ADHDの方の事故例から、障害のある方の生きづらさを知る

発達障害

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はじめに
 障害のある方が「困難があるのであれば、可能な限り解決したい」と多くの方が思われることでしょう。ただ、実際の困難にどのようなものがあるのかがわからないと、どうしたらよいのか考えていくことは難しいとも言えるでしょう。そこで、ここでは、障害のある方の生きづらさについて、ADHDの方が遭遇した「事故」とそれにまつわる「ちょっとした困りごと」を、一つの例として見ていきます。

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1. 障害のある方の生きづらさは、理解しにくい?

「図-私たちが今生活している社会」

私たちが暮らす社会は、マジョリティの方に合わせて整備されてきたという歴史があります。このため、マジョリティの方にとっては、「当たり前、当然、普通」だと思われることやできることが、障害のある方を含むマイノリティの方にとっては、「できない、やりにくい、負荷がかかる」、だから、「暮らしにくい、生活しにくい、生きにくい」といった面があることが否定できません。

つまりより良い社会をつくるには、マイノリティに位置づけられてきた方々にとって問題となっている社会のしくみや基盤を変えていくことが必要になると考えられるということです。

実際、そのような課題認識の下、障害のある方に対する施策の整備や具体化は、徐々にではあるものの着実に進められてきているとも言えるでしょう。

一方では、障害のある方の生きづらさとは具体的にはどんなことなのか? と問われるとなかなか答えにくく、理解しにくい面もあるのではないでしょうか。たとえば、発達障害のように、表面上では気づきにくい障害のある方の困難とは、どういったことなのでしょう?

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参考:
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 ホームページ
ノーマライゼーションと障害のある子どもの教育
https://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-44_0/c-44_0_03_12.pdf

東北福祉大学 通信教育部 With ホームページ 
【社会福祉キーワード】 ノーマライゼーション
https://www.tfu.ac.jp/tushin/with/200803/01/03.html

2. 実際の事例を見る前に ~ 事例を提供くださった方ご自身の障害であるADHDとは?

筆者の知人に、ADHDの方がいらっしゃいます。後ほどその方の「実際の困りごとの事例」を見ますがその前に、ADHDとはどのような障害か確認していきます。

(1) ADHD、その3つの特性

「図-ADHDの3つの特性」
 ADHDは、大きくは次の3つの特性が見られる障害です。

① 不注意

注意が足りなかったり、配慮が欠けていたり、うかつであったりといった特性です。危険に気づかなかったり、何もないところでつまずいたり、刃物を普通に使うだけで傷をつくることが多かったりといったことを起こしやすいという傾向が見られます。

② 多動性

 場面や状況に応じて集中することが難しく、絶えず動き回わっている状態が見られるという特性です。順番を待てなかったり、子どもの場合では授業中に教室の内外を落ち着きなく徘徊したりといった行動が見られます。

③ 衝動性

悪い結果になってしまうかもしれない行動であるのに、あまり深く考えずに行ってしまうという行動特性です。欲しいと思ったら、必要かどうかよく考えずに買ってしまったり、良いと思ったらすぐに取りかかるのに、最後までやり続けることができなかったりといった傾向が見られます

(2) 不注意・多動性・衝動性という3つの特性が引き起こす困りごと

この3つの特性は、決してマイナスの面ばかりを引き出すものではなく、たとえば、多動性や衝動性に見られる行動力が良い結果に結びつくこともあります。一方で、多くの問題を引き起こす場合もあります。3つの特性が引き起こす問題は、たとえば次のように整理することもできます。

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参考:
公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
今村明先生に「ADHD」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=39

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3. ADHDの方の生きづらさ ~ 病院で理解されなかったという実際の事例

以下、ADHDの方が最近遭遇した事故と、事故後の病院で体験された日の日記です。ADHDをお持ちの方の生きづらさ、困難の事例として、ご本人の許可もいただき、ご紹介します。

***

いやあ、マジでびっくり
こんなことってあるの~? まるでコントみたい。。。私はただまっすぐ歩いていただけなのに、なぜか電信柱が前にあってぶつかった。

それでも図書館に向かって歩き始めたら、何だかすれ違う人が、変な目でこちらを見てる。痛かったし、おかしいなと思ったから、目の横を触ったら、「げっ、血が出てる! しかも、ちょっとじゃない!」 ちょうどしていたマフラーを傷口と思われるところにあてながら急いで、でも、裏路地を抜けて家に戻った。

鏡を見て、さらにびっくり。「顔、血だらけじゃん!」 彼氏に見せたいから写真を撮った。それから血だらけの顔を洗って、近くの病院に電話。でも、今日は土曜日で、「診察終わってます」 うーん・・・飛び込みで行ってしまえ!

病院に行ったら看護師さんが、「うち、外科ないんですけどいいですか?」って嫌そうに聞いてきて(時間外だし)、でも血を出しながら「はい」って答えたら、「先生に聞いてみます」と言ったっきり、しばらく放置。

ようやく処置室に通されて・・・

看護師(以下、看):「どうしたんですか?」
ADHDの方(以下、A):「道を歩いていたら、電信柱にぶつかっちゃって・・・。ガンッ、て、音がしました」
看:「スマホ、してたんですか?」
A:「いいえ」
看:「犬とか連れてました?」
A:「いいえ」
看:「お話しながら、ですか?」
A:「一人で、道路の左側のお店を見ながら歩いていて、前を向いたらぶつかりました。ガンッ、て」
看:「スマホしてたら叱ろうと思ってたんですけどね・・・」
(すると、とてもやさしくなって)
看:「考えごと、されてたんですよね?」
A:「いいえ。ボーっとお店を見ながら歩いてました」
すると、さらに合点がいったとばかりに
看:「自転車とか来ました? よね?」
A:「あっ、はい(実際には来ていないけれど・・・、それ、求めてる答えかな???)」
看:「考えごとをしながら歩いていたら、自転車が急に来て、よけようとして電柱にぶつかったんですね?」
A:「・・・はい・・・(まっいいか)」

きっと、病院では「おかしな人が来た」って言われてる。別に面白いことをしたかったわけでも、面白がらせたかったわけでもないのに。ただ道路の左側見ながら歩いていたら、電信柱にぶつかっただけなのに・・・。「本、今日は返せません」って、図書館に電話した・・・。

***

彼氏にチャットで連絡した
A:(治療後、ガーゼを顔に貼った写真送信)
A:「けがした」
A:「病院の救急で治療したから大丈夫」
彼:「え? 治療行けたのね? 何が起きたの?」
A:(治療前、顔面血だらけの写真送信)
A:「電柱にぶつかった、図書館に行く途中で」
彼:「え? つまずいたとか、何か避けようとしたとか? 頭、ふらっ、とした?」
A:「自転車が飛びだしてきた。足が思ったように動かなかった(と看護師さんに言ったら納得したから、きっと彼氏も納得するはず・・・。本当は違うけど・・・)」
彼:「避けようとしたけど、足が動かなかったのね?」
A:「うん。逆光でよく見えなかったし」
彼:「縫ったの? 縫うほどではないの?」
A:「とりあえず、消毒して、薬もらって帰ってきた。外科の先生いない」
彼:「家なの?」
A:「うん。今、かえってきたとこ」

そしたら、彼氏から電話がかかってきた
すっごい心配してくれて、でも心配かけたくないから、看護師さんに言ったまま言ったら・・・バレた。。。「本当は違うんでしょ? 本当はこうなんじゃないの?」
うーん・・・なんで見てたようにわかるの? ふーしーぎー

***

この事例からは、少なくとも次のような点を、「この方の生きづらさのあらわれ」としてとらえることができそうです。

・街中を歩くだけで、電信柱にぶつかるという事故を起こしてしまう
・「本当のこと」を話しても、なかなか理解してもらえない
・けがをしたという事実と、その治療が必要だということ以外で、ストレスを感じている
・相手の「普通」を想像し、それに合わせて話をせざるをえない
・電信柱にぶつかる経験そのものはともかく、少なくとも「本当のことを言うと理解してもらえない」という経験を、これまでも数多くしてきており、結果、相手の「普通」に合わせるという経験も多くしてきている

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4. 事例を知り、改めて一人ひとり違うということを意識する

ご紹介した事例とADHDの特性とを比較すると、確かにADHDの特徴をよくあらわすような問題が発生しているように見えます。ただ、このような問題が、ADHDすべての方にあてはまるわけではないという点は注意が必要です。

そう考えると、ここで取り上げたADHDだけですら、複数の方の事例を知らないと、その輪郭を理解することもできないのかもしれません。つまり、障害があることを理解するというのは、相応の努力が必要なものなのだろうということです。

最後に

障害と、障害に伴う困難は、本質的には一人ひとり異なります。その意味で、ここでご紹介した事例は、あくまで事例であり、他の方にはまったくあてはまらないことかもしれません。

とはいえ、事例を多く知ることは、障害や障害に伴う困難をリアリティを持って理解するための有効なアプローチ方法と言えるでしょう。

ただ、障害があることの困難というものをナゼ理解するのか? という目的は、忘れてはならないでしょう。少なくとも理解するだけが目的ではなく、理解した上で解決のアイデアを具体的に出し、それを実践していくことが大切だからです。

そのような一歩一歩が、より良い社会づくりにつながるとも言えるのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 ホームページ
ノーマライゼーションと障害のある子どもの教育
https://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-44_0/c-44_0_03_12.pdf

東北福祉大学 通信教育部 With ホームページ 
【社会福祉キーワード】 ノーマライゼーション
https://www.tfu.ac.jp/tushin/with/200803/01/03.html

公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
今村明先生に「ADHD」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=39

ADHD・LD・アスペルガー症候群かな?と思ったら・・・、安原昭博、明石書店

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金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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