特別支援学級とは? ~その教育システム

発達障害

はじめに
障害のある方の就学先としての選択肢の一つに、特別支援学級があります。特別支援学級は、学校教育法に定められている特別支援教育の下、整備されているものです。ここでは特別支援学級について、その位置づけや教育システム・指導の特徴、就学の対象となる方といったことをまとめています。

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1. 特別支援学級とは?
(1) 特別支援学級とは?

特別支援学級とは、通常の学級における教育では十分な教育効果を上げることが困難な障害をお持ちの児童や生徒のために設置された学級です。一人ひとりの障害の状況や特性に応じた指導・支援を、学習指導要領に沿って行うことを原則としています。

(2) 特別支援学級の前提となる特別支援教育とは?

特別支援学級は、学校教育法に位置づけられた特別支援教育の下、設置されています。特別支援教育では、障害をお持ちの幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点から、対象となる方々一人ひとりの教育的ニーズを把握し、お持ちの力を高め、生活や学習上の困難を改善したり、克服したりするために適切な指導と必要な支援を行うとされています。2007年から法改正によりその充実がはかられることになりました。

(3) 特別支援学級の就学者数

特別支援学級に在籍している幼児・児童・生徒の数、特別支援学級の数は、どちらもここ20年間で増加傾向にあります。2015年の文部科学省の調査によれば、特別支援学級に在籍している幼児・児童・生徒の数は187、100人で、幼児・児童・生徒全体の1.2%にあたります。

特別支援学級を設置している小学校の割合は76.6%。中学校は73.7%で、多くの小・中学校が特別支援学級を設置していることになります。一方で、高校で特別支援学級を設置している例は現状ではありません。

(4) 特別支援学級の種類

特別支援学級は、障害の種類によって弱視、難聴、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、自閉症・情緒障害の7種類の学級が設置されています。

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参考:
文科省ホームページ
学校教育法等の一部を改正する法律要綱
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06072108/001.htm
特別支援教育について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm
特別支援教育資料(平成27年度)【第1部 集計編】
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2015/06/08/1358541_01.pdf

2. 特別支援学級における教育システム

「図-特別支援学級における教育システム概要」

(1) 学級編制

特別支援学級は、障害をお持ちの方一人ひとりの状況に応じたきめ細かな指導を行うため、少人数の学級となっています。標準的な1学級の人数が8人とされており、現在は平均3人ほどで運営されています。なお、指導においては特別支援学校とは異なり、小学校・中学校の教員免許状を持っている教員が担当することができるとされています。

(2) 一人ひとりの障害の状況や特性に応じた指導・支援

 特別支援学級では、「一人ひとりの障害の状況や特性に合わせた指導・支援」を行うため、学習指導要領で定められた教科学習指導などを行いつつ、障害があることにより生じる困難に配慮した指導が行われることになります。

① 「個別の指導計画」・「個別の教育支援計画」の立案・実行

特別支援学級では、障害のある方一人ひとりの教育的ニーズに合わせて、指導目標や指導内容、指導方法が設計されることになります。「個別の指導計画」として、どの学年・学期などで、どの単元を、どのように指導するかなどが学習指導要領を考慮しながら個別に計画され、実際に指導されることになります。

また、「個別の教育支援計画」によって、教育・福祉・医療・労働などの関係機関と連携しながら、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した指導が行えるよう配慮されています。

② 自立活動

障害による学習上、あるいは、生活上の困難を改善したり、克服したりするための指導も、「個別の指導計画」に基づいて計画的に行われることになります。たとえば身体の動きに課題や困難のある方に対しては、それを改善するための指導が、コミュニケーションに課題や困難のある方に対しては、それを支援するための指導がそれぞれ行われるといったように、一人ひとりの状況やニーズに合わせて学ぶことができるということです。

③ 教科書についての配慮

特別支援学級では、小学校・中学校・高等学校で一般的に使われると教科書のほか、障害の内容や状態などに合わせて作成された視覚障害者用の点字教科書、聴覚障害者用の言語指導用教科書、知的障害者用の国語・算数の教科書なども使用される場合があります。また、デジタル教科書の積極活用なども推進されています。

(3) 障害・年齢に合わせた教育

特別支援学級においては、障害の内容や発達段階などによって教育内容に配慮がなされます。

① 弱視特別支援学級

弱視特別支援学級では、一人ひとりの見え方に配慮した指導が行われます。たとえば、拡大文字教材、テレビ画面に文字などを大きく映して見る機器、照明の調節などを利用するといったことです。また、各教科、道徳、特別活動のほか、ものを認識する力を高める指導なども行われます。

② 難聴特別支援学級

難聴特別支援学級では、いわゆる教科学習のほか、音や言葉の聞き取りや聞き分けなど、聴覚を活用することに重点を置いた指導や抽象的な言葉の理解に関する指導なども行われます。聴覚の活用においては、オージオメータや集団補聴器、発音・発語指導のための音声直視装置などの機器を利用するなどして指導効果を高める工夫がされています。

③ 知的障害特別支援学級

知的障害特別支援学級では、教科別指導のほか、教科等を合わせた指導などが特別支援学校の学習指導要領も参考にしつつ行われています。なお、、教科等を合わせた指導とは具体的には以下のようなものがあります。

1) 日常生活の指導
日常生活の指導では、生活科の内容だけでなく、各教科等の内容を扱うことになります。

たとえば、衣服の着脱・洗面・手洗い・排せつ・食事・清潔など基本的生活習慣やあいさつ・言葉づかい・礼儀作法・時間を守ること・ルールやきまりを守ることなどの日常生活や社会生活において必要となることを総合的に学ぶことになります。

2) 遊びの指導
遊びの指導とは、遊びを学びの中心にしながら身体活動を活発にし、仲間とのかかわりを促したり、意欲的な活動を育んだりすることを通じて、心身の発達を促していく指導です。児童・生徒が比較的自由に取り組む遊びから、活動期間や時間、題材や集団構成などに一定の条件があるような比較的制約のある遊びまで、計画的かつ連続的に設定することになります。

3) 生活単元学習
生活単元学習とは、生活上の課題処理や問題解決のために必要な活動を経験することで、自立的な生活を送れるような力を実際的・総合的に伸ばすよう指導することです。

4) 作業学習
作業学習は、作業を学習活動の中心としながら児童・生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会での自立に必要となる力を総合的に学ぼうとするものです。職業的な作業のほか、家庭で作業なども含め、教科横断の視点で学ぶことになります。

実際の作業は、農耕・園芸・紙工・木工・縫製・織物・金工・窯業・セメント加工・印刷・調理・食品加工・クリーニング・販売・清掃・接客など、多種多様です。

④ 肢体不自由特別支援学級

肢体不自由特別支援学級においては、通常の学級での授業のほかに、身体の動きや認知能力などの向上を目指した指導が行われています。コンピュータ等の情報機器を使用するなど、一人ひとりの障害の状態に合わせて適切な教材・教具を用いるなどの指導の工夫がされることになります。

⑤ 病弱・身体虚弱特別支援学級

病弱・身体虚弱特別支援学級には、入院中の方のために病院内に設置された学級と校内に設置された学級との大きくは2種類のものがあります。

1) 病院内の特別支援学級
健康状態の回復・改善をはかるための指導を行うほか、教科指導などは、その内容を精選するなどして、病院職員とも連携しながら指導が行われることになります。

2) 校内の特別支援学級
基本的には通常の学級とほぼ同様の授業時間、授業内容で指導が行われることになりますが、病状や発達段階などによっては、下学年の教育内容を指導するなどの配慮がされる場合もあります。また、身体面やメンタル面の健康維持や改善をはかるための指導もあわせて行われる場合もあります。

⑥ 言語障害特別支援学級

言語障害特別支援学級では、児童・生徒の興味・関心に応じた自由な遊びや会話などを通して教員との間で信頼関係をつくり、気持ちをときほぐしながら、一人ひとりのペースに合わせて正しい発音や楽に話す方法を身につけられるよう指導が行われます。

指導の中心は個別指導となりますが、状況に応じてグループ指導も組み入れられることになります。いずれにしても、楽しみながら学習するということが指導の中心となっています。

言語障害においては、多くの仲間たちとの日常のかかわりが大切と考えられています。このため、教科学習の一部は通常学級で行うなど教室間の行き来を積極的に行おうとする場合もあります。

⑦ 自閉症・情緒障害特別支援学級

自閉症・情緒障害特別支援学級では、基本的には通常学級と同じ教科等の学習をすることになります。それに加えて、人とのかかわりを円滑にし、コミュニケーションをよりスムーズにして、生活する力を育てることを目標にする自立活動という指導が行われることになります。

自立活動として、集団場面に入れるようにするための指導、状況にあった応答をするための指導、コミュニケーションを促すための指導、文章や言葉の意味理解をさせるための指導、予定の変更に対応するための指導、こだわりに対する指導、感覚過敏に対する指導などが一人ひとりの状況に合わせて行われます。

(4) 指導内容の弾力的な運用

特別支援学級では、当該学年の内容で学習が難しい場合、各教科の目標・内容を下学年の教科の目標・内容に替える、各教科の内容を特別支援学校の知的障害のある方向けのものに変更するなど、指導内容が弾力的に検討されます。

(5) 交流及び共同学習の実施

小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の各学習指導要領などでは、交流及び共同学習を積極的に推進することとされています。交流及び共同学習とは、障害の有無に関わらず、互いの理解を深め、尊重し合える社会をつくることを目指し、障害をお持ちの方々とそうでない方々、地域社会で生活する方々とがふれ合い、共に活動することです。

特別支援学級における交流及び共同学習の例としては、以下のような取り組みがあります。

① 朝の会や帰りの会を、同じ学年の通常学級である「交流学級」で通常学級の子どもたちと共に過ごす
② 給食や体育、音楽の時間は通常学級で活動するなど通常学級と特別支援学級を行き来する

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参考
文科省ホームページ
特別支援教育について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm
交流及び共同学習ガイド
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/010/001.htm
特別支援学校学習指導要領解説
自立活動編
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/18/1278525.pdf

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 ホームページ
重点推進研究 / プロジェクト研究 / 特別研究報告書
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub-c.html
自閉症のある子どもの指導・支援
https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/11519/20160411-132035.pdf

宮崎県教育研修センター ホームページ
みやざきの特別支援教育
https://cms.miyazaki-c.ed.jp/ssc007/htdocs/

3. 特別支援学級に就学できる方

「図-特別支援学級に就学できる対象」

特別支援学級に就学できるのは、障害の種類別に以下の状況にあてはまる方々です。ただし、この条件にあてはまると、必ず特別支援学級に通わなければならないということではありません。

実際の就学先は、基準を参考にしながら、お住まいの市区町村で行われる就学相談を通じて、保護者の方の意見を尊重しながら決定することになります。就学先の選択肢が一つ増えるという考え方の方が、むしろわかりやすいかもしれません。

なお、以下の基準よりも症状の重い障害をお持ちの方の場合、さらに、特別支援学校への就学が選択肢として加わることになります。

(1) 弱視

拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの

(2) 難聴

補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度のもの

(3) 知的障害

知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの

(4) 肢体不自由

補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの

(5) 病弱・身体虚弱

① 慢性の呼吸器疾患その他疾患の状態が持続的または間欠的に医療又は生活の管理を必要とする程度のもの
② 身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度のもの

(6) 言語障害

口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のあるもの、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のあるもの、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがあるもの、その他これに準じるもの(これらの障害が主として他の障害に起因するものではないものに限る。)で、その程度が著しいもの

(7) 自閉症・情緒障害

① 自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの
② 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの

参考:
文科省ホームページ
通知「障害のある児童生徒の就学について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20020527001/t20020527001.html

4. 特別支援学級への就学の魅力と課題

これまで見てきた特別支援学級への就学について、その魅力と課題を整理すると以下のように表現できるのではないでしょうか。

「図-特別支援学校への就学の魅力と課題」

(1) 魅力的な点

① 障害の状況や発達段階に応じた指導カリキュラムが組まれ、そのカリキュラムに基づき学習を進めることができる
② 通常学級で学ぶ同世代の仲間と触れ合う機会を多く持てる

(2) 課題

① 在籍基準があいまいな面がある
② すべての学校に特別支援学級が設置されているわけではないため、場合によっては通学の負担が大きい
③ 通常学級と行き来することが、特別支援学級に在籍する方にとって大きなストレスになることもある
④ 学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい
⑤ 現状、高等学校では特別支援学級が設置されていない

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最後に

特別支援学級は、障害をお持ちの方の就学先としての選択肢の一つです。特別支援教育の下で整備されており、小学校・中学校においては、多くの学校で、全国的に設置されています。一人ひとりの障害の状況や発達段階に合わせた教科指導や社会生活指導などが受けられる通常学級の生徒とも交流しやすいといった点が大きな魅力と言えるでしょう。

就学基準を満たすようなら、その課題にも注意しながら、就学先として検討するとよいのではないでしょうか。

なお、この記事に関連するおススメのサイトは下記の通りとなります。参考までご確認ください。

参考:
文科省ホームページ
学校教育法等の一部を改正する法律要綱
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06072108/001.htm
特別支援教育について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm
特別支援教育資料(平成27年度)【第1部 集計編】
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2015/06/08/1358541_01.pdf
交流及び共同学習ガイド
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/010/001.htm
特別支援学校学習指導要領解説
自立活動編
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/18/1278525.pdf
通知「障害のある児童生徒の就学について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20020527001/t20020527001.html

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 ホームページ
重点推進研究 / プロジェクト研究 / 特別研究報告書
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub-c.html
自閉症のある子どもの指導・支援
https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/11519/20160411-132035.pdf

宮崎県教育研修センター ホームページ
みやざきの特別支援教育
https://cms.miyazaki-c.ed.jp/ssc007/htdocs/

金森 保智

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全国地域生活支援機構が発行する電子福祉マガジンの記者として活動。 知的読書サロンを運営。https://chitekidokusalo.jimdo.com/

プロフィール

加藤 雅士

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電子福祉マガジンの編集長。一般社団法人 全国地域生活支援機構にて広報委員を担当する。現在、株式会社グリットの代表取締役会長としても活動を行っている。

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