就労継続支援A型事業所「ハートフル松本FVP」取材 Part1

インタビュー記事

松本から福祉を変える!
就労継続支援A型事業所「ハートフル松本FVP」に行ってきました!

電子福祉マガジン編集長  加藤 雅士(かとう まさし)

 学校法人立志舎学園の専任講師を経て、経営コンサルタントに転身。現在、株式会社グリット代表取締役会長として、障害のある方・高齢者ご本人・ご家族、支援者様が利用できる福祉保険を国内の大手損保会社と共同開発し、全国に展開中。同時に財産管理や後見サービスの提供を行っている。

最初のご挨拶

みなさん、はじめまして。電子福祉マガジン編集長の加藤雅士(かとうまさし)です。
この度、障害のある方・高齢者ご本人・ご家族の方はもちろん、障害者・高齢者の方と接する方達へ、お役立ち情報を提供していこう!という趣旨のもと、電子福祉マガジンを創刊することに致しました。

この電子福祉マガジンは、我々から情報配信していくのはもちろん、みなさんから頂くお悩み・ご質問を解決していけるよう、各種専門家にも随時ご登壇頂き、情報を配信していきたいと思っております。

また、ただ情報を流すのではなく、みなさんにも一緒に参加して頂き、お悩みの共有や解決策を一緒に考えられるコミュニティの場にもしていきたいと考えております。どうぞ、よろしくお願いします!

初取材先のご紹介 ハートフル松本FVP

それでは、早速、これより創刊第1号の取材記事を配信します。
第1号は、長野県にある就労継続支援A型施設「ハートフル松本FVP」様へ行った取材内容をご紹介します。
今回の取材記事は、「障害者就労」についてお知らせします。
3回シリーズでハートフル松本FVP様の情報配信を致します。

目 次
ハートフル松本FVP 取材記事 Part1【取材日:2017年8月28日~29日】

1)就労継続支援A型施設 「ハートフル松本FVP」様のご紹介
2)ハートフル松本FVPの雇用形態の考え方
3)障害者雇用を検討している株式会社野毛印刷社 工場長 永田和義氏からの質問
4)休憩中の一コマ
5)編集後記

それでは、これよりハートフル松本FVP様をご紹介します。
ハートフル松本FVP http://www.fvp.co.jp/heartfull/index.html

ハートフル松本FVP様は、株式会社FVPが「自社で障害者を雇用したい」との思いで立ち上げ、FVPグループとして事業展開をしております。

ハートフル松本FVP、FVPの大塚社長について
株式会社FVP 社長の大塚由紀子さんは、コンサルティング会社での勤務を経て1999年にコンサルタントして独立されました。コンサルタントとして活躍されていた時代に、障害者の自立支援活動を行っていたヤマト運輸元会長の故小倉昌男氏との運命的な出会いを果たします。小倉氏からの導きもあり、「福祉と経営の融合を通して障害者の働く場をつくっていきたい」と2003年に株式会社福祉ベンチャーパートナーズを設立。現在に至っている方です。

実は、私(加藤)と大塚社長は、大塚社長がコンサルタントとして独立していた時代に、私が勤務していたコンサルタント会社に多大なご協力を頂き、大変お世話になった方です。

大塚社長から遅れること17年、私も遅ればせながら、障害者や高齢者ご本人・ご家族はもちろん、支援者の方に役立てる事業をしたいと思い、2017年4月に新会社(株式会社グリット 新宿区)を設立しました。

これからみなさんに、面白い記事を提供できるよう頑張って色々なところに取材していく予定です。どうぞ、楽しみながら記事をお読み頂ければと思います。

記事作成に当たり、テープ起こしに協力頂いた団体:就労移行支援事業所 特定非営利法人 さらプロジェクト

ハートフル松本FVPの熱き想い ―松本の福祉を我々が変えるんだ!―

株式会社ハートフル松本FVP
統括リーダー サービス管理責任者
 矢内 健太郎(やない けんたろう)様

インタビューワー  電子福祉マガジン編集長 加藤雅士  編集委員 重田誠
障害者雇用検討企業 株式会社野毛印刷社 工場長 永田和義氏

1)就労継続支援A型施設 ハートフル松本FVP様のご紹介

加藤
矢内さん、はじめまして加藤です。この度はお忙しい中、貴重なお時間を割いて頂き、誠にありがとうございます! 
本日は、障害者就労に取り組まれているハートフル松本FVP様(以下FVP)のお話をたくさん伺いたいと思って東京から押しかけてしまいました(笑)。どうぞよろしくお願いします!

矢内
こちらこそ、よろしくお願いします。

加藤
早速なのですが、FVP様のことを簡単に教えて頂けますか?

矢内
当社は、2014年4月に長野県の松本市から県有地を借り受け、重度の障害者雇用の創出に積極的に取り組む就労継続支援A型事業所としてオープンしました。
※ハートフル松本FVPは松本ICから車で約5分程度のところにあります。

加藤
現在、障害者の方は何名位、働いてらっしゃるのですか?

矢内
開業当初は9名からスタートし、現在は4名の社員のもとメンバー社員として13名の知的障害を持つ方が働ています。

加藤
FVP様は、就労継続支援A型施設(以下 A型)ですよね?

矢内
はい、そうです。
ですから、一般の企業様と同じように「生産性」ということも考えないといけません。つまり、「仕事をして結果を出す!」ということが求められます。

どれだけ生産性を上げ、どれだけ効率よく仕事をするかが求められます。
実際、我々も現場監督はもちろん、ラインに入って仕事をしますし、更に、どうやって企業様からお仕事を獲ってくるかということも考え、営業活動も実施しております。

【コラム】
※就労継続支援A型事業とは・・・
通常の事業所に雇用されることが困難であって,雇用契約に基づく就労が可能である者に対して行う雇用契約の締結等による就労の機会の提供および生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援事業のこと。
(最低賃金以上 H24年度全国平均  64,691円/月)
※就労継続支援B型事業とは・・・
通常の事業所に雇用されることが困難であって,雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行う就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援事業のこと
(授産施設平均工賃以上 H24年度全国平均  14,190円/月)

なので、一般的な福祉施設は、「仕事」というより「支援」がベースです。利用者さんが通ってくることが一番で、通ってくることによって、国から利用料がもらえる仕組みになっています。

よって、仕事の生産性というより、まず通ってくれることが大事!ということになります。ですから、福祉施設では、なかなか仕事の生産性に目が向かない傾向があるようです。

加藤
なるほど。ちなみにFVP様の社員の方は営業活動をされているのでしょうか?

矢内
はい、やっていますよ~(笑)。
ちなみに、うちの社員は4人いますが、私を除いた3人は全て民間企業で働いていた方です。

2)どんな雇用形態で障害者のみなさんは働いているのでしょうか?(FVPのこだわり)

加藤
FVP様では、どのような雇用形態をとっておられるのでしょうか?

矢内
利用者の方とは、従業員としての雇用契約と福祉サービスを利用するための利用契約の2つの契約を結んでいます。
雇用契約ですから社員であり、お給料を払います。
同時に利用者でもあるわけですから、国から利用料をもらっています。

加藤
ちなみに、FVP様は自治体から利用料をどの位もらっているのでしょうか?

矢内
うちは(就労継続支援A型施設)半分施設、半分企業という位置づけです。
お一人1日働くと、5000円程度もらっています。

加藤
ちなみに利用者様からも利用料はもらっているということでしょうか?

矢内
基本的に国の取り決めでは、利用者はあくまでも施設のサービスを利用しているわけですから、原則1割負担で当社に利用等を払うことになります。

ただ、弊社は、「働きに来てくれるのに、彼等から利用料を取るのっておかしくないか? 我々だって会社に働きにきているのに、会社に利用料なんて払っていないよね?」という考えに立ち、利用者からお金は頂かないスタンスをとっています(笑)。

加藤
なるほど、素晴らしい考え方ですね(笑)。
次に、雇用するにあたって、何かこだわりのようなものはありましたか?

矢内
弊社の方針としては、「うちで雇用した方には週5日、1日6時間、週30時間は働いてもらえるようにする。そして期限の定めのない契約形態、有給休暇や社会保険も完備して迎える! 労働者として迎える!」というスタンスをとっています。

加藤
先ほど、障害者の雇用は13人とありましたが、ローテーションを組まれているのでしょうか?(工場に10人程度だったため)

矢内
実は、工場内の仕事は10人分しかないんです。

ですから、残りの3名は、我々の営業活動の中でお願いすることができた倉庫会社に働きに行っています。
※待ちの営業ではなく、社員の方がお仕事を獲りにいっている姿勢、とても素晴らしいと思いました。

3)障害者雇用を検討する横浜の老舗印刷会社 野毛印刷社工場長 永田氏からの質問

株式会社野毛印刷社
福浦工場 工場長
 永田 和義(ながた かずよし)様

永田
今、弊社でも障害者雇用を考えているのですが、障害者の方を受け入れる上で、ここは気をつけた方が良いという点がありましたら、教えてもらえますか?

矢内
そうですね・・・。
まず、うちが一番初めに決めたルールは「さん」づけで呼ぶことでした。
簡単なことですが、お互いに従業員同士だから「さん」づけにしようと。
役割で指導的な立場になりますが、同じ社員同士という意味合いでそうしました。

うちで働く方達は重度の知的障害を持っている方が多いのが実情です。精神的に幼いところもあります。そうすると、つい「ちゃん」とか「くん」で呼んでしまいがちになります。そうなってしまうと職場でなくなってしまいます。
なので、そこは一線を引こうと意味で、「さん」づけルールにしました。

永田
なるほど、一人の人間として尊重し合おうということですね。

矢内
はい、そうですね。

永田
他にありますか? 例えば職場環境とか。

矢内
はい、そこはとても気を付けていますね。あとで、職場を実際に観て頂きますが、うちには大型の機械が入っています。
最初は我々が一緒について仕事をしていましたが、それでは全く効率が上がらないことがわかりまして(笑)。 

これは障害者の方に任せることも重要だ!ということで、
全ての危険を断ち切るように、何個もルールを作ったり、わかりやすく、誰がどんな状態で入っても間違わないようにしました。

大事なのは、目でみてわかるようにするということです。
色でわかるようにしたり、大きな文字で書いたりと。

※下の図は、色付きのトレイを圧縮袋に入れ場所。

究極は、そこに来たらそうせざるを得ない環境をつくることです。
彼らは、決めたルールはきっちり守ってくれるのが特徴です。

永田
なるほど。先程、生産性のお話をされていました。障害者の方にはそれぞれ特性があるかと思います。その際、指導される方は、担当する障害者の方を決めておられるのでしょうか?

矢内
いえ、決めていません。最初のうちは決めていたのですが、社員も障害者の方も他の企業さんの現場に行ったりするので、日々、入れ替わり立ち代りになるため、担当制は現実的に無理になってしまったのです(笑)。ですから、全員で全員をみるというスタンスにしています。よって、ミーティングでは社員全員が情報共有することが重要になります。

永田
なるほど。
唐突ですが、働いている途中で帰っちゃったということなんかは無いですか?

矢内
ありました(笑)。
仕事をしていた際に、返事をしなかったので、「帰りなさい!」と叱ってしまったら、本当に帰ってしまったことはあります(笑)。

ただ、いきなり居なくなってしまうということは今までありません。

永田
実際に工場で障害者の方を雇入れる際、専従担当者をつけた方が良いのでしょうか?

矢内
専従担当者というより、“一緒に働く”というスタンスの方が良いと思いますよ。
最初はついて教えてあげることが重要ですが、ずーっと付いているのは、お互いにとって、あまり良いことではないと思います(笑)。

ですからうちの指導している社員も自分の仕事をしながら工場を順次巡回していますし、みなさんは黙々と作業をしておられます。

永田
なるほど。では、困ったときには声をかけて!というスタンスの方が良いのでしょうか?

矢内
そうですね。繰り返しになりますが、一緒に働くというスタンスをおススメします(笑)。ずーっと、そばに付いていることはかえって不自然ですから。

永田
参考になりました。当社も、最初は指導できるメンバーをつけ、徐々に一緒に働くスタンスにしていきたいと思います。その際ですが、指導する社員を含め、ある程度の福祉の知識は必要でしょうか?

実は、当社は就労支援塾を通して、精神障害の方を採用しようとおもっておりまして。

矢内
うーん・・・。
私は知的の方しか雇用したことがないので、精神の方のことは正直わかりません。ですが、精神の方であれば、ある程度仕事の飲みこみも早いと思いますよ。

あとは、就労支援の訓練機関の方も当初は付いてくれて指導してくれると思いますから、相談しながら進めると良いと思います(笑)。

永田
また、現場でのことをお聞きします。トイレ等で持ち場を離れる際に何か決まり事のようなものはありますか?

矢内
はい、あります。手をあげる、一声かけるなどをルールにしております。
あとは、余談ですが、日々、「お風呂に入った?」などの声かけもします。

加藤
え、そういうことも?

矢内
はい、言わないとお風呂に入らない、服を着替えないということがあるので。

永田
みなさん、通勤はどうされてるのでしょうか?

矢内
13人のうち10人は電車又はバスで来ています。

永田
これからちょっと厳しいことをお聞きします。
ここにいる方達をどこまで戦力として考えているか、いつまで雇用しようとしているか教えてもらえますか?

矢内
うちは60歳まで雇用すると宣言しています。ご本人が嫌と言わない限り60歳まで雇用する予定です。
今、59歳の女性がいますが、みんなと同じ仕事をして頑張っていますよ。
体力的にはきつくなっていると思うので、毎日仕事の終わりにしっかり話す時間を設けて、気を付けております。

ちなみに我々のような施設は、必ず記録を作成しなければなりません。
その中で気づいた点や、体調に関することを注意深く聴くようにしております。

重田
ここで働ている方は、どのようにして採用されたんですか?

矢内
本来は特別支援学校の卒業生を採用したいと思っていたのですが、こちらの採用活動の動き出しが遅かったため、近隣のB型施設に訪問したりして、ハローワークで説明会の機会をもらいました。20名位に参加しもらい、その場で面接をして決めました。

加藤
ハローワークさんでセミナーを開催してくれる?

矢内
はい、ハローワークさんが近隣の事業所に案内をしてくれ、面接会を行いました。ただ、それでも採用予定数に届かなかったので、私がB型事業所に直接足を運び、面接を行い、採用しました。

加藤
ちょっと、変な質問になるのですが、B型の事業所の方を面接して採用するということは、B型の事業所様からすると利用者減となり、国から受給できる利用料が減ってしまうのではないかと・・・

矢内
確かにそうなのですが、B型事業所は“就労させる”ということもサービスの一環であり、それが報酬加算にもつながることになります。また、弊社の方針として、重度の方を採用したいという考えでB型の事業所から採用を行いました。

加藤
これも聴きづらい質問なのですが、雇入れて辞めてしまったということはありますか?

矢内
それが今まで、当社では辞めた人はいないんです(笑)。
ただ、当社はA型の施設なので、働いている皆さんお一人お一人がスキルを上げ、民間企業に就職してもらうことがとても重要なんです。

そうすると、新たに当社で働きたいと思う人を雇用することができますから。

重田
定期的に、障害者の方と他の企業に行きたいなど、促すようなことはされますか?

矢内
こちらから、こんな企業やあんな企業があるよ、という話はしません。
あくまでも本人次第です。例えば、障害者の方が「もうすこし給料が欲しい」ということであれば、我々は最低賃金×6時間(1日あたり)だから、もっと欲しいということであれば、企業での就職を目指さないという話をすることはあります。

その際、希望者には、我々がハローワークに出向き、求人情報を探したりしますが、我々も中々忙しいので、その場合には、障害者就業・生活支援センターにつないで対応するようにしております。

また、ハローワークで行っている就職説明会などに同行したりして、支援もしております。

加藤
FVP様の現在の仕事はどのように獲得されたのでしょうか?
日頃、コンサルタントをしているので、お仕事をどのように獲得されているのかとても興味があります(笑)。

矢内
実は商品トレイ業界の最大手の企業様から現在の仕事をご紹介頂きました。

矢内
詳しい経緯を申しますと、その企業様が現在の場所で長野県から依頼を受けて、A型の作業所として工場建設の依頼を受けていたんです。

元々ここは、県有地です。自治体は障害者雇用促進のため、その企業様に「我々も仕事をもってきますから! この場所に工場を建設し、運営と管理をやってもらえないか?」というオファーを受していたそうです。
それならば、FVPもやります!ということで手をあげたんです(笑)。

なので、今は、その企業様がトレイを運び、FVPがこの工場で仕分けをしております。

重田
新しい仕事が入ってきたとき、矢内さん達がご指導されるのでしょうか?

矢内
いや、そうでもないですよ(笑)。
仕事の流れや段取りを組んだり、手順を決めるのは我々ですが、あとはラインに入っている彼らに任せています。

矢内
もうそろそろ休憩で彼らが、ここに休憩にやってきます。
現場で作業していると、みなさん「本当に障害者?」と思ったかもしれないですが、これから休憩にやってくるとギャップに驚くと思いますよ(笑)。

一応、13名中11名は、就業する際の“重度”という扱いを受けております。

加藤
えー、そんなんですか? 先ほど観たときにそのように見えませんでしたが(笑)。

重田
年齢構成はどのような?

矢内
59歳が最高齢で、一番下は21歳です。 平均は34歳程度です。
女性は3名です。

重田
利用者同士でトラブルはありますか?

矢内
最初はチョコチョコありましたね。
ぶつかったのに謝らないなど。女性の方でしたね(笑)。
男性は無かったです。

4)休憩中の1コマ

みなさん、きちんと挨拶してくれました。
女性の方は、「お名前は?」とか聞いてくれ、すぐに「加藤さん」と覚えてくれました。
男性の方では、「握手!」と手を出して頂き、お互いにがっちりと握手しました(笑)。

加藤(矢内さんに話しかける)
みなさん、あかるくて元気ですね~

休憩中(みなさんが毎日書く、作業日報を見せてもらいながら)
この作業日報、毎日書かれているんですか?

矢内
はい、そうなんです(笑)。

加藤(日報見ながら)
すごいなぁ~。目指せ1500円の粗利ですか!
普通の企業でもここまでやっているところ無いと思いますよ(笑)。
下図の赤枠には「ミッション(1人1時間当たり) 1500円の粗利達成)

矢内
最初は、こんな難しいものは書けないんじゃないの?と他の社員に言ったのですが、「やってみないとわからないじゃないですか!」と言われ、つけはじめたのですが、やっぱり慣れると出来るんですよ(笑)。

加藤 (上図の青枠の部分)
この25、24という数字は何ですか?

矢内
これは、10秒間に何枚のトレイを仕分けできたかを表しています。

それぞれの能力に合わせて設定した目標を目指してもらっています。
1日2回計測する時間を設け、その平均値を集計し、1日の終わりに作業日報に記入しながら、社員と一緒に面談し、その日の振り返りを行っています。

ちなみに、早い人は、10秒間で30枚を超えてくるんですよ(笑)。

加藤
なるほどー。私もラインには入らせてもらってあとで挑戦したいと思います(笑)。 
それから、彼らのモチベーション管理はどのようにされているのでしょうか?

矢内
作業日報を通じた社員とのコミュニケーションが一番ですね。そしてその中で、出来たら、ピンクの★印をつけるなどの工夫をして、うまく出来た方には、明日も引き続き頑張ろう!
うまく出来なかった方には、明日に向けての工夫を考え、明日頑張ろうなどの声かけを行っております。

加藤
この資料だと、周りと比べて、自分は出来ている!というところでもモチベーションが上がるのでしょうか?

矢内
どちらかというと、他人というより、昨日の自分を超えているかどうかを我々は重要視しております(笑)。

加藤
これは失礼しました(笑)。
※しばらく報告書を拝見させて頂きました。日報に記述する内容も人それぞれで、ある方のチェック項目には、
(重度)「隣を通るときは、失礼します!」という項目もありました。

※体調で左右されてしまう人は体調管理についても細かく聴いておられました。
・昨日はよく眠れたか?
・何時に寝たか(ゲーム等で夜更かししていないか)
体調管理と生産性の関係をお互いに見ることで、どう改善していけば良いかをディスカッションするそうです。

Hさん(メンバー社員)
我々を見かけるなり、大きな声で
「こんにちは!」
「いらっしゃいませ!」

※我々も、つい嬉しくなり、大きな声で挨拶しました(笑)。
しばし休憩・・・

矢内さんからは、
「休憩中の彼等もみてください。仕事に没頭しているときと違いがよくわかると思いますよ。」と言われておりました。

別の方からも大きな声で
「こんにちわー!」

ここで気づいたことがありました。休憩中なのに、休憩室に入ってくる人は半分以下。私が気になって、「もしかして、我々がいるから(みなさん)入りづらいということはありませんか?」と尋ねました。

矢内さん曰く、
「いつもこんな感じです。我々の居る事務室にきたり、ウロウロしたり、でも、結構時間前に戻って、次の準備をしています」とのこと。

我々だと時間ギリギリまで休んでしまいますが・・・(苦笑)。

加藤
普段の就業時間は?

矢内
9時~4時です。

重田
恐らく我々には、休憩時間という概念がありますが、彼らは1日仕事をするというリズムなんでしょうね。だから変にリズムを崩される休憩は微妙なんでしょうね。

次号 就労継続支援A型事業所「ハートフル松本FVP」取材 Part2へ続く。

編集後記

創刊第1号として、ハートフル松本FVP様の取組をご紹介しました。施設のリーダー矢内様とお話を進めていく中で、「障害者の方をしっかり戦力とする」取組には、驚きました。

私は日頃、コンサルタントとして様々な現場に赴きますが、工場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)がきっちりと出来ておられ、更に時間あたり幾ら稼ぐのか、ということが明確になっていました。そして、目標に向けて社員の方が一丸となって取り組んでおられる姿勢はとても素晴らしいと感じました。

こういう会社があることは、ご本人・ご家族にとって、とても希望が持てると思いましたし、一般企業の方が見学されても、自社の現場改善に役立つヒントが満載だと思います。そして、きっと、自社で障害者雇用にチャレンジしてみたくなるんではないかと思いました。

次号では、実際の作業現場で私が見たこと、聞いたこと、体験したことをご報告したいと思います。
次号 就労継続支援A型事業所「ハートフル松本FVP」取材 Part2

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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