外出自粛の意味と目的 新型コロナウイルスからご自身とご家族を守る

社会的課題

はじめに
 新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっています。一刻も早くこの状況から抜け出すことが、私たち一人ひとりにとって、日本社会全体にとって、また、世界全体にとって必要です。

このウイルスの感染については、日々一刻と状況が変わっていますし、また、国や地方自治体はもちろん、テレビや新聞、WEBなどメディアを通じて、さまざまな情報が発信されていますが、さまざまな情報が発信されているがために、必ずしも適切に情報が伝わっていない面もあるようです。

そこでここでは、新型コロナウイルスの感染から身を守るために、まずは「外出自粛」の意味・目的を確認していきます。


1. 新型コロナウイルスは、今後も感染が拡大する?
(1) 緊急事態宣言発出と今後予想されること

4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、以下の7都府県に、国からの緊急事態宣言が発出されました。

 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県

そして、4月17日には全国を対象にした緊急事態宣言が発出されました。今後どの都道府県でも、同じように感染者が確認される可能性があること、一度感染者が出るとその数は爆発的に増える可能性があることを、まずは押さえておくことが大切です。

(2) そもそも新型コロナウイルスとは? ~ 現段階でわかっていること

 新型コロナウイルスについては、よくわかっていないことが多いと言われています。ただ少なくとも次の4点については、しっかりと押さえておく必要があります。と言うのも、この4点を押さえておかないと、「外出自粛の意味」を適切に理解することができなくなってしまう可能性があるからです。

① 感染症である
② 根本的な治療薬がない
③ 感染すると、最悪の場合、死に至ることもある
④ 感染しても、自覚症状がない場合もある

以下、それぞれについて、ポイントも含めて確認していきます。

(3) 感染症である、とは? ~感染症に共通する前提

① そもそも感染症とは?
そもそも感染症とは、病気を起こす小さな生物である病原体が体に侵入することで、症状が出る病気のことを言います。新型コロナウイルスの場合、病原体はその名のとおり「ウイルス」です。また少なくとも感染源から周囲に広がる「水平感染」が起きると考えられています。

水平感染には、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の大きくは4つがあり、それぞれ次のような特徴があります。

1) 接触感染:感染者に直接接触することにより感染すること
2) 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみなど、飛び散ったしぶきである「飛沫」を吸い込むことにより感染すること
3) 空気感染:感染者から発せられた飛沫などが、その後空気中を漂う微細な粒子である「飛沫核」となった結果、それを吸い込むことにより感染すること
4) 媒介物感染:病原体により汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染すること

新型コロナウイルスの場合、少なくとも1)接触感染と2)飛沫感染が起きると言われています。つまり、感染者に触れること、また、感染者がするくしゃみや咳といった飛沫を避けることが必要になるわけです。

② 感染症予防の原則 ~「3密」と「手洗い・ワクチン」

「図-予防の原則」
予防の原則
 新型コロナウイルスに限らず、感染症予防には、大きな原則があります。それは、1)3密を避ける、2)手洗い・ワクチン、です。

1) 3密を避ける意味
3密とは、「密閉」「密集」「密接」のことを言います。この「3密を避けろ」とは、「接触感染、飛沫感染などを避けろ」と言っているのと同じことです。3密の状況と言うのは、接触感染、飛沫感染などが発生しやすいからです。

たとえばくしゃみや咳は、2mから4m程度、飛沫として飛び散るとされています。また、密閉されていると、飛び散った飛沫が密閉された空間を漂うことになります。だから、3密を避けることが重要なのです。

2) 「手洗い・ワクチン」
 人は手を使ってさまざまな物に触れます。触れた物にウイルスが付着している場合もあります。新型コロナウイルスの場合、場所や物により、数時間から数日間、生存している可能性が指摘されており、また、空気や銅ではその時間が短く、プラスチックやステンレスなどでは長いとの報告がされているようです。

いずれにしてもウイルスが付着している何かに触れた手で、目・口・鼻などを触ることで、感染する可能性が考えられるのです。よって、手をまめに、またしっかりと洗うことが、感染予防に非常に重要なのです。

なお、感染症予防としてワクチンは非常に効果的なのですが、新型コロナウイルスについては、現段階では開発されていない状況。つまりワクチンによる予防が、少なくとも現状ではできないという点も理解しておきたいポイントです。

また一般的なマスクの利用が推奨されていますが、これはうつされないことではなく、「うつさないこと」が主な目的です。マスクをすることで、自分が飛沫を拡散することを抑制するためです。

(4) 根本的な治療薬がない、から、死に至ることもある

新型コロナウイルスに感染した場合の症状として、最近では味覚障害などが見られる場合もあるとの報告がありますが、その主なものは発熱、せきなどの呼吸器症状とされています。感染し肺炎を起こすと症状が急速に悪化し、人工呼吸器が必要となる場合もあるともされています。

もちろんさまざまな治療薬の開発が急がれてはいるのですが、少なくとも現時点では、どの治療薬も治ることは保証されていません。確実に治ると言えないものであることから、「感染すると、最悪の場合、死に至る場合もある」わけです。

タレントの志村けんさんなどが亡くなられたことからも、その事実を確認することができると思います。

(5) 感染しても自覚症状がない場合があることは、決して良いことではない

 「感染しても、自覚症状がない場合もある」というのは、一見良いことのように感じるかもしれません。しかしもう一度よく考えてみてください。自覚症状のない感染者は、自分の行動に制限をかけるでしょうか? あなただったらどうでしょう? 

 もちろん、自覚症状がなくても、病院に行くなどして「感染している」と診断されれば、自分の行動に制限をかけるかもしれません。しかし、そもそも自覚症状がなければ、病院に行くことも、検査を受けることもしないのではないでしょうか?

「感染しても、自覚症状がない場合もある」というのは、「自覚症状のない感染者が、普段通りに生活してしまう可能性が高いこと」を意味するのです。

参考:
東京都感染症情報センター
新型コロナウイルス感染症Q&A
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/2019-ncov/qa/qa1/

AMR臨床リファレンスセンター 
感染症の基本 感染症とは
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-1.html
基本的な感染対策をしましょう
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-6-3.html

BBC NEWsJAPAN
【解説】 新型コロナウイルス、表面でどれくらい生きられる?
https://www.bbc.com/japanese/51939641

2. 外出自粛の意味と目的 ~うつされるな! うつすな!

「図-外出自粛の意味と目的」
外出自粛の意味と目的
(1) 外出自粛の意味と目的

 これまで見てきたことをしっかりと押さえると、外出自粛の本当の意味と目的を理解できるはずです。それは、次のように整理することができます。

「全国に緊急事態宣言が発出されている状況下では、既に多くの自覚症状のある新型コロナウイルスの感染者と、自覚症状のない感染者とが、残念ながら多数いる。自覚症状のある感染者は、検査を受けるなどしているから、誰が感染者かもわかるし、行動も制限される。

一方で問題になるのは、自覚症状のない感染者だ。誰が自覚症状のない感染者かがわからないし、自覚症状のない感染者は、当然普段どおりの行動をするからだ。すると、どうしても接触感染や飛沫感染が増えてしまい、新たな感染者を生んでしまう。

新たな感染者が増えれば増えるほど、重い症状を発症する感染者も増えることになってしまうのだ」

つまり、外出自粛が要請されているということは、「あなたが生活の中で出会う人々は、既に自覚症状のない感染者かもしれないから、その方々から新型コロナウイルスをうつされないでほしい」ということであり、また、「あなたも自覚症状のない感染者かもしれないから、外出して他者にうつさないでほしい」ということでもあるわけです。

現在では、既に相当数の「自覚症状のない感染者がいる」と考えられることから、「うつす可能性とうつされる可能性、どちらの可能性も高まっていることを意味している」わけです。

(2) 外出自粛を、「人と接触するな、人に近づくな」という意味と理解する

 緊急事態宣言発出後の週末、繁華街の人出は大きく減少したとのこと。一方で、一部地域の商店街などには、多くの人出があったようです。しかし、これではまったく意味がありません。

既に示した通り、相当数の自覚症状のない感染者が存在しており、その方々も商店街に出かけ、多くの感染していない方々と接触したことを意味するからです。外出自粛は繁華街に行くなという意味ではありませんし、まして、その代わりに商店街に行けという意味でもありません。

むしろ「人と接触するな、人に近づくな」という意味です。「人と接触するな、人に近づくな」という意味だから、繁華街に行くべきではないし、商店街に行くべきでもないのです。

このような意図を細々と伝えるのは難しいものでしょう。だから「外出自粛」、あるいは、「家にいろ」「Stay home」といった言葉が使われているのです。つまりメッセージを単純化して、どうにか人々の行動を抑制しようと試みているわけです。

(3) 外出自粛を言い訳にしないことも大切 ~人気を避けて、外に出る

「図-外出自粛を言い訳にしない、外出の仕方」
外出自粛を言い訳にしない、外出の仕方
ただ、外出自粛とは本来的には、「家にいろ」「Stay home」という意味ではありません。「人と接触しない、人に近づかない外出」であれば、基本的には問題がないのです。

たとえば、人気のないところを一人で散歩するといったことは、特に問題があるような行動ではありません。とは言え、人が動けば、お知り合いの方に出会ったりする可能性もありますし、知らず知らずに何かに触るといった可能性もあります。

出会った方が感染されている可能性もありますし、知らず知らずに触ったものにウイルスが付着している可能性もあります。つまり、「感染リスク」がゼロになることはありえないのです。ただそれは、「外出したら交通事故にあう可能性がある」ことと、基本的には同じこと。

人が動くというのは、そういうことなのです。

このように考えると、食料を買いに行く、あるいは、病院の診察を受けに行く、必要な薬をもらいに行く、というような場合でも、なるべく人と接触しないよう、人に近づかないようにすべきです。

実際問題として、食料を買いに行くことも、診察を受けに行くことも、薬をもらいに行くことも、感染のリスクはゼロではありません。それでも、食事をし、必要な栄養をとらなければ、人は生きていくことができませんし、診察を受けることや薬をもらうことも同様です。

つまり、「必要な行動(=不要な行動ではない、不急な行動でもない)」ではあるのですが、「感染リスクと引き換え」という面もあるわけです。だとすれば、なるべく混雑しない時間帯にお店に行く、必要なものが見つかったら早々にお店を出るといった工夫をして、感染リスクを下げる努力が必要であることもわかるはずです。

同様に考えると、いくら「外出自粛」で「人と接触するな、人に近づくな」と言っても、自宅で何もせず、ただただぼんやりと1日を過ごす、あるいは、ゲームなどをやり続けるなどすることが問題であることもわかるはずです。

そのような状態が続けば、身体面の機能の低下の他、精神面へ大きなストレスがかかることになり、別の病気にかかったり、既往症の悪化につながったりしかねないからです。

よって、むしろ、人気の少ないところで太陽の光を浴びる、軽く体を動かすなどして、身体面の機能維持や、精神面での健康を維持することも必要なのです。

ただしそれは、新型コロナウイルスへの感染リスクとのこれも引き換えの面もあるのですから、マスクをして出かける、自宅に戻ったらしっかりと手を洗うといった行動もセットで必要だということも、しっかりと理解しておくことが大切です。

参考
厚労省
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

千葉県
+10(プラステン)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/kenkouken/sintaikatudou/plus10.html

国際医学リスク管理協会
みんなではじめよう 新型コロナウイルス予防
http://www.iarmm.org/J/newsletters/Covid-19_recommendation.pdf

最後に

 新型コロナウイルスとの闘いは、残念ながら長期戦になると考えられます。

仮に一度収束したとしても、人が動き出すことでいわゆる「第2波」が起こることも想定しておく必要もあります。また、日々さまざまな情報が、さまざまな形で発信されているため混乱することもあると思います。だからこそ、ここでまとめたような「原則」を、しっかりと理解しておき、情報に振り回されないようになっていくことが重要なのです。

いずれにしても、新型コロナウイルスに「うつらない、うつさない」ことが大きな目標です。その意味で、できるだけ人と直接接触しない行動を取るべきです。自分のための行動が、社会に生きるすべての方々のための行動にもつながる、ということです。

すると結果として、外出を極力避けることが必要になるわけですが、とは言え、それで家に閉じこもりきりになることで他の病気などにかかってしまったら元も子もありません。できるだけ「人と接触しない、人に近づかない」ことを条件に、太陽の光を浴びる、体を動かすことも非常に大切なことなのです。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。


参考:
厚労省
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

東京都感染症情報センター
新型コロナウイルス感染症Q&A
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/2019-ncov/qa/qa1/

千葉県
+10(プラステン)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/kenkouken/sintaikatudou/plus10.html

AMR臨床リファレンスセンター 
感染症の基本 感染症とは
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-1.html
基本的な感染対策をしましょう
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-6-3.html

国際医学リスク管理協会
みんなではじめよう 新型コロナウイルス予防
http://www.iarmm.org/J/newsletters/Covid-19_recommendation.pdf

BBC NEWsJAPAN
【解説】 新型コロナウイルス、表面でどれくらい生きられる?
https://www.bbc.com/japanese/51939641

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構 代表理事として広報を担当する。現在、株式会社目標管理トレーニングの代表取締役としても活動を行っ...

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