フレイルとは? ~ 介護が必要となるその前段階

高齢者・認知症

はじめに
 フレイルとは? 加齢に伴い人は衰えるもの。認知症も、高齢になるほど発症するケースが増える面があります。一方で、その衰え方は個人差が大きいとも言われており、そこで注目を集めるものに「フレイル」という概念があります。

 ここでは、そもそもフレイルとは何かを中心に、そのチェック法や予防のためのポイントなどについて、まとめました。

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1. フレイルとは?
(1) 人は衰える

人は、加齢に伴い必ず衰えていきます。それは、身体機能面での衰えもあれば、精神機能面での衰えもあります。精神機能面での衰えの結果あらわれるものの一つが認知症と考えられるわけです。

しかし、いわゆる健康の状態から、ある日突然、認知症と呼ばれる状態になるわけではありません。つまり、健康の状態と、生活をする上で何らかの障害を伴う状態との、その中間にあたる状態があると考えられるわけです。

(2) フレイルとは?

フレイルは、「加齢のために身体機能を支える恒常性維持機能の低下により、ストレスにあらがう力が低下し健康障害に対する脆弱性が高まった状態」とされています。2014年に一般社団法人老年医学会が、海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」の訳語として提唱した概念です。

厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされていることから考えると、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間の状態、ととらえられる概念であることがわかります。

実際多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられているとともに、特に高齢の方は、健康な状態からフレイルの状態に移行しやすいことがわかっています。

(3) フレイルの問題

健康な状態の方が風邪をひき、発熱や体の怠さを感じたとしても、数日もすれば治るでしょう。いわゆる自然治癒力というものが、そのパワーを発揮してくれる状態にあるからです。

一方フレイルの状態になっていると、風邪をこじらせて肺炎につながったり、怠さのために転倒して骨折したり、といった可能性が高まります。そして、肺炎や骨折などが入院を要するものとなってしまったときには、その環境の変化に対応できなくなるケースもあるされています。

一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなったりすることがあるのです。そして、このような一連の流れの中で、フレイルから寝たきりにつながる、とも考えられているのです。

つまり、フレイルの状態になると、何らかの病気にかかりやすくなったり、ケガをしやすくなったり、また、ストレスに弱い状態になっていき、それは身体能力の低下、死亡率の上昇という形であらわれるということです。

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参考:
公益財団法人長寿科学振興財団
フレイル
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html

一般社団法人日本老年医学会
フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20140513_01_01.pdf
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
フレイル
https://www.tmghig.jp/hospital/department/surgery/general-and-digestive-surgery/cat/

2. フレイルの持つ多面性

「図-フレイルとは?」

フレイルには、身体的な領域である「身体的フレイル」、精神心理・認知的な領域である「精神心理的フレイル」、そして、社会的問題の領域である「社会的フレイル」の3つの側面があり、それが相互に影響し合って、さまざまな問題を生んでいくと考えられています。

(1) 身体的フレイル

身体的フレイルは「複数の原因や誘引によってもたらされる医学的な症候群で、筋力や持久力の低下、生理機能の低下を特徴とする、要介護や死亡に至る脆弱性が増した状態」と定義されています。

身体的フレイルの中核要因は、3つあると考えられています。「加齢や病気に伴う骨や筋肉の量の減少」であるサルコペニア、さまざまな持病に伴う多種の薬の服薬、そして、低栄養です。この3つが要因の中心となって、衰えを助長するような回路がまわってしまっているのが身体的フレイムの特徴だということです。

(2) 精神心理的(認知的)フレイル

精神心理的フレイルは、「身体機能が低下した高齢者でみられる可逆性の認知障害で、放置すると認知症への進展リスクが高い状態」と定義されています。つまり、身体的フレイルがみられるとともに、認知機能の一部低下がみられる状態ということです。

ただし、定義にもあるように、認知症の場合は、精神心理的フレイルの状態とは言えません。認知症の場合は、既に介護が必要な状態であり、精神心理的フレイルの先の段階にあると言えるからです。

(3) 社会的フレイル

社会的フレイルは、現段階では統一された概念、定義、見解は存在しないとされていますが、身体的フレイルや精神心理的フレイルにより、地域社会との関りが少なく、いわば孤立した状態に陥ってしまうことと考えるとわかりやすいかもしれません。

このため社会的フレイルは、たとえば「社会活動への参加や社会的交流に対する脆弱性が増加している状態」で、「外出頻度が1日1回未満の閉じこもり傾向」および「同居家族以外との交流が週1回未満の社会的孤立状態」がみられるとする解釈などがあります。

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参考:
公益財団法人長寿科学振興財団
フレイル
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html
一般社団法人日本老年医学会
フレイルの意義
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/review_51_6_497.pdf

公益社団法人日本医師会
啓発活動
https://www.jda.or.jp/enlightenment/oral/about.html

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
フレイル
https://www.tmghig.jp/hospital/department/surgery/general-and-digestive-surgery/cat/

3. フレイルの基準

フレイルの状態にあることを評価する統一の指標もありません。さまざまな評価方法がいわば「開発中」という状態にあるのです。ここではそれらの評価法のうち、代表的なものを3つ、ご紹介します。

(1) 一般的に用いられているフレイルの評価基準

以下5つの項目のうち、3項目以上該当した場合をフレイル、1~2項目該当した場合をフレイルの前段階であるプレフレイルとする基準が、現在一般的に用いられているようです。ただ、この基準は非常に簡易的。また、「低下」などは、「どの程度」という基準がわかりにくいという面があるのではないでしょうか。

① 体重減少:意図しない体重減少が、年間で4.5kgまたは5%以上に達している
② 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる
③ 身体活動量の低下
④ 歩行速度の低下
⑤ 握力の低下

(2) 日本の研究で用いられたフレイルの評価基準

2016年度に国立長寿医療研究センターで行われたフレイルの進行要因に関する研究では、フレイルの評価項目と評価基準として、以下の5つの項目が利用されており、3項目以上該当した場合をフレイル、1~2項目該当した場合をフレイルの前段階であるプレフレイルとしています。

(3) 介護支援事業の生活機能評価で利用される基準

介護支援事業では、フレイルの身体的・精神的・社会的側面を含む項目をチェックできる以下のような「基本チェックリスト」が使用されており、このチェックでの評価結果とその他の評価とを合わせて、介護支援の必要性を判定しています。

つまり、このチェックリストを利用することで、フレイルの状態か、あるいは、それを超えた「要介護支援」状態かをチェックできる面があるということにです。ただし、このチェックリストは、あくまで介護支援の要否を判定するためのもの。フレイルの状態であるかどうかを判断するものではありません。

なおこの基本チェックリストを利用すると、以下の1~4までのいずれかに該当する場合に、介護支援事業の対象の候補に、つまり、介護による支援が必要な対象かもしれないと判定されることになります。

① 1~20 までの項目のうち10 項目以上に該当する場合
② 6~10 までの 項目のうち3 項目以上に該当する場合
③ 11 、12 の2 項目ともに該当する場合
④ 13 ~15 までの3 項目のうち12項目以上に該当する場合

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参考:
公益財団法人長寿科学振興財団
フレイル
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html

一般社団法人日本老年医学会
フレイルの意義
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/review_51_6_497.pdf

公益社団法人日本医師会
啓発活動
https://www.jda.or.jp/enlightenment/oral/about.html

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
フレイル
https://www.tmghig.jp/hospital/department/surgery/general-and-digestive-surgery/cat/

ヘルスプロモーション研究センター
フレイルとは:概念や評価法について
https://healthprom.jadecom.or.jp/wp-content/uploads/2018/04/cmed3204_312-320.pdf

自治医科大学
フレイルと認知症
https://www.jichi.ac.jp/extension/file/extension_03.pdf

4. フレイルの予防、あるいは、フレイルの状態から要支援・要介護にならないために
(1) フレイルのメカニズム ~ フレイルサイクル

「図-フレイルのメカニズム」

フレイルは、フレイルサイクルと呼ばれる「特に身体的フレイルに注目した回路、メカニズム」に注目すると、それがどのようなものなのかが理解しやすくなります。フレイルサイクルとは、上図に示す回路のことを言います。

この中にあるサルコペニアとは、すでに見た通り、「加齢や病気に伴う骨や筋肉の量の減少」を示すものです。

加齢や病気で筋肉量が低下しサルコペニアの状態になると、歩行速度が落ちたり、疲れやすくなったりするため、全体の活動量自体が低下します。全体の活動量が減少すると、エネルギー消費量が減るため、結果的に必要とするエネルギー量も減少します。動かないから、おなかもすかない、食欲もわかないということです。

食事量が低下すると、慢性的に栄養不足の状態になり、そして、慢性的に栄養不足の状態になると、サルコペニアがさらに進行することになる。このようにして、悪循環の回路に陥ることになるわけです。

この悪循環に対して、何らかの適切な対応を行い、この回路を断ち切らないと、フレイルの状態から、やがて要介護状態になってしまうということなのです。つまり、フレイルサイクルを断ち切る、あるいは、フレイルサイクルがまわるスピードを遅くすることが必要なのです。

(2) フレイルの状態にならない、フレイルの状態になってもそのサイクルを断ち切る、そのまわるスピードを遅くするには?

「図-フレイル対策のポイント」

高齢の方はフレイルの状態に陥りやすいと言われていますが、予防も可能だとも言われています。さらに、仮にフレイルの状態になったとしても、適切なサポートがあれば、要介護状態への進行を抑制できる可能性があるとも言われています。その具体的なポイントは以下の3点です。

① 持病のコントロール

生活習慣病の他、その他の内科的疾患、外科的疾患など、慢性疾患がある場合には、まずはそれをコントロールすることが必要とされています。フレイルによる筋力低下に対処するには、適度な運動が有効になるわけですが、持病の治療がうまくいっていないような場合、運動すること自体が制限される場合があります。

また、その症状がひどいような場合、体を動かそうとする意欲もわかないものでしょう。だからこそ、持病のコントロールがまずは非常に重要になるということなのです。

② 運動療法と栄養療法

筋肉量や筋力の低下には、運動が効果的ではないかと多くの方が思い至るでしょう。

ただ、このとき同時に食事についても、セットで考えていくことが重要です。というのも、低栄養状態で運動しても筋肉量は増えない、筋力もつかないからです。それどころか、運動によりエネルギーを使うことになるため、低栄養状態を助長しかねないのです。

また、運動の強さのコントロールも大切。筋力が大きく低下している状態で無理に運動しようとすれば、転倒、骨折といったケガなどにつながりかねないとも考えられるからです。

1) 運動のポイント
運動による効果として、その代表的なものに、

・心肺機能の向上
・筋力量の増加
・筋肉や関節の柔軟性向上
・血流促進
・ストレス解消効果
・消化機能など、体内環境への好影響

などがあげられます。実際に運動する際に重要になるのは、ウォーキングなどの有酸素運動と、スクワットやダンベルトレーニングなどに代表される筋力トレーニング、そして、ストレッチなど体の柔軟性を保つ運動を、適度に組み合わせて行うことです。

また、このとき、過度な負荷がかからないようにすること、そして、呼吸に注意することも大切です。運動をしようとすると、やりすぎ、呼吸を止めてしまうということが起こりがちでもあるのです。

2) 食事のポイント
食事のポイントは、規則正しく、バランスの良い食事を摂ることです。具体的には、次のような点がポイントになると考えられます。

•1日3回、適切なエネルギー量の食事摂る
・主食、肉・魚・卵・大豆製品といった主菜、野菜・キノコ・海藻類といった副菜、牛乳・乳製品、果物をバランスよく摂る
・肉・魚・大豆製品など、筋肉の素となるタンパク質と、牛乳・乳製品・小魚といった骨を強くするカルシウムを積極的に摂る
•十分な水分を摂る

③ 感染症の予防

高齢の方の場合、免疫力が低下している場合が多いとされています。免疫力が低下していると、インフルエンザや肺炎といった感染症にかかりやすく、また重症化もしやすいとされています。さらにその重症化をきっかけに、要介護の状態になってしまう可能性があると考えられるのです。

よって、食事や運動により感染症に強い体を作ることはもちろん、予防接種などを積極的に利用することも、フレイルの予防方法の一つになると考えられるのです。

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参考:
公益財団法人長寿科学振興財団
フレイル
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html

公益社団法人日本医師会
啓発活動
https://www.jda.or.jp/enlightenment/oral/about.html

ヘルスプロモーション研究センター
フレイルとは:概念や評価法について
https://healthprom.jadecom.or.jp/wp-content/uploads/2018/04/cmed3204_312-320.pdf

自治医科大学
フレイルと認知症
https://www.jichi.ac.jp/extension/file/extension_03.pdf

最後に

 フレイルとは、簡単に言えば、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間の状態を指す概念です。たとえば、健康な状態の方であれば、風邪はすぐに治るもの。しかしフレイルの状態にあると、それが重症化したり、また、それをきっかけにするなどして、寝たきりの状態になったりする可能性が高まると考えられています。

 フレイルの持つメカニズムを端的に表しているのがフレイルサイクルと呼ばれるものですが、ここでわかるのは、まさに悪循環の回路。この悪循環の回路に陥らないこと、そして、万が一その回路に陥ったとしても、そこから早く抜け出すことが大切になります。

そのために特に重要なのは、持病のコントロール、適度な運動と十分な栄養摂取、そして感染症の予防の3つです。フレイルの状態になるということは、身体面だけでなく、精神面にも影響が出てくるということ。つまり、認知症との関係からも、フレイルの予防が大切になるとも言えるということです。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
公益財団法人長寿科学振興財団
フレイル
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html

一般社団法人日本老年医学会
フレイルの意義
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/review_51_6_497.pdf
フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20140513_01_01.pdf

公益社団法人日本医師会
啓発活動
https://www.jda.or.jp/enlightenment/oral/about.html

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
フレイル
https://www.tmghig.jp/hospital/department/surgery/general-and-digestive-surgery/cat/

ヘルスプロモーション研究センター
フレイルとは:概念や評価法について
https://healthprom.jadecom.or.jp/wp-content/uploads/2018/04/cmed3204_312-320.pdf

自治医科大学
フレイルと認知症
https://www.jichi.ac.jp/extension/file/extension_03.pdf

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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