身体障害とは?

身体障害

はじめに
 「身体障害」は、必ずしも目に見える障害だけではありません。また、そのことは、誰もが同じように理解しているとも言えません。これが、実は身体障害のある方や保護者をはじめ支援される方の頭を悩ます原因になっている場合があります。ここでは、「身体障害とは何か?」を中心に、その症状や支援の概要をまとめています。

1. 身体障害とは? ~身体障害の定義
(1) 一部辞書での身体障害の定義

「身体障害」という言葉を調べると、デジタル大辞泉(小学館)では「視覚・聴覚・肢体などの身体機能に障害がある状態。」と定義されています。この定義は、もちろん間違っているわけではありませんし、一般的な理解である可能性すらあります。ただ、ここで表現される「など」や、「身体機能」という言葉に含まれる意味が十分伝わらず、その結果、「身体障害とは目に見えるもの」と思わせてしまっている可能性があります。

(2) 社会福祉上の身体障害の定義

「図-身体障害とは? 身体障害者福祉法での定義」

社会福祉上の身体障害は、「身体障害者福祉法」で「身体障害者とは何か?」という形で、次のように定義されています。

身体障害者福祉法での「身体障害者」の定義:
視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、内部障害といった身体上の障害のある18歳以上の方で、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた方

 ポイントとなるのは、「視覚障害」「聴覚・言語障害」「内部障害(内臓など、体の中の機能の障害)」といった、「必ずしも目には見えない障害も身体障害の対象となっている」という点です。まずは、この理解をすることが、身体障害のある方々や、その方々を支える各支援施策などを理解するためにも必要と言えるでしょう。

参考:
デジタル大辞泉 身体障害
https://kotobank.jp/word/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E9%9A%9C%E5%AE%B3-666178

電子政府の総合窓口 e-Gov 身体障害者福祉法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC1000000283&openerCode=1

2. 身体障害者手帳の概要 ~身体障害の種類

「身体障害者」を対象化する際に、その判断根拠として用いられる身体障害者手帳とは、次のような制度です。

(1) 身体障害者手帳とは?

身体障害者手帳とは、身体に障害のある方に発行される障害者手帳です。身体に障害のある方が自立し、社会での経済活動を行えるよう、支援したり保護したりすることを目的に作られた制度です。各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長が、身体上の障害のある方に交付します。

(2) 身体障害者手帳の交付対象 ~ 身体障害の種類と交付数

身体障害者手帳の交付対象となる障害には大きく5つあります。また、身体障害者手帳を交付されている方の総数は510万人程度となっています。各障害に含まれるもの、障害別の交付数は次のとおりです。

(3) 「身体障害の原因」と「身体障害としての認定」との関係

身体障害の主な原因として、脳性まひなどの疾患、出生時の損傷、事故などが考えられますが、生活習慣病が原因となる場合もあります。また、発生時期として、先天性のもの・後天性のものがあります。一方で、身体障害者手帳の交付対象は、「①指定の障害の症状が一定程度以上であり」、「②現在から将来に渡って回復する可能性が非常に少ない方」、とされています。このため、精神障害や知的障害など、他の障害が原因となって身体面での障害が現れている場合を除き、身体障害手帳の認定においては、その原因を問うことは基本的にはありません。

参考:
厚労省ホームページ
身体障害者手帳
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/
第3編 社会福祉 第3章 障害者福祉
http://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_3_3.html

東京都福祉保健局 東京都心身障害者福祉センター
身体障害者と身体障害認定基準について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html

内閣府 ホームページ 障害者白書
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h25hakusho/zenbun/h1_01_01_04.html

3. 身体障害のある方を支えるしくみ

「図-身体障害のある方の生活を支援するしくみ」

個人としての尊厳を保てるだけの日常生活又は社会生活をおくれることを目的に、身体障害のある方を保護・支援するしくみが整理されてきています。

(1) 身体障害のある方の生活を保護する法律

身体障害のある方の生活を守ることは、法律で定められています。主な法律として、以下があります。

① 障害者基本法
② 障害者総合支援法
③ 身体障害者福祉法
④ 児童福祉法

(2) 福祉サービスを利用する(1) ~ 障害者総合支援法の下での福祉サービス

障害者総合支援法は、身体障害を含む障害のある方の「自立のため・地域社会での生活のため」に、どんな福祉サービスを、誰に行うか、を定めた法律です。

① 受けられる社会福祉サービス

1) 自立支援給付:
介護や訓練などの面からのサービスが受けられます。

2) 地域生活支援事業:
地域で生活するために、相談に対応したり、活動支援をしたりするものです。この事業に社会福祉施設の利用などが含まれます。

② サービスを受けるには

各市町村にサービスを受けたい旨を相談・申し込みをし、「支援区分」という認定を受けると、その支援区分に対応したサービスが受けられるというしくみになっています。

(3) 福祉サービスを利用する(2) ~ 身体障害者福祉法・児童福祉法の下での福祉サービス・身体障害者手帳
身体障害者福祉法の下で制度化されている福祉制度に身体障害者手帳があります。先にも示した通り、各都道府県知事(政令指定都市の長)が、身体障害者であると認定した方に発行する手帳です。

① 受けられる社会福祉サービス

障害の等級や地域により違いはありますが、取得すると以下のようなサービスを受けることができます。

1)公共料金等の割引:NHK受信料減免、交通機関の運賃割引、携帯電話や上下水道の割引など
2)税金の控除・減免:所得税・住民税の控除、相続税の控除、自動車関連税の軽減など
3)手当の支給など:福祉手当など
4)その他:障害者雇用での就職、公営住宅への優先入居など

② 交付してもらうには

身体障害者手帳を交付してもらうには、各都道府県で認定を受ける必要があります。認定に必要な医師の診断を受け、所定の様式に合わせた診断書・意見書を、申請書とともに、お住まいの地域の市区町村窓口に提出すると、各都道府県で審査が行われるという流れです。この審査で、認定基準となる1~6の「等級」のいずれかにあたると認定されると、身体障害者手帳が交付されます。よって、身体障害者手帳の申請を検討する場合、まずは各市区町村窓口へ相談することから始めるとよいでしょう。

(4) 各法律や制度の下のサービスは、それぞれで申請・認定される必要がある

 上記の大きく2つの福祉サービスは、それぞれが異なる制度です。このため、「それぞれで、それぞれの窓口に申請、それぞれで認定・判定されて、はじめてそれぞれのサービスが使える」というしくみになっている点、注意が必要です(実際には、同じ窓口で、一括して対応方法などの相談にのっていただける場合もあります)。

(5) 身体障害のある方を支える教育

 身体障害のある方を支える教育は、学校基本法の中で、「特別支援教育」として明示されています。「特別支援教育」は、目的として、「障害のある方の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するため、一人ひとりに必要となる教育的ニーズを把握し、力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な指導や必要な支援を行うこと」と明示されています。この特別支援教育の下、通常級・通級(通級指導教室)・特別支援学級・特別支援学校といった学びの場が設置され、選択できるようになっています。

参考:
厚労省 ホームページ 障害者総合支援法が施行されました
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html

身体障害者手帳
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/

内閣府 ホームページ 図表67 障害者に関する割引・減免制度及び福祉措置一覧
http://www8.cao.go.jp/shougai/data/data_h27/zuhyo67.html

文科省 ホームページ 特別支援教育について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm

4. 支援にあたって
(1) 身体障害のある方の支援にあたって大切なこと

① 生活の中で困り事がある方にとって ~身体障害である可能性に気づく、ということ

もしかしたらと思ったら、あるいは、生活をする上で困り事があったら、何よりも早くお住まいの地域の市区町村窓口にご相談されることをおすすめします。その大きな理由は、冒頭でも述べた通り、「身体障害は目に見えるものだと思われている方が多いから」です。身体障害は、内部障害の場合も対象となります。四肢不自由など、目に見えるものだけではありません。また、市区町村窓口に相談することで、たとえ身体障害として認定されなかったとしても、困り事に対してどんな支援が受けられるのかといった情報を入手できることもあります。

また、実際に身体障害のある方であっても、実際に支援を受けるには、各種の申請が制度ごとに必要なため、多くの事務的な負担がかかる点も見逃せません。手続きなどをするだけでも大変なこと。必要な支援は積極的に受けるという姿勢も非常に重要です。

② 配慮する接し方とは?

身体障害のある方は全国に510万人。これは、身体障害者手帳を交付されている方に限った話ですので、実際にはもっと多くの方が、身体障害があると予想されます。もちろん、身体障害のある方が、あらゆる場面で支援が必要というわけでありませんが、一定程度の配慮を常に行う習慣が大切であることは言うまでもないでしょう。
たとえば、以下のような配慮は、誰もが、すぐにでもできること。ぜひ実践したいことでもあります。

1) 主に視覚障害のある方への配慮・例
・歩行の妨げにならないよう、歩道や点字ブロックの上に自転車などを放置しない
・支援するときは、「あっち」「こっち」などの指示語、「赤い●●を目印に」などの視覚情報を含む言葉を使わない(たとえば、「右に100m進む」など、具体的な方向や距離などで表現する)
など

2) 主に聴覚障害のある方への配慮・例
・筆談、口をゆっくりはっきり動かす、空間で文字を書く、など

3) 主に肢体不自由をお持ちの方への配慮・例
・程度により必要な支援の程度もさまざま。困っている様子が見られたら、支援が必要か、声をかける、など

4) 主に内部障害のある方への配慮・例
・混雑した場所で、携帯電話やスマートフォンを利用しない、電源を切る(心臓ペースメーカーに影響を及ぼさないように)
・指定の喫煙所以外ではタバコを吸わない、タバコを吸うときには吸う前に一声かける(呼吸器障害への配慮)
・飲食の強要をしない(小腸の障害への配慮)
・HIVは感染力が弱いこと、性的感染だけでなく、血液感染や母子感染が考えられることなど、HIVに関する正しい理解

(2) 身体障害の方を支える支援機関など

身体障害のある方ご本人や、保護者の方などを支援する機関に、以下のようなものがあります。

保健センター
子育て支援センター
児童相談所
障害者就業・生活支援センター
相談支援事業所 など

参考:
厚労省 ホームページ
障害者の範囲
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1031-10e_0001.pdf

東京都福祉保健局ホームページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/a_techou.html

名古屋市ホームページ
障害のある人を理解し、配慮のある接し方をするためのガイドブック
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000006/6422/guidebook.pdf

最後に

身体障害という言葉から、どうしても四肢不自由など、目に見える障害をイメージしがちな面があります。その結果、身体障害のある方が、本当に必要な支援を受けにくいという面もあるようです。まずは、身体障害に対する正しい理解をしていくことが大切と言えそうです。
なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
デジタル大辞泉 身体障害
https://kotobank.jp/word/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E9%9A%9C%E5%AE%B3-666178

電子政府の総合窓口 e-Gov 身体障害者福祉法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC1000000283&openerCode=1

厚労省ホームページ
身体障害者手帳
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/
第3編 社会福祉 第3章 障害者福祉
http://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_3_3.html
障害者総合支援法が施行されました
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/index.html
障害者の範囲
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1031-10e_0001.pdf

東京都福祉保健局ホームページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/a_techou.html
東京都心身障害者福祉センター 身体障害者と身体障害認定基準について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html

内閣府 ホームページ 
障害者白書
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h25hakusho/zenbun/h1_01_01_04.html
図表67 障害者に関する割引・減免制度及び福祉措置一覧
http://www8.cao.go.jp/shougai/data/data_h27/zuhyo67.html

文科省 ホームページ 特別支援教育について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm

名古屋市ホームページ
障害のある人を理解し、配慮のある接し方をするためのガイドブック
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000006/6422/guidebook.pdf

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

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加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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