社員シェア 障害者雇用の新たな取り組みと持続可能な関わり方

障害者就労

はじめに
これまでに、障害者雇用に関する情報発信してきました。そんな中、令和元年の障害者雇用状況が発表になりました。雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新しています。

ここでは、障害者雇用の新たな取り組みと持続可能な関わり方のアイデアとして、「社員シェア」などの考えを提言したいと思います。

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1.令和元年の障害者雇用状況

令和元年の障害者雇用状況が発表になりました。雇用障害者数は56万608.5人、対前年4.8%(2万5,839.0人)増加、実雇用率2.11%、対前年比0.06ポイント上昇、法定雇用率達成企業の割合は48.0%(対前年比2.1ポイント上昇)という結果でした(表1)。
(出典:令和元年 障害者雇用状況の集計結果
 https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000580481.pdf)

表1
令和元年 障害者雇用状況の集計結果

図を見てもわかるように、少しずつではありますが、障害者雇用に対する取り組みは着実に伸長している状況になっています。しかしながら、まだまだ法定雇用率の達成には至っていない現状があります。

2.東京の新たな障害者雇用の取り組み「社会的企業(ソーシャルファーム)と事業組合を」

各企業において、法定雇用率の達成に至っていない中、東京都は新たな取り組みを始めました。内容は、中小企業が障害者雇用に積極的な社会的企業(ソーシャルファーム)と事業組合を設立して法定雇用率を全体で満たせるようにするというものです。

小池都知事は「個々でやるより、集まって仕事をつくれば、障害者を雇える」と発表しています。特区制度で設立が簡便になる有限責任事業組合を活用し、共同雇用しやすくするのが狙いのようです。
(引用:日本経済新聞12月13日https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53331720T11C19A2L83000/)

これら企業や団体が連携をする仕組みはとても価値があると感じています。一社の取り組みでは限界がありますが、複数の企業が集まった事業体であれば、難しいことも可能になるばかりか、障害の理解にもつながっていく可能性が高まります。

3.障害者雇用に関する実践 「社員シェア」

当事務所では、2つの障害者雇用に関する取り組みをしていますのでご紹介します。

(1)NPO法人との連携事業「電話対応」

縁あって高知県四万十市にあるNPO法人ぴーす様と業務委託契約をしました。委託内容は「外線電話対応」です。当事務所にかかってくる外線電話を水曜日と金曜日は高知県四万十市に転送し、そこの利用者の方が在宅で受けます。お名前、電話番号、要件を聞いて当事務所にメールを送り、こちらが折り返し電話をするというものです。

(2)株式会社との連携「聴覚障害の方に活躍の場を提供」 社員シェア

そして、もう一つは、株式会社ジェー・シー・プラス様との社員シェアの取り組みです。

株式会社ジェー・シー・プラス様でお仕事をしている聴覚障害の方がいらっしゃいます。その方を当事務所でも業務委託で仕事をして頂いています。仕事は領収書を帳簿に転記する仕事です。この方は当方とお付き合いのある法律事務所でも同様の仕事に就いています。

(3)未来の雇用環境への挑戦

上記(1)(2)の取り組みは、人材活用の可能性を広げる取り組みです。会社によってはこれらの仕事を、社外の方に対応してもらうことに躊躇するかもしれません。しかし、各社だけで完結していて良いのか? もっと日本全体を考えたときに何ができるのかを考えて実践してみました。

例えば、コスト削減という面を考えれば電話転送はするべきではありません。しかし、電話転送をすることでその転送先との関係が生まれるだけではなく、その間に作業を進めることができます。営業電話を全面否定するわけではありませんが、やはり手が止まります。それをカバーしてもらえることは、業務の効率化につながっていきます。

また、電話を取って下さる方も電話を取る中で様々な工夫をし始めてもいます。想定しない仕事に対応していく中で、創造性が生まれる可能性もあるとも考えています。そして他社の方を業務委託で仕事をしてもらうことは、「社員シェア」の仕組みにも繋がります。

つまり、中小企業の人材不足解消にもつながる取り組みだと確信しています。実際の私どもは、外部委託をしたお蔭で、他のことに時間を割くことができるようになりました。そのため、少ない人員でも仕事を回すことができるようになってきました。

これらの新たな雇用環境をつくる挑戦から、未来の日本の在り方を垣間見れるものだと感じています。

最後に

2019年12月、小池都知事が、「共同で仕事を創る」ということを発表しましたが、これは自然な流れです。障害者雇用の取り組みは「義務」で行っていることも当然価値のあることですが、「人材不足」という社会問題の視点で見ると、法定雇用率の有無に関係なく、障害者雇用を行うことは、企業としても十分に考えなければいけないものだと思います。

当事務所では、今後も発達障害の学生や末期がんの方や70歳以上の方の就労など、様々な取り組みを実践していきます。それぞれの会社でもぜひとも大いに挑戦して頂き、私たちも含めて、障害者雇用の取り組みを発信していければと思っております。

脊尾大雅

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脊尾大雅(セオタイガ) 秋葉原社会保険労務士事務所の代表。精神保健福祉士でもあり、メンタルヘルスに精通した社会保険労務士。メンタルヘルスやコミュニケーション...

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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