の創作活動の現場を拝見させて頂きました。

まず、最初のアーティストの方にビックリ(笑)。
油絵などで使う絵具を、キャンバスにドンドン重ねておられているアーティストの方の作品が目に飛び込んできました。

絵具をドンドン重ねていくというスタイル、私のような凡人には、思いもつかない発想です(笑)。
私が覗きこんで観ていると、アーティストの方から色々と話しかけて頂きました。
とても真剣に、楽しみながら作品づくりに没頭していた姿が印象的でした。

続いて、織。
とても巧みに、機械を操り、おられていました。この方の織物は、非常に優しく、繊細に仕上がるそうです。

職員の方に教えて頂いたのですが、織かたにも特徴があるそうです。
ある男性のアーティストの方の作品は、しっかり織られ、目がつまっているので、また違った味わいになるとのこと。

見学をしているときに、ついつい、「マフラー、きっと温かいんだろうな~」と思いながら見学しておりました(笑)。

続いて、ものすごく、精密な絵を描かれている方がいました。
私が織物のところ見学していると、私のところにわざわざ来ていただき、2つの作品を見せてくれました。
まずは、完成品のご紹介。

ちなみに、この絵は、下記のような下書きをしてから作られるそうです。

とにかく、ひとつひとつが精密です。
間近で見ると、本当にビックリしますよ、その精密さに!

そして、更に、驚いたのが、アーティストの皆さん、お一人お一人が自分の作品集となる本をお持ちだということ。
私にも見て欲しいということで、何人かの方が、作品集を持ってきてくれました。

こういった作品集ができると、自分への自信がドンドン積み上がったいき、
結果的に作品が更に進化しているのではないかと感じました。

その他、近くにある太陽の家にもお邪魔しました。ここでは、ステンドグラスを作られておりました。
皆さん、本当に自由な発想で作られておりました。

画一的にステンドグラスを作っていた時は、規格外の切れ端は捨てられていました。
しかし、今は作品をつくる上で、規格外のものも下記のように再利用され、貴重な作品の一部になります。

棚に並べられていた作品、どれもみな個性的な作品が所狭しと並んでいました。

もっと、たくさんご紹介したいのですが、このサイトをご覧の皆さんには、まずは、工房集のホームページ
http://kobo-syu.com/)から作品の一部を見て頂きたいですし、何より、現地に足を運んで頂き、アートな作品を肌で感じ取って頂きたいと思います。

ちなみに、今回お見せすることができませんでしたが、ニューヨークの個展に出品される絵も拝見させて頂きました。お値段を聴くと、ナント100万円を超える作品もあるとのこと。
職員の方曰く、「これくらいの値段でも1週間で全部売れてしまうんですよ」というお話でした!

編集後記

今回、工房集様の記事は、最初、アーティストの方々の作品をメインに据えようと思い、インタビューをはじめました。

しかし、宮本さんとお話をしていくうちに、「障害のある方をアートの力で、活躍の場を提供する!」という熱い思いに、とても共感してしまいました。なので、単に作品を並べる記事ではなく、工房集様がどのような生い立ちで、どういう苦労があってここまできたのか、是非、このサイトをご覧になって頂いた方には、知ってもらいたいと思いました。

とくに施設の方、保護者の方に、工房集様の活動を是非知って頂きたいと思います。
宮本さんの大変な苦労があって、今のように周りから認知され、応援されるようになりました。

施設の方、保護者の方も、何事も最初は大きな壁にぶつかります。しかし、それを乗り越えた途端に、一気に視界が広がり、様々な方と繋がり、大きなうねりとなって、取組みが加速する。

最初の一歩を踏み出すことの重要性。真摯に取り組んでいると必ず応援してくれる人が現れる。
真剣さというのは、周りを巻き込む力があるのだと思い知らせれました。

是非、工房集様の取組に興味がある方は、まずは行ってみて、感じてみてください。
きっと、何かを感じられると思います。

第2弾のJLSAインタビュー、これで終わりにしたいと思います。
ご意見、ご質問等がありましたら、是非、ご連絡ください。

第1部をご覧になりたい方は、こちらから。https://jlsa-net.jp/interview/koubosyu-1/

第2部をご覧になりたい方は、こちらから。https://jlsa-net.jp/interview/koubosyu-2/

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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