適応障害とは? うつ病との違い

精神障害

はじめに
 適応障害とは? 適応障害とうつ病の違いについて。現代社会はストレスフルな社会だと言われています。このストレスが原因となって心身の症状としてあらわれるものに適応障害があります。

 ここではそのような適応障害について、そもそもストレスとは何か、ストレスと適応障害の関係とはどのようなものかを中心に、他の精神疾患・精神障害との共通点や違いなども踏まえながらまとめています。

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1. 適応障害とは?

「図-適応障害とは?」

(1) ストレスとは?

一般的に「ストレス」という言葉には、その原因である外部からの刺激である「ストレス要因」と、そのストレスによって引き起こされた心身の反応である「ストレス反応」の2つの意味が含まれていると言われています。同じ「ストレス」という言葉を使っていても、それは原因のこと言っている場合と、症状のことを言っている場合とに分解できるということでもあります。

「ストレスの原因」を分類すると、大きくは温度や騒音といった物理的要因、化学物質の臭いといった化学的な要因、細菌や花粉などの生物学的な要因、そして、普段私たちが一般的にストレスと呼ぶことの多い心理社会的な要因の4つがあるとされています。

また、心理社会的な要因は、さらに人間関係によるもの、生活環境によるもの、そこでやる必要のある勉強や仕事などの質や量といったものに分解することができます。

(2) 適応障害とは?

適応障害とは、「ある出来事などがストレス要因となり、そのストレス要因によって引き起こされる情緒面や行動面のストレス症状によって、社会的機能が著しく障害されている状態」とされています。

つまり、適応障害は、ストレスの原因がはっきりとしていること、そして、情緒面や行動面で後ほど見るような症状が見られることが特徴的だということです。

たとえば生活の変化や生活の中での出来事が、その方にとって重大なもので、その結果普段の生活がおくれないほどの抑うつ気分や不安、心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態が適応障害に陥っている状態とされるのです。

ただし、適応障害と診断されるには、ほかの疾患や障害でないことが前提になっています。つまり、統合失調症やうつ病といった気分障害や、パニック障害などの不安障害などの診断基準にあてはまる場合、気分障害や不安障害の方が診断結果としては優先されることになります。

また、適応障害と診断されるには、その状態がどの程度継続しているかも関わることになります。精神疾患・障害の診断ガイドラインであるICD-10によれば、適応障害の発症は「生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」とされています。

つまり、ストレスが取り除かれれば、その症状は改善するということですし、逆にストレスがかかり続ける状況が続く場合は、その症状も慢性的にあらわれ続ける場合があると考えられるということです。

(3) 適応障害の原因

① ストレス要因はさまざま

 適応障害の原因は「ストレス」です。しかし、ストレスの原因となっていることは、個人の身に起きたものから、多くの方を巻き込む災害といったものまで多岐に渡ります。その理由としては、人によってストレス要因に対する感じ方やとらえ方が異なることが考えられます。

つまり、人によって、ある種のストレス要因には強くても、また別の種類のストレス要因には過剰に反応してしまうということが考えられるということなのです。

② ストレスの感じ方は人それぞれ、という事実

 このようにストレスは非常に厄介なもの。このことが、適応障害を本当の意味で理解することを難しくさせている面もあります。「ある人にとってはストレスに感じることが、他の人にとってはストレスには感じられない」といったこと、あるいはその逆のことが起こりえるからです。

つまり、適応障害の発症には、個人のストレスに対する感じ方や耐性が大きな影響を及ぼすとも言えるのです。

(4) 適応障害の患者数

適応障害のある方の数は、ヨーロッパでの報告によると人口の1%とされています。

日本では、末期のがん患者の方々を対象にした調査があり、その有病率は16.3%と報告されています。しかし、一度適応障害と診断された方のうち、4割以上の方が5年後までにはうつ病など、他の精神疾患・精神障害に診断名が変更されています。このことから適応障害は、その後の重篤な病気の前段階の可能性もあると考えられています。

参考:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
適応障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html

医療法人社団慶神会「武田病院」
『パニック障害』と『適応障害』
http://www.takeda-hp.jp/t-time170101.html

川崎沼田クリニック
適応障害について
https://kawasaki-numata.jp/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

2. こんな症状が見られたら
(1) 適応障害に見られる症状

適応障害の場合、抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状が見られる他、社会的規範や規則を守ることができないといった行為面での症状が見られる場合があるとされています。この情緒面の症状と行為面の症状は、どちらか一方のみ見られる場合もあれば、その両方が見られる場合があるとされています。

適応障害に見られる具体的な症状としては、次のようなものが考えられます。

<適応障害に見られる具体的な症状例>
① 置かれている状況で、何かを計画したり、続けたりすることができないと感じる
② 行きすぎた飲酒や暴食、無断欠席、無謀な運転やけんかなどの攻撃的な行動
③ 強い不安感や、緊張が高まった場合に見られる動悸、発汗、めまいなどの身体症状
④ 子どもの場合、指しゃぶりや赤ちゃん言葉などのいわゆる「赤ちゃん返り」

(2) 休日になると元気?

たとえば仕事上の問題がストレス要因となって適応障害の症状が見られる場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりしても、仕事を離れた休日などは、ストレスが軽減されたと感じられ、結果、憂うつな気分が解消されたり、趣味を楽しむことができる場合もあるとされています。

このような状況が見られるのは、適応障害はストレスの原因が明確にあるからなのです。

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参考:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
適応障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html

医療法人社団慶神会「武田病院」
『パニック障害』と『適応障害』
http://www.takeda-hp.jp/t-time170101.html

川崎沼田クリニック
適応障害について
https://kawasaki-numata.jp/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

.3 適応障害と診断されたら
(1) 症状と診断名との関係 ~ 症状は診断名ではない、という点に注意

① 症状は診断名ではない

たとえば「抑うつ気分」が見られるといった場合、それは疾患・障害などの何らかの原因により「抑うつ気分という症状にあらわれている」というとらえ方をします。

つまり、同じ「抑うつ気分」という症状であっても、その原因となる疾患・障害は異なるということです。よって、あらわれる症状は、そのまま診断名というわけではないという点を押さえておく必要があります。

② 適応障害とうつ病の違いを例に

 この症状と診断名との関係を、適応障害とうつ病との違いや関係で見ていきます。実は、「抑うつ気分」は、うつ病にも適応障害にも見られる症状とされています。では、同じように「抑うつ気分」が見られるのに、うつ病と適応障害に診断名が区別されるのはナゼなのでしょう?

実は典型的なうつ病の方の場合、発症のきっかけが明確ではない場合が多いとされています。明確な原因がわからないのですから、ストレスに対する反応とは考えられないということ。

それなのに「抑うつ気分」が症状として見られるのが「うつ病」であり、基本的には、脳に何らかの課題があるために発症するのではないかと考えられるのです。

一方で、ストレスに対する直接の反応としての「抑うつ気分」もあります。「ストレスの原因がはっきりしていること」が適応障害の特徴。よって、ストレスの対象が明確とされる場合、「適応障害」と考えられるということです。
このことは、以下の図のように示すことができます。

「図-抑うつ気分と、うつ病・適応障害との関係」

ただし、「適応障害の患者数」でも見た通り、一度適応障害と診断された方のうち、4割以上の方が、後々うつ病などの他の精神疾患・精神障害に診断名が変更されています。つまり、適応障害とうつ病など他の精神疾患・精神障害とは区別するのが非常に難しい面もあるという点には注意も必要でしょう。

(2) 診断名は治療法に影響する

「診断名を区別するのが難しいのに、あえて区別するのはナゼなのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。その大きな理由としては、「治療目標や治療法に影響する」という点が上げられます。

たとえばうつ病においては、その治療目標は「うつ状態の消滅や軽減」に置かれ、その症状が一定以上の基準を満たす場合は、抗うつ薬による薬物療法が行われます。

最も多く用いられる治療薬はSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で、頭痛、下痢、嘔気などの副作用が比較的多くみられるとされているものの、薬物療法の効果は高いとされています。

一方で、適応障害の場合の治療目標は、「ストレスを取り除くこと」あるいは「ストレスに対する適応力を上げること」。そもそもの症状の原因がストレスにあるため、薬が効きにくいとも考えられています。
 
(3) 適応障害の治療法

「図-適応障害の治療」

 上記のような理由から、適応障害では、薬物療法が用いられる場合もあるものの、基本は次の2点に重きが置かれることになります。

① ストレス要因を失くす

まずは、ストレスの原因となっている環境を調整することに主眼が置かれることになります。たとえば職場環境がストレスになっているという場合、状況を説明の上、一定期間の休養を取る他、その後の職場復帰に向けて配置転換などの対応をお願いするといった方法が考えられます。

② ご本人の適応力を上げる

 環境を調整できるに越したことはありませんが、現実的には難しいことがほとんどかもしれません。そこでストレスの要因に対するご本人の受け止め方に働きかけるという治療が行われることになります。

受け止め方に対してアプローチしていく治療法としては、認知行動療法と呼ばれるカウンセリング手法の他、現在抱えている問題と症状自体に焦点を当てて協同的に解決方法を見出していく問題解決療法などがあります。

認知行動療法や問題解決療法は、治療する医師やカウンセラーと治療を受けるご本人とが協同で行っていくものですが、治療を受けるご本人が主体的に取り組むことが大切とされています。

(3) 適応障害の薬物療法は対症療法

適応障害では、情緒面や行動面での症状が激しい場合、薬物療法が取られる場合があります。不安や不眠などに対してはベンゾジアゼピン系の薬、うつ状態に対して抗うつ薬を使うのが一般的です。ただし適応障害における薬物療法は「症状に対して薬を使う」対症療法にあたり、根本的な治療ではありません。

先に見た通り、適応障害の原因はストレス。よって、環境調整やカウンセリングなどによるご本人の適応力の向上が重要になるという点は、十分理解しておく必要があるでしょう。

参考:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
適応障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html
うつ病
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html
厚労省 こころの耳
1 ストレスとは
http://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/
「うつ病」とは
http://kokoro.mhlw.go.jp/depression/

日本うつ病学会 ホームページ
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/index.html

公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
野村総一郎先生に「うつ病」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=3

医療法人社団慶神会「武田病院」
『パニック障害』と『適応障害』
http://www.takeda-hp.jp/t-time170101.html

川崎沼田クリニック
適応障害について
https://kawasaki-numata.jp/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

4. 適応障害のある方を支援するにあたって大切なこと
(1) 適応障害を理解する

適応障害のある方を支援するにあたって最も重要なことは、「適応障害とは一体何か?」を知ることと言えます。

そのためには、まずは適応障害とはどのような状態で、また、どのような症状が見られるのかを知ることが大切と言えます。ご本人にしてみれば「何とかしよう」としているのに、障害であるが故にどうにもならない状況なのです。

もう一つ重要なことは、「何ではないのか?」という視点からの理解です。適応障害は、少なくともご本人の甘えではありません。今置かれている環境の他、それまでのご本人の歴史や背景にある考え方などが障害の発症に影響しているのが適応障害です。

また、支援される方や周囲と比較して「これはできて当たり前」「これぐらいは普通」ということが、ご本人に当てはまるとも限りません。支援にあたっては、このような適応障害の性質について理解することが出発点だと言えるのです。

(2) 正しい診断と適切な治療を受けさせる

もしかしたら・・・と思ったら、可能な限り早いタイミングで精神科や心療内科医の診察を受けることが大切です。

適応障害は、ストレスによりさまざまな症状が見られるわけですが、既に見た通り、その後他の精神疾患・精神障害と診断されるケースが多いことがわかっており、その前兆ではないかととらえることもできることが、その一つの理由です。

また、そもそも適応障害による症状は、うつ病など、他の精神疾患・精神障害にも見られる症状でもあります。その原因により治療目標が変わることになりますので、正しい診断を受け、適切な治療を受けることが重要なのです。

(3) 自分でストレスをマネジメントする方法を身につける

適応力を上げると言っても、それはなかなか難しいものですし、身につけるには相応の時間がかかるのも事実です。とすれば、ストレス自体を軽減させる方法がないか、つまり、ストレスをマネジメントできる方法に着目することも有効な手段になりえるでしょう。

高いストレスがかかるとき、それをコントロールするために有効な方法として、腹式呼吸、筋のこわばりを緩めるリラクゼーション法、ヨガ、音楽や香りなどを用いたリラックス法といったものがあります。支援される方が一緒に行うなどすると、習慣としても身につきやすくなると言えるのではないでしょうか。

ただし、ストレスをコントロールすると言われる方法の中には、効果が疑われるようなものもあります。また腹式呼吸などは、誤った方法で行うと肺呼吸となってしまい、かえって緊張を高めてしまう面もありますので、主治医に相談してから行うとより良いと言えるでしょう。

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参考:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
適応障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html

医療法人社団慶神会「武田病院」
『パニック障害』と『適応障害』
http://www.takeda-hp.jp/t-time170101.html

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適応障害について
https://kawasaki-numata.jp/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

最後に

 適応障害は、ストレスが原因となって発症する精神疾患・精神障害です。

ストレスが原因となっているのですから、ストレスを取り除けば症状は改善すると考えられていますが、原因となるストレスは人それぞれ。「このストレスがなくなれば大丈夫だ」というような共通のストレス要因があるわけではなく、また仮にストレス要因が特定されたとしても、それを取り除くことが物理的にできない場合もあります。

また、うつ病など、他の疾患と同様の症状が見られる場合もあること、さらに、適応障害が他の精神疾患・精神障害の前兆の可能性もあることからも、何らかの不調が見られるような場合には、なるべく早く専門医による診断と治療を受けることが重要になります。

適応障害はストレスが原因であることから、治療の目標は「ストレスを取り除くこと」あるいは「ストレスに対する適応力を上げること」になります。

よって適応障害の根本治療の中心は認知行動療法などの精神療法で、薬物療法が用いられる場合は、適応障害の結果見られる症状を軽減することを目的とした対症療法の位置づけとなります。

現代はストレスフルな社会だと言われています。そのストレスが原因となって発症する障害が適応障害ですので、誰でもなりえるのが適応障害と言うことができます。適応障害のある方を支援するにあたっては、この「誰もがなりえる」ということを忘れずに行うことが大切になると言えるのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
厚労省 みんなのメンタルヘルス
適応障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html
うつ病
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html
厚労省 こころの耳
1 ストレスとは
http://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/
「うつ病」とは
http://kokoro.mhlw.go.jp/depression/

日本うつ病学会 ホームページ
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/index.html

公益社団法人 日本精神神経学会 ホームページ
野村総一郎先生に「うつ病」を訊く
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=3

医療法人社団慶神会「武田病院」
『パニック障害』と『適応障害』
http://www.takeda-hp.jp/t-time170101.html

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金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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